古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

調理時の爪ブラシをめぐる攻防(対保健所)

2020-06-25 14:22:50 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

当院には給食施設があり、給食施設には
爪ブラシを用意して、いつでも使えるようにしておかないといけない
という決まりがあります。

厚労省 食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000082846.pdf
    大量調理施設衛生管理マニュアル
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000168026.pdf
文科省 学校給食調理場における手洗いマニュアル
    https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/08040316.htm

一方で 手術場でも昔、術前に爪ブラシを利用して 手を清潔にし
手術に臨んでおりましたが、現在 個人の手技に左右されたり
毎回使い捨てるわけでない爪ブラシを利用することは
デメリットが多いという理由で 廃止しているところが増えています。
特に固いブラシ(遠い昔(学生時代)ひりひりするまで擦れ!!と指導されながら 
両手両腕を真っ赤になるまで擦って手術場に入ったことを思い出します・・)の
使用は百害あって一利なし という結論に達しており 月日の流れを感じます。

名古屋大学 手術部位感染防止
    https://kansen.med.nagoya-u.ac.jp/general/gl/gl2/3_3.pdf

北海道大学 手術部位感染防止
    https://www2.huhp.hokudai.ac.jp/~ict-w/kansen/3.04_shujutubuikansenyobousaku.pdf

調理は基本的に素手が多く、手術は滅菌手袋をして行うわけで
また消化管は外界に開かれていて、もともと雑菌が入ることが想定済み(胃液が強酸性になっているのは
食べ物を粉々に消化する以外に、殺菌の作用もあるからと言われております)
対して手術野は基本的には無菌であるという違いがあり、一概に比較できないのですが

爪ブラシを給食部門で毎回使い捨て あるいは爪ブラシの清潔管理を保つのは
常時湿った環境では極めて難しく、ばい菌まみれの爪ブラシで手洗いするよりも
ラビング法での管理が現実的ではないかと思う管理人ですが、
保健所というか食品衛生の関係の方々のご見解をお伺いしたいところです。

ちなみに爪を常に短く切ることは ブラシを使おうが使うまいが 必須です。
2016年の大量調理施設衛生管理マニュアル(上記引用)の
手洗いマニュアルには 爪ブラシの使用について 記載はないです。

医療機関は基本的に毎年医療監視(保健所立ち入り検査)を受けますが
爪ブラシの扱いを含め 給食部門の衛生管理の方法については、結構もめるところです。

***************************************************

上記の北大のマニュアルから

手術時手洗いは以下の2法のうち、どちらかで行う

【スクラブ法】1.消毒薬を受け,肘関節3横指上まで素洗いする(30秒)2.再度,消毒薬で素洗いする(1分30秒)3.ディスポブラシを取り出し,消毒薬を約5mlうけて指先より肘関節まで泡立て,摩擦し指先より洗い流す(5~6分)4.滅菌タオルにて清拭後,速乾性摩擦式消毒用アルコール3~5mlを手掌にとり,両手指,手掌,手背に十分に擦り込み乾燥させる5.滅菌ガウンを着用し,滅菌手袋を基本的手順(クローズ法)に従って装着する

【ラビング法】1.抗菌作用を含まない液体石鹸で肘関節3横指上まで素洗いする(30秒)2.石鹸を十分に洗い流す3.タオル(非滅菌でよい)で水分を拭き取る4.1%アルコール含有速乾性擦式手指消毒剤3mlを右手掌にとり、指先、手指、手掌、手背、前腕に十分に擦り込み乾燥させる5.1%アルコール含有速乾性擦式手指消毒剤3mlを左手掌にとり、指先、手指、手掌、手背、前腕に十分に擦り込み乾燥させる6.1%アルコール含有速乾性擦式手指消毒剤3mlを手掌にとり、両手指、手掌、手背に十分に擦り込み乾燥させる

***************************************************

こんな記事もありました。

株式会社信濃公害研究所
http://www.eco-skk.com/kawara1707.pdf
都道府県によって 爪ブラシに関する考え方が違うようです。

学校給食調理部門を所管する文科省は爪ブラシ絶対使用派のようで、このことも
混乱をきたす理由かと思います。

再掲
文科省 学校給食調理場における手洗いマニュアル
    https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/08040316.htm

2020年7月1日 追記

爪垢取りというステンレス製の道具もあり、こちらを購入しました。
熱湯消毒ができるので、爪の間の汚れが気になる場合はこういうのも使っていいのでは
ないでしょうか?

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%84%E3%83%A1%E5%9E%A2%E5%8F%96%E3%82%8A-%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E8%A3%BD-%E5%B7%BB%E3%81%8D%E7%88%AA%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%BF%E3%83%BC-%E7%88%AA%E3%81%94%E3%81%BF%E3%81%A8%E3%82%8A-%E5%B7%BB%E3%81%8D%E7%88%AA%E3%83%95%E3%83%83%E3%82%AF/dp/B07BP8ZBJK/ref=sr_1_1_sspa?adgrpid=70025536046&dchild=1&gclid=EAIaIQobChMItZ6vo7yr6gIVEq6WCh0u0w6YEAAYASAAEgKHU_D_BwE&hvadid=353035988079&hvdev=c&hvlocphy=1009717&hvnetw=g&hvqmt=e&hvrand=11826892322891651711&hvtargid=kwd-418171990027&hydadcr=570_1012601406&jp-ad-ap=0&keywords=%E7%88%AA%E5%9E%A2%E5%8F%96%E3%82%8A&qid=1593586490&sr=8-1-spons&tag=googhydr-22&psc=1&spLa=ZW5jcnlwdGVkUXVhbGlmaWVyPUEzUlgyMFAwNVJGMjlRJmVuY3J5cHRlZElkPUEwMzE2MTg5MU1TM1NEUkFBNkVCSSZlbmNyeXB0ZWRBZElkPUExMzBMRUlZUjE4UDk2JndpZGdldE5hbWU9c3BfYXRmJmFjdGlvbj1jbGlja1JlZGlyZWN0JmRvTm90TG9nQ2xpY2s9dHJ1ZQ==


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福岡市から特別給付金を頂き、有難うございました。

2020-06-23 14:55:08 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

この度は医療介護従事者に福岡市の皆様の
貴重な公金から特別給付金を戴き 本当に有難うございました。

https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/chiikiiryo/health/coik.html
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/shisetsushien/coksk.html

令和2年6月に福岡市から当院に振り込まれ 戴いた給付金は
令和2年6月1日付で当院に勤務している非常勤を含めたすべての職員に 
責任の重さや外来患者さんとの接触度合い、所定労働時間その他を考慮し 
傾斜をかけて3パターンの金額で分配し、
6月分給与とともに、一時所得として
支給いたします。

新型コロナウイルス感染症に対し
医療介護従事者だけが頑張っているわけではありませんので
本当に申し訳なく思っておりますが、

引き続き 地域医療の維持のために
尽力して参りますので、宜しくお願いいたします。

職員を代表し、福岡市の皆様に厚く御礼申し上げます。
有難うございました。

医療法人古森病院 病院管理者 黒目恭子

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Kaizen

2020-06-17 19:25:11 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

先日 当院の職員が 給食の下膳車を
動かしている際に 下膳車と壁に手を挟まれ
打撲となりました。

労災として もちろん整形外科を受診していただき
軽症ではあったのですが

整形外科に紹介状を書くために、管理人が被災状況を見に行ったところ



下膳車の前後の持ち手が消失していることが判明。
(ずいぶん長い間この状態とのこと)
そのために側面に手を添えて 動かしたところ
壁にぶつかったため手を挟まれたとのことでした。

当院の建物管理をしていただいているI工務店の方にお願いし
持ち手を前後に付けていただきました。



写真では写っていませんが、前面にも同じものを付けていただいています。
管理人は産業医でもありますので(当院の産業医は 管理人が経営者のため
数年前にお役御免となりました)環境整備も仕事のうちです。

この持ち手のおかげで
下膳車に関わる全ての職員が助かったとのことでした・・。
I工務店のYさん、いつもすみません。

今後も労災状況を確認したり、ヒヤリハット インシデントレポートを通じ、
環境整備を行ってまいりたいと思います。

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当院の職員採用について その2

2020-06-10 20:06:51 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

以前 昨年度の院外研修
https://blog.goo.ne.jp/komori-hospital/e/14f701732710aa74cb049a5d4e8c7b58

という記事を書きました。

その記事を読まれて 当院に求職者として
応募してこられた(らしい)方々が最近 増えたようだという報告を受けています。

特に紹介会社の方も結構閲覧されておられるのか
「古森病院さんは研修をしっかりしてくれるみたいですよ」
と推していただいて、面接に来られる方もおられ
そのこと自体はありがたいと思います。

しかし・・・

残念ながら その記事を読まれて応募されてこられる方のなかには
何か 根本的な考え違いをしているのではないか という方も
時に まざっているようです。

どのように考え違いされておられるかというと

他の病院で 教育をきちんとしてもらえなかった(らしい)
あるいは 難しすぎて(能力不足で)ついていけなかった
当院で手取り足取り教えてもらえるのでは・・

というものです。

そもそも少なくとも医療職に限れば
初期教育は 急性期病院で行ってもらうもの

というのが大前提で

理由は当然ながら 症例が豊富で 手技も多く スタッフも充実していて
院内研修や勉強会も盛んだからです。

療養型病院はもともと新人が来ることは
想定されていないのですが

色々な理由で 新人(や経験が浅い人)が応募してくるので
やむを得ず、研修を行いはじめたというのが現状です。

療養型病院はのんびりしていると思われているようですが
入院してくる方々は 在宅や施設ではしょっちゅう急変するので
病院にということで 来られる方ばかりで

またご家族も療養先に病院を選ばれる以上、熱心な方が多く、
急変時は速やかに他院に搬送することも珍しくありません。
(療養型病院の中には 急変時に搬送希望したら 入院を断られるところが
あるらしいですが、当院はそういうシステムではありませんので
夜中でも搬送しています)

ということで
医療介入が必然的に多くなりますし、

患者さん自身、訴えられる方が少ないので 
その分 観察力も求められます。

リクエストすれば
何でもお世話してもらえるのは 新生児か乳幼児あるいは
身の回りのことができない障碍者や高齢者の方だけと
相場が決まっています。

自分から勉強しようという意欲がない人は
急性期(亜急性期)病院であれ 慢性期病院であれ
どこにいっても 通用しません。

ちなみに急性期(亜急性期)病院でまったくついていけなかった方で
慢性期病院で 「人並みに(であっても)」ついてこれた方など見たことがなく
そのような方は 当院でも短期間で辞めていかれています。
むしろ急性期(亜急性期)病院より、当院の方が退職までの期間が早いことも
珍しくありませんというか 日常茶飯事です。


厳しいようですが、患者さんの命を守らないといけないので
最低限のやる気も観察力もない方は 医療(介護)職を目指すのはあきらめて
生命とは関係ない業界に行かれることをお勧めします。

最近 面接でお断りする方が 以前よりも少し増えてきているので
就職マッチングの参考のため、記事としました。

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そう来るか。。。

2020-06-05 05:21:12 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

管理人は、当院に入職してから
多数の認知症の患者さんを担当医として
拝見して参りました。

ある日のことですが

ある精神科病院から 認知症の患者さんの
転院打診があり 受け入れたところ

管理人が今まであまりお見かけしたことのないタイプの
認知症の方で

感情の起伏が非常に激しく それもいわゆるせん妄とは
異なる印象を抱き

「新しいタイプの人」だなあ と思っていました。

そこに遠縁の方から
その方には精神疾患の濃厚な家族歴があるという
情報がもたらされ、
その方自身の精神科受診の既往歴はない(当院に転院前に
精神科病院に入院したのが初めて)ようでしたが

「それだ!」と思った管理人は
前医の精神科病院の主治医に連絡して
家族歴のことをお伝えし

「ただの認知症ではなく、精神疾患がもともとあって
その上に認知症が重なっている可能性はないでしょうか」

とお伺いしたところ

「家族歴のことは聞いてなかった」とのことで
管理人にその精神疾患の
高齢者向けの処方メニューをアドバイスして下さいました。

すると。。。

内服を開始してほどなく 別人のように穏やかになられました。

職員も御本人が嫌がることは 別の方法でファローするなど
環境も整えていたので、内服だけの効果ではないと思いますが、

直近のこともよく覚えておられ 
年齢相応の物忘れは少々あるものの
認知症の病名は到底つかないところまで
来ました。

内科診療の基本である
既往歴や家族歴聴取の重要性を再認識させられた
方でした。

https ://komoriーhp.cloudーline.com/



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