古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

内科学の展望2020 その2

2020-11-30 12:37:31 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。


内科学の展望2020に行った忘備録です。

個別化医療とか遺伝子治療、細胞治療については
ちょこちょこ話を聞く機会がありましたが

東京がん研究センターの方のお話で
従来であれば 珍しい少数の癌についての研究は難しかったものの
国内外で患者さんの登録システムを作り、少数の方の遺伝子変異のデータを
集め、医師主導治験で治療薬の開発に結び付くケースがあるとのことで
以前では考えられないけれど ITの発展のおかげで 
以前は切り捨てられてきたタイプの方が救われる可能性が
出てきたのはすごいと思いました。
(賛同者を集めて、ネットワークの仕組みを構築するのが大変だったと思います)

1型糖尿病におけるインシュリン投与はデバイスの発達で、きめ細やかな血糖値のコントロールが可能になったものの
お金がかかることや、大学のような大きな病院でしか導入維持できないことが欠点です。
1型糖尿病における膵島移植が今年から保険適応になったことは 初めて知りました。
https://site.convention.co.jp/apita-jpita2021/jpita/message/

その他 最近保健指導には アプリケーションを活用することで、
より効果的な指導が可能になったこと
(先日は禁煙アプリの保険適用が話題になっていました。https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=70157)

心房細動のカテーテルアブレーション後の抗凝固療法の続行については 
ガイドラインでは定められたものの
術者によってやる人と3カ月だけやって中止する人、考えが様々のようで、
現場でもそれを感じている管理人は 「まあそうだよね・・」と
思いました。あとは、超高齢者の心房細動の抗凝固療法をどこまで行うかという
お話もあり、興味深く拝聴しました。


最後に減量手術についてのお話も出ましたが 手術後に体重は減るものの、食事の偏りは治らず
精神的に不安定になったりする人もおられるとのことで、手術すればおしまいというわけではない
高度肥満者は単に食べ過ぎで太っているだけでなく
背景に様々な問題を抱えている人が「中には」おられるということを念頭におかないといけない
と 強く感じました。

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内科学の展望2020 その1

2020-11-22 18:43:20 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

3連休ですが、管理人には相変わらず関係ありません。
今日は 珍しく当院の近くで 内科学会の講演会がありましたので
わざわざ行ってまいりました。

内科学の展望2020
https://www.naika.or.jp/meeting/118-info/prospect48/

新型コロナウイルスワクチンについて 少し触れられました。
勉強していなかったのですが、現在はアデノウイルスベクターワクチン1種類(アストラゼネカ)と
メッセンジャーRNAワクチン2種類(ファイザーとモデルナ(モデルナのワクチンは日本では武田薬品が販売))が 
日本で導入されようとしているワクチンなのですね。その他にも候補にあがっているワクチンがあるようです。

今までの鶏卵培養や細胞培養法により作成された不活化ワクチンのみならず
バイオテクノロジーにより作成されたワクチンが実用化されつつあるとのことで へえ~と思いました。

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アストラゼネカのワクチンについて

LANCETに治験の結果が載っています。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31604-4/fulltext

アデノウイルス自体が感冒のウイルスであり、感冒症状の副作用が目立ちます。

●新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」の英オックスフォード大学との共同開発
・アストラゼネカと英オックスフォード大学は、Jenner InstituteとOxford Vaccine Groupが開発する新型コロナウイルスワクチン候補の世界的な開発・販売についての提携を2020年4月に発表しました。共同で開発を行い、臨床試験でワクチンが有効であることが示されれば、アストラゼネカが製造や供給を担うことになります。

・アストラゼネカとオックスフォード大学が開発を進めているワクチン「AZD1222」(以前の開発番号:「ChAdOx1 nCoV-19」)は、ウイルスベクターワクチンです。チンパンジー由来の風邪のアデノウイルスが複製できないように処理をし、それを利用して新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白を形成する遺伝子を身体に入れます。スパイク蛋白への免疫を身体につけることによって、コロナウイルスの感染の防御を狙うワクチンです。

・アストラゼネカは世界的に公平なワクチンの供給を目指しており、世界中の政府や関係機関、製造業者とパートナーシップを締結し、ワクチンの開発、配分、供給に取り組んでいます。なお、パンデミック期間中においては、営利を目的とせずワクチンを供給することを考えています。

・2020年7月20日付けのLancetに、AZD1222の第I/II相試の中間結果が掲載されました。すべての被験者においてAZD1222の忍容性が確認され、SARS-CoV-2ウイルスに対する免疫反応を生成したことが示されています。

・2020年8月7日には、「AZD1222」ワクチンの日本国内における供給について、日本政府と基本合意書を締結しました。日本政府の要請に応えるべく、アストラゼネカは、薬事承認などを含めた接種環境が整い次第接種が開始できるように、2021年初頭より1億2千万回分のワクチンの供給が可能となる体制を構築します。

日本における安定供給に向けて、アストラゼネカはワクチン原液の調達については、JCRファーマ株式会社への製造委託と海外からの輸入を並行して進めます。これらのワクチン原液を用い、第一三共株式会社、第一三共バイオテック株式会社、Meiji Seikaファルマ株式会社、KMバイオロジクス株式会社によって、バイアル充填から保管・配送といった接種に必要な準備が行われる予定です。アストラゼネカは各パートナーと協力しながら生産能力の増強に全力で取り組んでいきます。

・9月6日、標準的な評価プロセスに則り、安全性データの第三者委員会および治験を実施している各国の規制当局による評価を可能にするため、臨床試験におけるワクチン接種が自主的に中断されました。その後、英国では英国医薬品庁による確認を受け、安全に配慮した試験再開が可能だとして、9月12日に臨床試験が再開されました。

日本国内においては、アストラゼネカは、英国における評価結果およびこれまでに得られた安全性データを評価し、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)との協議の上で、被験者の安全性に配慮した形で試験を再開することが可能だとして、国内第I/II相試験の再開に至りました。

https://www.astrazeneca.co.jp/media/othernews/initiative.html  より 一部抜粋
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ファイザーのプレスリリース

https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2020/2020_11_19.html

タイトル:
ファイザーとBioNTech、COVID-19ワクチン候補の国際共同第3相臨床試験ですべての主要な有効性評価項目を達成
有効性に関する主解析において、BNT162b2は1回目接種から28日経過した時点以降のCOVID-19の予防に95%の有効性を示した。本解析は確定診断された170例のCOVID-19発症例を対象とし、プラセボ群で162例、ワクチン群で8例の感染がそれぞれ認められた。
有効性は年齢、性別、人種・民族で一貫しており、65歳を超える成人では94%を超える有効性が認められた。
米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)に求めている安全性データの収集を達成した。
43,000人を超える参加者を組み入れ、すべての集団においてワクチンの忍容性は良好であることを示すデータが得られた。重大な安全性の懸念は認められず、グレード3の有害事象で頻度が2%を超えるものは、疲労3.8%と頭痛2.0%のみであった。
両社は数日以内にFDAにEUAの申請を行い、世界中の規制当局にもデータを共有することを計画している。
両社は2020年に最大5,000万回分、2021年末までに最大13億回分のワクチンを世界で生産することを見込んでいる。
ファイザーは豊富な経験、専門知識と既存のコールドチェーンのインフラを活用し、世界中にワクチンを流通できると確信している。

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武田薬品のプレスリリース

https://www.takeda.com/newsroom/newsreleases/2020/takeda-expands-covid-19-vaccine-supply-in-japan-through--partnership-with-moderna-and-government-of-japan/

2020年10月29日、大阪、日本武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)(「武田」)は本日、2021年上半期から5,000万回のモダナのCOVID-19ワクチン候補mRNA-1273を輸入・配布すると発表しました。この取り組みは、武田、県立、厚生労働省(MHLW)との三者間協定の一環です。Modernaは以前、米国の100 μg用量レベルでのmRNA-1273の30,000人の参加者フェーズ3臨床試験が完全に登録されていることを発表しました。これは、日本の施設でNovavaxのCOVID-19ワクチン候補を製造し、日本の人々に長期的な供給を提供する能力を確立するという武田の最近の発表に続くものです。
(自動翻訳による翻訳です)

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各々のワクチンの具体的な製造方法については 日経バイオテクの記事がわかりやすいです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61944150X20C20A7000000/

アストラゼネカ社のワクチンは 2名に多発性硬化症と横断性脊髄炎の発症があったので
随時 治験が中止になっていたようですが、その後 治験は再開されているようです。

ワクチンが輸入されたら 医療従事者と高齢者が優先で接種されるとのことですが・・・・

日本ではバイオテクノロジーによるワクチンの製造方法が珍しく、実績の乏しいワクチンなので、
いの一番に接種していただけるのはありがたいのですが、正直 あまり気が進まない・・とか書いたら
怒られるのかなあ・・。(講演会で聞いたところによると、副作用が出たら(ってどこまで?) 
国家賠償の対象になるとのことです)

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久々に新型コロナウイルスの話題 

2020-11-14 18:10:59 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

新型コロナウイルス関連の最近の
当院における話題です。

1.上気道炎(いわゆる感冒)について
今後、コロナ対応に加え 季節性インフルエンザの発熱も増えることから
先般 厚労省から「保健所の今までの感冒患者さんの振り分けの役目は 
ある程度はかかりつけ医療機関で行うように」とのことで、
https://www.mhlw.go.jp/content/000667888.pdf

福岡市内でも すでに体制が整えられているところですが

福岡市では
今のところ、特に上気道炎患者さんが多いという印象はありません。
その代わり、例年に比して圧倒的に多いのが、
季節性インフルワクチン希望者の方々です。

マスコミによる広報が行き届いているということもあり、
ワクチン希望者の来院の立ちあがり時期も早かったですし
お子さんと高齢の方々は接種への助成が拡大したということもあるのでしょうが

「初めて打つ」という方も目立ちます。

当院は接種が予約制ではありません。企業だと人数が多いので
予約してこられることもありますが、例外です。

今のところワクチンは在庫があるものの、
よその医療機関のワクチン入荷が遅れているところがあるらしく
お子さんの中には2回目のインフルエンザワクチンが打てないので
当院で打ってくれないかという依頼もありますが、
とくにお断りすることもなく、接種しています。

→→ 11月21日追記

現在ワクチンが当院も在庫が無くなりました。
11月27日に入荷するようですが、すでに電話での問い合わせがあっているようで
もともと予約制ではないのですが、予約のように抑えている人も
おられるように聞いています。

興味がある方は フルミスト(インフルエンザ生ワクチン)の在庫ならまだあります。
もっとも料金が全然異なりますし、補償について 説明が必要です。

追記終わり。

当院も、入院患者様および職員の接種はほぼ終了しました。
職員は一部 停滞していましたが

今月の院内感染対策委員会で

「本日から2週間後までに打ってない人は 名前を院内に張り出します」
「特段の理由がない人は 協力するように」

と管理人が言ったのが 功を奏したのか・・(笑)
翌日から続々と接種しにきて、
本年のミッションはほぼ完了しました。

2.入院患者様の面会制限について

ご要望の絶えない、面会制限全面解除についてですが
あいにく先が見えません。

厚労省さまは「施設は万全の感染対策をして、面会制限を解除するように」
とおっしゃいますが、

新型コロナウイルス感染症は、接触・飛沫感染だけでなく

空気感染もだ いや空気感染とは言わない  エアロゾル感染だ   マイクロ飛沫感染だ と
https://www.asahi.com/articles/ASNBB3GMWNB8UBQU003.html

マニアックな論議が起こっているものの、いずれにせよ
マスクとアルコールだけでは 万全の感染予防対策は
難しいということには変わりなく

やはりウイルスを持ち込む人間を制限するしかないと思います。
当方は老人病院ですし・・・。一流の感染症指定病院でも
クラスターが起こっていて、面会制限しているのに
一流でない病院に 面会制限を解禁しろと言われてもですね・・・。 

先般 入院患者様のご家族様から ご質問があり
「何をもって、面会制限を緩めるか」ということを問われましたので

「新型コロナウイルス感染症が、指定感染症から外れたときに
運用の見直しを「考え始めます」」

とお話いたしました。

参考までに申し上げますが、

入院患者様のご家族様の「ごく一部の方々」ですが
院内感染防止について 今一つご協力いただけない方も
おられ

・面会者に熱があるのに、面会にこられたり
・インフルエンザにり患した翌日でも
「え?インフルのお薬飲んでますから(吸いましたから)いいでしょ」といって
 面会にこられたり (当然ながら 前の日もその前の日もいらしてます)
・そもそも認知症その他で、ご理解がいただけなかったり
・感冒症状があるのに、熱がないからという理由で 面会にこられたり
(すごく咳しながら 患者様とお話ししておられると 職員が知らせてくれました)
・赤ちゃん含む乳幼児や学童を病棟に許可なく連れてこられたり
(夏季冬季のお子さんは 病原体を必ずと言っていいほど持っておられます)

(上記のことは、新型コロナウイルス感染症が流行していないときに 
過去「偶然」遭遇した(あるいは職員との雑談でたまたま「発覚した」)
「ほんの一部の方」です)

面会制限の全面解禁の道のりが いかに難儀か
現場の人間の苦労をご想像いただけると 大変有り難い と思います・・・。

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追記

福岡県のホームページに 新型コロナウイルス感染症の検査・診療を行う指定医療機関
(行政委託検査可能な医療機関)の一部のリストが公表されています。

(一部というのは、県ホームページのリストに載せることに同意した医療機関ということです。
県の指定自体は1050機関に行われ、うちリストには259機関が載っています。)

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/shinryo-kensa-kohyo.html

参考まで。

追記2

日本内科学会雑誌の11月号は 新型コロナウイルス感染症の特集号でしたが
これを学会の英断で 一般公開するとのことです。

https://www.naika.or.jp/activity/covid-19/nichinaishi-109-11-article/

追記3

福岡市内の医療機関で 新型コロナウイルス感染症の診療加療を行う
インターネット上の公表に同意した 医療機関のリストが公開されています。

https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/75305/1/iryokikan1208.pdf?20201208170706


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育児休業からの復帰

2020-11-09 15:26:13 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

当院は今まで妊娠、出産に至ったのち
復職した方があまりおられません。

院内保育園がないというのも
一つの理由ですが

育児休業を取っている父母のいずれも
福岡市内出身という方がおられない(祖父母の援助が得られない)ケースが多い
ということも 就労意欲をそぐ結果になっていました。

以前一名だけ、入職して間もなく妊娠された方が
おられましたが、出産後、育児との両立が困難で 結果的に
(慢性寝不足下での就業が難しかったものと思われます) 
退職となりました。

今回、復職の意向を示された方がおられ、
雇用保険関係の課にお伺いしたところ、

月に80時間までなら 育児休業下で
働いてよいということでしたので(時間によって、育児休業の給付金は減りますが)、
早速 ならし勤務で 配偶者の方のお仕事が
お休みの日に 月に数回 勤務していただくことと
しました。

育児休業給付金の支給要件など
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000178877.pdf

管理人の経験から言えば
育児よりも仕事の方が、数倍楽です。
しかもお金も もらえるなんて・・・。

育児のストレスは 自分の時間が
際限なく奪われるということに尽きます。

先輩として、両立に向けて
頑張ってほしい・・・と思っております。

世の保護者の方々、
お子を集団保育に入れる前に
予防接種は可能な限り 接種をしてください。

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