古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

女性活躍推進法

2015-08-29 21:21:13 | 日記
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毎日新聞 8月28日(金)10時11分配信

<女性活躍推進法>成立 管理職の数値目標設定の公表など

参院本会議で女性活躍推進法案の趣旨説明をする有村治子女性活躍担当相=国会内で2015年7月31日、藤井太郎撮影

 女性管理職の割合に数値目標の設定などを義務付ける「女性活躍推進法」は28日午前、参院本会議で自民、民主、公明各党などの賛成多数で可決され、成立した。従業員301人以上の企業と、雇用主としての国や自治体は、女性登用の推進に向けた「行動計画」の策定と公表を求められる。数値目標の水準は各企業などに委ね、罰則規定もないが、計画策定と公表の義務付けによって女性登用を進める効果を狙っている。

【安倍昭恵・首相夫人に聞く「女性活躍」】

 行動計画策定は2016年4月1日に、その他は公布と同時に施行する。集中的に対応するよう施行から10年間の時限立法とした。

 安倍政権は「女性活躍」を成長戦略の中核の一つに掲げ、「20年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」との目標を掲げている。人口減少が進む中、女性に活躍してもらい、労働力不足による社会の活力低下を防ぐ狙いもある。

 行動計画は、(1)採用者に占める女性の割合(2)勤続年数の男女差(3)労働時間の男女差(4)管理職に占める女性の割合--の各項目の現状把握と分析を必須とした。その上で、改善点や取り組み期間、数値目標などを盛り込むよう求めている。この他、企業側が選択する項目が省令で示される見通しで、育児と仕事の両立支援制度や利用状況、非正規雇用から正規雇用への転換制度の利用状況などが想定される。従業員300人以下の中小企業にも努力義務として課す。

 施行に合わせ、国は「女性活躍の推進に関する基本方針」を閣議決定する。各企業などの計画策定を支援するためのガイドラインも作る。また、行動計画の内容や達成度などに応じて優良な企業を認定し、国や自治体の公共事業や備品購入などで優遇できるようにもする。

 法案は昨年秋の臨時国会で提出されたが、衆院解散で廃案となり、今国会に再提出された。衆参両院で、賃金の男女格差の把握と是正、非正規労働者の待遇改善のためのガイドライン策定などを求める付帯決議を行った。

 14年の日本の女性管理職の割合は11.3%で、米国の43.7%、フランスの39.4%、ドイツの28.6%(いずれも12年)などの主要国の水準を大幅に下回っている。【細川貴代】

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気持ち悪い名前の法案が成立しました。

どういう母集団の中での女性管理職かわからないのですが、
管理人は11・3%の中に入るまれな女性管理職(自営業だというだけですが)のようです。
医療業界は、他業種に比べ、比較的女性管理職は多いほうだと思います。
看護師さんは8割以上が女性ですし、そうなると看護管理部門の管理職は
必然的にほぼ女性になります。
最近、副院長に看護職を登用する医療機関も増えています。
医師も女性医師が増加傾向ですから、
部長や医長が女性と言うことも少なくありません。

そのまれな女性管理職の立場から、今回の法案を見ると
なんか趣旨がずれてる・・と思うことしきりで、「そこじゃないよ!」という感が満載です。

そもそも女性は、管理職になりたくてなる人は多数派ではありません。
チャンスがあっても、自分から進んで受けることは少ないです。
もともと争うことを好まない性ですし(個人差はありますが)、同性からの嫉妬はもちろん、
男性からの嫉妬の対象になることもあって 及び腰になりがちです。
対象女性が家庭を持っていれば尚更で、管理職となると職責も重くなりますし、
職務上、家庭を優先することも難しくなります。
「女性医師はキャリアを積もうと思ったら 男性に比して失うものが多すぎる」と
その昔 同僚が言っていましたが、今でも状況は変わっていません。
妊娠、出産は今のところ、女性にしか出来ません。
育児は誰でも出来ると言えば出来ますが、発達心理学上の見地から、
真剣に子供と向き合って育児を行うことが情緒が安定した子供を育てるのに必要十分条件ですから 
産んでしまえばおしまいというわけにはいきません。
またなんだかんだと高校を卒業するまでは 子供を監視教育する必要があり
エネルギー配分を間違えないようにしないと虻蜂取らずといった感になりかねません。

ではどうすればよいかという私見ですが

①まず、育児は女性 という価値観を変えていく必要があります。
イクメンなる流行語がはやっても、男性が育児休暇を取ると 
収入や昇進の面で不利となりかねません。育児休暇中に
育児休暇を取ってない同僚に経験値の差をつけられ
追い越される可能性も否めません。
これを防ぐにはやはり、両性が同様に堂々と育児休暇を半年ずつとか
(労務管理上は面倒くさくなりますが、
必ずしも連続で休暇を取らなくてもよいようにすることも一つの案でしょう。)
お互い様と言えるくらいに取得することが重要です。
もちろんいくら権利とはいえ、仕事をカバーしてもらう同僚と、
待遇面で差をつけること(カバー分を削って同僚に上乗せなど)や
似たような家庭環境の職員を一つの部署に固めるなども円滑な人間関係を保つのに有効です。
②もちろん、保育園を増やすことも必要です。保育料が上がってもやむをえない・・・かもですね。
最近、宅老所のような気楽に高齢の方が集まれる施設が増えていますが、
高齢者施設に就学後の子供たちを入れていくようにするというのも
施設が活性化してよいかと思います。この案は悪くないのですが
子供は病気になりやすいため、感染症流行時には使えない案です。
(高齢者の方は感染が命取りになることがあるため)
③男性、女性問わず家事を幼いころから教えていく教育も重要です。
このことは長じて配偶者に先立たれたり、配偶者が要介護状態となった時、
離婚した時などにも有効です。
④資格のない女性(男性)も、容易に就職、復職できるようなシステム作り、
多様な勤務形態作りが重要です。
就労世代全体の底上げが重要であり、
正職員の人間だけを引っ張りあげればよいというものではありません。
⑤PTA活動など、現状で女性のみに多大な負担のかかる活動形態を 
たとえば見守りだけは外注にするとか、活動に参加できる人と
参加できない人の会費を別に定めるとか、合理的思考でやっていかないと
現在のPTAをめぐる問題はいつまでたっても解決しないと思われます。

以上、一女性としての見解でした。

http://komori-hp.cloud-line.com/   


追記

平成29年2月4日付けのヤフーニュースに
女性役員の多い会社は業績も高いという
ニュースがあり、どこまで統計上 有意な
調査か不明ですが

また どういう基準で女性役員を登用しているかに
よりますけれど

考えられることは


①元々業績が高いので、
世間受けを良くするために女性役員を
多めに登用できる。広告費用の
一種と割りきっている。

②性別に囚われず 
元々 能力本位で役員登用している。
男女問わず 色んな家庭環境に配慮して
仕事を円滑に進めるために
知恵を絞らないといけないため
自然に業務の効率化が図られ
よい方向で会社が回っている。

以上の二つに大きく分類されるのでは
ないでしょうか?






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専門家って・・・?

2015-08-19 11:36:30 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

外部からの問い合わせの多い当院ですが
今度は某弁護士会から弁護士法第23条の2に基づく照会の文書が当院に届きました。
ちなみに医療過誤関係ではありません。

以前、当院に入院中だった患者様の入院中の様子についての
お問い合わせでした。弁護士会は診療記録を開示するなら、
全面開示でと求めておられました
弁護士法第23条の2について調べたところ 診療記録の全面開示は
正当な理由があれは断って良いと書かれており、
ガイドラインに書かれている正当な理由に該当する理由(病状や治療と無関係の患者さんの
プライバシー保護など)があったことから、該当箇所の開示とし、全面開示はお断りすることとしました。
詳細は書けないので、すみません。。

弁護士法第23条
http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/kentoukai/seido/dai3/3siryo-g-3.pdf

以上の方針を立て、たまたま初見の某弁護士さんに見解をお伺いしたところ
(当院の顧問ではない方、因みに顧問の方には 既にご意見を伺っていました)
驚くようなご回答がありました。

1、弁護士法第23条の2は、必ず回答が必要。
2、診療記録は全部開示しないといけない。
さもなければ、照会側から損害賠償を請求される可能性がある。
3、正当な理由があれば、全面開示でなくて良いのでしょうと
申し上げたところ、弁護士会が言っているのだから
何も考えず診療記録の全面開示をしなさい、その方が楽でしょ?と言われました。

あまりにもひどいお返事だったので
1、まあ、先生の仰るように何も考えずに全面開示の方が楽でしょうね。
後先考えないのでしたら。
2、開示しないとは言ってないですよね。
必要なところは出すのに、どうしてうちが訴えられるのですか?
正当な理由があれば、そこの部分は出さなくて良いとされているのに、
正当な理由があるのに、無視して開示したことで逆にうちが訴えられるかもしれないでしょ?

と申し上げました。

すると
1、全面開示で、正当な理由があれば不開示で良いとされているところを
開示したからといって、裁判をおこされたら、誰も開示しなくなるでしょ?
2、全面開示してもしなくても、訴えられる可能性があります。
3、部分開示されたら、必要なところが全部開示されているかわからないから
全部開示するべきである。


気力を振り絞り

あのですね、世の中ではすでに、弁護士会の照会で情報を全面開示したことで
知られたくないことまで開示したと企業側が訴えられ、
実際に裁判が起こっているケースがあるんですよ。
医療過誤でもないのに、弁護士会からの問い合わせで
全面開示して、うちが損害賠償訴訟に巻き込まれたら
弁護士会は責任とってくれるんですか?
日弁連のホームページには、弁護士会の照会で企業が回答したからと言って、
企業側が免責にならないと書いてありますが、、。

と重ねてお話ししました。

すると
あなたはよく勉強していますね。と言う驚きのお返事が。。

専門家に何かをお伺いする時は、専門家は専門家でない人のために
解りやすく解決方法及びその方法をとった場合の
メリットデメリットを説明し、専門家でない人が
物事を判断することを助ける役割が期待されます。

わからないから 専門家にお伺いしているのに
専門家並みに自分が勉強しておかないと、当方に不利な方向に向かわされた挙句、
高額な費用を払わされる羽目に陥るかもしれないとは、難儀なことです。
すべての専門家が今回のような方とは、もちろん限りませんが。

医者も専門家であるので、自分も注意が必要であると思う管理人でした。
弁護士会は、当方の方針で良いというお返事でした。


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日本尊厳死協会

2015-08-18 18:41:36 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

先般、日本尊厳死協会からお手紙が届きました。

日本尊厳死協会
http://www.songenshi-kyokai.com/

尊厳死を尊重する、受容協力医師リスト(あるいは施設)への登録依頼でした。
もちろん登録医師になることを表明し、文書をお返ししました。

ただ、自由記載欄に以下の文章を付け加えました。

①協会員の方で、日本尊厳死協会発行のリビング・ウイルをおもちの方、 
あるいはご本人が公正証書で延命処置を希望されないことを書面化されておられる場合、
患者さんの意思を最大限尊重致します。
②ただし、少なくとも2週間以上の余命が見込まれる場合の栄養や水分補給、治療の差し控えなど、
当方が刑事罰(殺人罪、保護責任者遺棄など)に抵触する可能性がある場合は 
治療の差し控えは致し兼ねる場合がございます。
③経口摂取がどうしても困難な場合な方への経口摂取のご要望も 誤嚥窒息の可能性が高くなりますので
致しかねる場合がございます。


過去の報道で見る限り、いわゆる積極的安楽死(医師が依頼されて、末期状態の方に心停止を来すような薬剤を直接投与すること)が
行われたケースでは、日本では行った医師は嘱託殺人罪で逮捕されているケースが多いです。
積極的安楽死に比して、いわゆる「治療の差し控え」に関しては、グレーゾーンで、公に行われた前例がありませんので
医師が刑事罰になるかどうか、実際に公表して行ってみないと分からない状態です。

亀田総合病院のALS(筋萎縮性側索硬化症)の方の人工呼吸器をはずしてほしいという要望がマスコミに出たのはずいぶん昔ですが、
一年以上に及ぶ話し合いを重ねた結果、院長先生が「医師が刑事罰となる可能性が払拭できない」という理由で 見送られました。
ちなみにこの病院には 管理人も2年ほど在籍しておりました。


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「呼吸器外し」苦悩の審議 (2008年10月8日 読売新聞)

鴨川・亀田総合病院 「委員会、荷重すぎる」

 鴨川市の亀田総合病院の倫理問題検討委員会が、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の男性患者(68)の「意思疎通が出来なくなったら人工呼吸器を外してほしい」との
要望を尊重するよう院長に提言したことについて、同委員会委員長の田中美千裕・脳神経外科部長は7日、同病院が開いた記者会見で、「もし自分が患者、奥さん、主治医だったら、
どんな意見を持つか議論した」と説明。「委員会としては荷が重すぎる」とも述べ、苦悩の末の審議だったことをうかがわせた。

また、提言を受けた亀田信介院長=写真=は、呼吸器外しについては「刑事責任を問われる」と難色を示しつつも、「患者には治療を選ぶ権利があり、
それをどこまで尊重できるか、症例ごとの検討が必要だ」として、社会全体での議論の必要性を強調した。

男性患者の要望は昨年5月、電子メールで病院側に寄せられた。男性の家族によると、男性は現在、ほおの筋肉の動きでパソコンを操作して意思を伝達しているが、
これができなくなったら「精神的な死を意味し、耐えられない」としているという。

亀田院長は、同病院内外の医師らで構成される同委員会に要望への対応を諮問。今年4月、「倫理上の問題はない」とする提言がまとまったが、
審議の過程では慎重論も多く出されたといい、提言では刑事責任が問われる可能性や、患者本人の意向、機器の発達など状況変化の継続的な把握の必要性にも言及した。

終末期の延命治療を希望しない「尊厳死」は、現行法では医師が殺人罪に問われる可能性があるが、責任を問う基準が明確でないとの指摘もあり、
日本尊厳死協会などが「免責事項」を明確にする法制化を求めている。

男性の家族は「本人は議論されることを望んでいたので、委員会の提言を喜んでいると思う」と話した。

一方、ALSの専門医療に詳しく、厚生労働省研究班での班長を務めた中島孝・国立病院機構新潟病院副院長は
「現在の日本のALS患者は、将来に対する不安が非常に強い。まずは不安を取り除くよう、患者・家族の総合的なケア内容を改善すべきだ」と指摘している。

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この記事が出たのはもう7年も前のことですが、治療差し控えによる死亡について、医師の免責の話はでておりません。
それはもっともな話で、ケースバイケースなので、一律に免責になど出来ないのです。
また、ご家族(法定相続人)の意向も無視できません。いくらご本人が望んでおられても、ご家族も全員で
その方の意思を尊重されておられなければ、いくらリビング・ウイルをお持ちであっても、ご家族による刑事告訴、
損害賠償訴訟が頭をかすめる医療機関側は二の足を踏んでしまうのが現状です。

いざその立場になったら、気持ちがゆれるケースもあります。
いろいろ難しい場面の多い終末期ですが、それでも
リビング・ウイルを持ちつづけておられる方の御意向は最大限 尊重して参りたく思っております。

病院ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/

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在宅連携

2015-08-14 13:45:38 | 日記
残暑お見舞い申し上げます。

古森病院@福岡市博多区です。

先般、初めて在宅患者さんについて往診連携を行いました。
主治医は私、訪看はA事業所、訪問ヘルパー事業所はB事業所、ケアマネージャーはC事業所・・・

介護保険の関係で、同じ経営母体の事業所が使いづらい現状があるわけですが
うーーん。これだけ派遣元がバラバラだと、患者さんの情報共有や連携が
難しいですね・・・。
とりあえず、福岡市医師会がただで配っている在宅カルテなるものを
患者さん宅においています。
何しろ往診するくらいなので、ご本人からの状況聴取は細かくは望めません。
おまけにこの方は独居なので、ご家族からの状況聴取も望めません。
まだ、デイサービスなどに行っておられれば、情報がとれるのかもしれませんが、
デイは利用されておられませんし・・・。

それでもこの方はいろいろな人が関わっていて上手くいっているほうですが、
地域包括ケアシステム、前途多難だなあと思いました。

(施設がいいってわけではありません。もちろん)

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