古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

福岡県アレルギー講習会 (食物アレルギー編)

2019-09-28 18:25:39 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

管理人は呼吸器科の医局にもおりましたので
今でも気管支喘息や気管支炎などの治療、各種呼吸器腫瘍のスクリーニング検査を
行っております。

気管支喘息はアレルギー疾患の一つで、管理人が研修医のころと
基本となる治療方法は大きくは変わっていませんが、

副腎皮質ステロイドホルモンの内服や高用量吸入から離脱できない重症喘息さんを
対象に分子標的薬が治療法として 保険診療に収載されたり、

***********************************
ちょっと古いですが 2014年の日本呼吸器学会誌より
https://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/003020178j.pdf

medical tribuneより(2018)
https://medical-tribune.co.jp/rensai/2018/0613514596/

************************************

気管支サーモプラスティ といって
気管支鏡下に特殊なカテーテルを用いて、気道平滑筋(平滑筋が収縮して喘息発作を誘発)を
熱で変性させて 発作を起きにくくする治療法(決められた施設でしか行えません)が
保険でできるようになりました。

************************************

気管支サーモプラスティ
http://www.hosp.ncgm.go.jp/s003/010/110/index.html
http://www.jsre.org/info/1508_alair.pdf

************************************


さて、管理人は気管支喘息の治療に携わっていることや
(ついでに言えば、内科にも 花粉症(アレルギー性鼻炎)の方が
結構来院されます)過去に学校保健に関わっていたこともあり
同じアレルギー疾患である食物アレルギーにも 少なくない関心を持っていました。
何しろ、食物アレルギーが高じると 気管支喘息発作が引き起こされますし。
(その時はエピペン(アドレナリン自己注射薬)使用の対象になってきます)

エピペンについて(平成23年に保険で治療薬として収載されました。管理人は
エピペン処方医師として登録されています。)
https://www.epipen.jp/

さて平成26年に日本でアレルギー疾患対策基本法が成立し
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78ab4117&dataType=0&pageNo=1

それを受けて各都道府県にアレルギー疾患医療拠点病院が設置され
福岡市でアレルギー疾患医療拠点病院となっている 福岡病院(旧南福岡病院)が
今日、食物アレルギーの講習会を行ったので 行ってまいりました。

食物アレルギーは 乳幼児期の疾患のイメージがありますが
時々、救急外来で成人でもお目にかかります。

成人は監督者がいないからか、原因食物が判明しているのに
食物アレルギー反応が複数回出ても
(例えアナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)になっても)
懲りない方が救急外来にはおられ、ええい食べちゃえ~!救急外来にいけば何とかなる、
といった感じで よほどの嗜好品なのか食べたい欲求を抑えきれない方もおられます。

もちろん生命の保証は致しかねるので、自己責任ですけれども・・。

発症時の治療法はワンパターンですので、
予防が最重要です。

ですので、栄養指導のお話が一番面白かった管理人でした。

小児は最初除去し、頃合いを見計らって
入院や外来管理下で少量からアレルゲンの食品を摂取していく経口免疫療法を中心とする。
小児は小学校になるまでにかなり寛解するが、たまに成人に持ち越す人もいる。

成人は今のところ、栄養指導は除去しかない というお話でした。
(成人になって今まで食べられたいたものが
いきなり食べられなくなるケースもあるとのこと)

参考資料を教えていただいたので 転載します。

①食物アレルギーの栄養指導の手引き(食物アレルギー研究会)
②食物アレルギーの栄養指導(医歯薬出版)
③食物アレルギー診療ガイドライン(日本小児アレルギー学会)
④ぜん息予防のためのよく分かる食物アレルギー対応ガイドブック
(独立行政法人 環境再生保存機構 同機構ホームページからダウンロード可能なようです)
⑤食物アレルギーの子どものためのレシピ集(④に同じ)
⑥保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(厚労省)
⑦学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(学校保健会)

https://komori-hp.cloud-line.com/

追記

Oral mite anaphylaxis(パンケーキ症候群)

家庭で眠っていた開封後のお好み焼き粉、ホットケーキの粉、たこ焼きの粉、てんぷら粉などに
知らないうちにダニが繁殖、調理して摂食することで ダニアレルギー患者さんが発症する
アナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)のことです。
対策としては、個包装の粉を買って使い切るか、冷蔵保存することが肝要です。

以下の論文がわかりやすいので引用します。
ダニの写真が出てくるので、閲覧注意してください。
https://www.nms.ac.jp/sh/jmanms/pdf/014010018.pdf

もっと一般向けはこちら。
https://www.ishamachi.com/?p=63181

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

認知症サポート医養成研修

2019-09-01 14:23:29 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

昨日から二日間にわたって福岡市内で行われた
厚労省と医師会肝いりの認知症サポート医養成研修が
終了しました。福岡市は医師会の推薦が必要ですが、
全国から200名くらいの医師が
来ていて驚きました。実はこのサポート医師養成研修は
診療報酬加算のための医師の要件になっており、そのことが全国から医師が
講習を受けに来る主たる理由です。もっとも当院は管理人が受講しても
病院が要件を満たさないので、点数はまったく関係ありません。

地域(あるいは限定期間内の入院管理)で認知症の人を支えるという理念の元
研修を受けた認知症サポート医師が「中核となって」支援チームを組み
地域(や院内)を引っ張っていくという
現時点では壮大すぎる概念で、研修終了間際のディスカッションでは
「果たしてそのようなことが 人口構成や支援体制の地域差も激しい
全国津々浦々のサポート医師に出来るのか」という
話題がどこのグループでも出たようです。

しかもこれはなぜか認知症のみが対象疾患で、
対象の方が認知症ではない(ほかの精神疾患とか障害など)とわかったら
支援チームは撤収するらしく、「なんで?」という疑問が付きまといます。

すでに包括支援センターやケアマネが
こういう取り組みを行っていると思いますが
この研修システムを作り上げるにあたって
ケアマネ協会と話してるのかなあ・・

と現役ケアマネージャーの管理人はふと思ったものでした。

すでに1万人以上が受講しているとのことです。
養成研修を受けた以上、求められた役割を果たしていきます。

認知症サポート医養成研修
https://www.ncgg.go.jp/kenshu/kenshu/27-1.html




https://komori-hp.cloud-line.com/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする