古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

介護保険改正について(居宅ケアマネージャー)

2018-03-28 09:02:19 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

本年1月より当院も居宅介護支援事業所を立ち上げました。
より密接な支援が可能になります。
よろしくお願いします。

さて、今回の改正で

(第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192309.html)

居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネに限られること(経過措置在り)
医療と介護の連携を深めること

の2点が強力に打ち出されました。

介護関係者の掲示板では「いちいち主治医に服薬状況や家庭の状況など連絡できるか!」という
主旨の意見も散見されます。

管理人も過去、在宅の患者さんを往診していた時に
患者さんがしょっちゅう急病になる方で、
ご家族が在宅ケアマネにも管理人にも連絡してこられ
こちらは迅速に動いて 医療処置を行うのですが
遅れてケアマネから管理人に連絡が入ったりして 
「さっき往診したのにまた同じことが起こったの?」などなど
時系列が不明で情報が錯綜していたので(よく聞いたら3日前のことだったり)
「急病の際はケアマネを飛ばして 直接主治医に連絡する」ということで
統一し、事なきを得ました。

在宅ケアマネがすべてを仕切る必要などなく、主治医はご家族からも訪看からも
(訪問薬剤師からも)情報は得られるし、わざわざお互いが面倒くさくなる方向で
話を進めなくてもいいんじゃないのかなあ

と思うことしきりです。情報共有は大切ですけど。
主治医ケアマネ連携に点数をつけるそうですが、
それはすなわち患者さんの自己負担が増える話でもあります。

中央の人(介護保険関係)は現場のことなどわかってないんじゃないか・・・
(大体 厚労省の審議会の委員は 大学教授など現場のことはほとんど知らない人が多い。
各団体の代表はいるけど・・)
開業医(在宅専門以外)はもちろん
医師会の在宅部門の担当理事(医師)も地域包括ケアの実態などあまりわかってない(人もいる)し・・
先日 医療監視に当院に来られた保健所長さんも 当院にいる患者さんがいかに
在宅支援から洩れている人ばかりか ということをご存じなかったし・・・
(ので教えて差し上げました)

先日 管理人がある遠隔医療(一定の要件の元、テレビ往診を保険で認めようという)推進の
講演会に行ったところ、演者の方が在宅患者さんのビデオを上映されました。

「家が一番、病院に行くのはきついので、遠隔医療や往診はありがたい」と
嬉しそうに話す患者さんのインタビューが映し出され
「これがすべての答えです」と在宅医療推進の方の声。

ちなみにその患者さんの横で、年老いた奥さんが映っておられました。
その奥さんの負担が如何ばかりのものか、その演者の方は一言も触れられませんでした。

家にいたいのは当然でしょうけど、介護者あっての在宅介護。
共倒れについては誰も何も言わないというか言えない雰囲気。。
こういう勇ましいことを仰るのは 介護はもちろん、育児も家事さえご自身でされたことのなさそうな
初老の男性が(国会議員を含め)多いのが気になります。

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グループホーム見学(in 広島県福山市)

2018-03-22 09:46:53 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

先日 管理人は
広島県福山市にある
ありがとうグループホームの見学会に行ってきました。

総合介護施設ありがとう
http://takinouarigatou.com/about

見学会概要
https://www.tsuusho.com/gh_tour/

当院は医療施設ですが、寝たきりの方、認知症の方も多く
介護の知識は必須です。

中重度者の多い当院とは 入所されている方の質が異なりますが
誤薬防止やリスクマネジメント、職員の労務管理の手法は大変勉強になるものでした。

こちらの法人は出版や講演、今回のような
有料見学会もサイドビジネスの一環として行われており
それも職員の方々の良い意味でのモチベーションを保つことに
一役買っているのだろうと思います。

毎回 内容が
施設の発展とともに 微妙に変化しているとのことで
数年後にまたお邪魔したいと思いました。

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循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ

2018-03-15 17:02:45 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

今日は2本立て記事です。

現在 厚生労働省健康局で 
「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ」が
開催されています。

現在 麻薬処方箋対象の麻薬が保険適応で使用できる疾患は
原則 悪性腫瘍に起因する疼痛に限られています。

保険適応ではないのですが、医療現場では末期心不全、呼吸不全の際に
保険外で麻薬が使われており、苦痛緩和にある程度の効果を発揮しています。
(モルヒネには呼吸抑制、循環抑制の副作用があり、死期を早める可能性は否定できません)

管理人も過去、良性疾患である末期心不全、呼吸不全の方々の
終末期「息が苦しい・・」と言われる患者さんたちに
「麻薬が使えたら どんなに良いだろう・・」と思いながらも
他の非麻薬性の鎮痛剤を使用するしかない場面が多々ありました。

今回のワーキンググループ発足は 関係者の方々の働きかけの賜物だと思います。
一刻も早く保険が通りますように・・・
(ついでに療養病床の麻薬使用保険適応も当然 悪性腫瘍のみですが、末期心不全や呼吸不全にも
使えるようにしていただければ・・・と切望します。)

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=492624


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最近の感染症関連の話題

2018-03-15 15:29:00 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

少し前ですが、インフルエンザに対し
一回内服ですむ(一回で治るかどうかは不明ですが)
新薬が承認され、昨日から保険収載となったようです。

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あの「1発、インフル薬」ゾフルーザ販売開始 塩野義

塩野義製薬が発売した抗インフルエンザ新薬「ゾフルーザ」。1回の服用で効果が期待できる

 塩野義製薬は14日、錠剤を1回飲むだけで効果が期待できる抗インフルエンザ新薬「ゾフルーザ」を発売した。同日から保険適用されるようになり、20ミリグラム錠が約2400円で販売される。
 ゾフルーザは、有望な薬を優先的に審査する厚労省の「先駆け審査指定制度」の対象となっていた。通常1年かかる審査期間が短縮され、昨年10月の申請から約4カ月で製造販売が承認された。保険適用のスケジュールも、今季のインフルエンザ流行に間に合わせるため緊急的に前倒しされ、スピード販売となった。
 薬価は20ミリグラム錠が約2400円。年齢や体重によって飲む量は異なるが、体重が40キロ以上80キロ未満の成人なら、原則として1回2錠服用する。患者側は1~3割を負担する。

http://www.sankei.com/west/news/180314/wst1803140073-n1.html
(産経ウエストより)

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管理人は一回で済む吸入より、
内服できる方なら 安定して効果のある
一回で済む内服の方が良いと思います。
原因不明の行動異常など出ずに
10代にもずっと使えれば言うことないです、、

(追記)この薬は 日本発の内服薬で、まだたくさんの人に
広く飲まれているわけではありません。思わぬ副作用が出る可能性もありますので
2-3年様子を見て、使ってみたいと思います。タミフルもすでにジェネリックが発売されており
新薬の方が高いというのも使用を控えたい一つの理由です。

また 帯状疱疹ワクチンは 現在 小児にも使われている水痘ワクチン(生ワクチン)が
帯状疱疹の予防ワクチンとしても承認されていますが、不活化ワクチンも過日承認されました。

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組換え帯状疱疹ワクチンが近く承認へ―新薬情報

登録日: 2018-03-05
最終更新日: 2018-03-05
コーナー: ニュース記事
診療科: 医政・医療 医薬品・薬価

薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は2日、ジャパンワクチンが申請した乾燥組換え帯状疱疹ワクチン「シングリックス筋注用」の承認を了承した。4月にも正式に承認される見込み。
帯状疱疹の発症者は年間約60万人と推定され、50歳以上の全国民(約5800万人)が接種対象となりうる。同剤はアジュバントを含む遺伝子組換えサブユニットワクチン。臨床上では既に承認されている乾燥弱毒生水痘ワクチンと同様の位置づけとなり、接種の際の選択肢の1つとなる。50歳以上には、0.5mLを2カ月間隔で2回、筋肉内に接種する。

https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=9456

web医事新報より(日本医事新報社)
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現行の生ワクチン(水痘ワクチン)と今回承認された
アジュバント入り(免疫増強効果を持つ物質入り)の不活化ワクチンの
いずれが良いのかは 不明ですが・・・

ついでですが、先日 ヒトパピローマウイルスワクチン(子宮頸癌予防ワクチン)について
名古屋市立大学公衆衛生学教室の先生が論文を発表され、当該ワクチン接種と副反応とされる症状に
明かな相関関係はないということでしたので、載せておきます。

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https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405852117300708
(ここから論文がダウンロードできます)

Papillomavirus Research
Available online 23 February 2018

No Association between HPV Vaccine and Reported Post-Vaccination Symptoms in Japanese Young Women: Results of the Nagoya Study

Sadao Suzuki Akihiro Hosono


この研究は2015年1月、ワクチンの薬害を訴える「子宮頸がん予防ワクチン被害者連絡会愛知支部」が名古屋市に実態調査を要望したのを受けて、河村たかし市長が実施することを決められたとのことで、
結果報告は論文になった後に、名古屋市のホームページにも掲載されています。

http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000088972.html

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経口摂取再開できた方々(当院編)

2018-03-07 12:27:37 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

当院には 急性期病院あるいはリハビリ病院ないし亜急性期病院からの転院で
「嚥下テスト不良(内視鏡下あるいはレントゲン透視下の造影剤などの経口投与にて 
嚥下運動が不十分なために、飲食物が胃腸にいかず、肺のほうに流れこむケース)ですので
経口摂取は難しく、経管栄養(あるいは点滴)となり、諸般の事情でおうちに帰れませんので
あとは療養病床でよろしく」と言った主訴の患者さんが結構おられます。

その中の1割未満ですが、当院にて経口摂取が可能になった方がおられます。
その方々の共通点ですが

①当院に来られてのち 覚醒が上がってきて
②発声がしっかりしている(会話の内容は問わない)
③他の方が食事をされているのを 羨ましそうにご覧になる、指さす、催促する
④(発熱(呼吸器由来)や痰、咳がほとんどなく、SpO2は95%越え(室内気下)が望ましい)

この4つの条件を満たしたら、お茶ゼリーから初めて(職員の目の行き届く昼食から開始)
バイタルサインを見ながら 段階的に食事を開始し、大抵は
成功します。その時期がどれくらい続くかというのは
人それぞれですが・・・。
また食事を再開と言っても、大抵は脳卒中後だったり、
安静を強いられて 手足が思うように動かない方が多く、
通常食までのアップは難しいので、普通はソフト食や栄養ゼリー、あるいはムース
よくて荒刻み食くらいまでの方が大半ですが・・

回復の度合い著しく、パンまで召し上がれるようになった方もおられました。
(あまり知られていませんが、パンはお餅と同様 かなり
誤嚥窒息の可能性が高い方の食品で、パンの場合は相当
職員の方でちぎって差し上げないと危険です。この方はもともと主食は
ご飯よりパンという俗にいう「パン派」の方です。)

以前の嚥下テストが不良であっても、上記4つの条件を満たしたら
経口摂取の希望ある方なら ご家族の同意を得て、医療職の厳重な監視の下で
トライしてもいいかもしれません。

ご参考まで。

窒息事故の詳細分析について (消費者庁)
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/100625kouhyou_8.pdf

http://komori-hp.cloud-line.com/


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