蒲田耕二の発言

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有名税

2022-10-22 | 文化
昨日終わったが、少し前から漫画家の楳図かずおが回顧談を朝日に連載していた。大阪で個人展が開かれたり、朝日に連載で登場したりするぐらいだから大した人物なんだろうな、と思う。

だけどオレはこの人に、ちょっと負のイメージがあるんだよな。

ずいぶん昔のことで、たしか60年代の半ばだったと思うが、彼の作に能面か何かの面打ち職人の話があった。お面製作のために次々人を殺して顔面を剥ぎ、果てはゲラゲラ笑いながら自分の顔面まで切り取るというホラー漫画である。

なんか凄い独創的アイディアに聞こえるかもしれないが、これ、ジョルジュ・フランジュの詩的ホラー映画『顔のない眼』にそっくりなんだよね。

で、オレの中で楳図かずおはパクリ漫画家ということなってしまった。

同じころ、平凡パンチか何かに小中陽太郎が連載していた対談に浅川マキが登場した。対談の中身は忘れたが、対談終了後にマキが即興でササッと書いてくれたと言って小中が紹介した「ディレクターに捧げる歌」なる詩は、強く印象に残った。

小中は、さすが天才詩人と感じ入っていたが、実はこれ、ピエール・バルーの同名シャンソンの丸写しだったんだよね。印象に残ったのは、他ならぬこのオレがバルーのレコードの歌詞対訳をやったからだった。

で、オレの中で浅川マキは中身のないニセモノ歌手ということになってしまった (実際、彼女の歌に感銘を受けたことは一度もなかった)。

たった一つのマイナスポイントを因に人格と業績を全否定することは、たしかにフェアではない。しかし、人々の記憶に強く残るのは、往々にして善いことよりも悪いことの方である。特に有名人の場合は。これぐらい大したことあるまい、というのがあとあと祟ったりする。心されたし。

音楽評論の世界でも、先人の文章をパクってあたかも自分の発見みたいな顔をしている奴がいるが、世間は意外にちゃんと見てるもんだよ。ナメない方がいい。

四季の『美女と野獣』に呼んでもらったので、恐るおそる舞浜まで足を伸ばす。街にはディズニーランド帰りとおぼしい親子連れがゾロゾロ。レストランやカフェは若い女性グループ (どういうわけかカップルより多い) でいっぱい。劇場もほぼ満員。みなさん、マスクはしているが、もうほとんど日常が戻ってるんだね。第8波の襲来を前に小康状態、でしかないのかも知れないが。
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