山登り・里歩きの記

主に関西地方を中心とした山登り、史跡巡りの紹介。要は”おっさんの暇つぶしの記”でんナァ!。

鞍馬から貴船へ 3

2017年01月22日 | 寺院・旧跡を訪ねて

2016年11月18日(金)叡山電車で鞍馬へ、義経ゆかりの場所を巡って紅葉の貴船神社へ。

 源義経息つぎの水~~義経堂  


山中へ入っていくと右手に「源義経公息つぎの水」がある。修行時代の牛若丸は、九十九折参道の由岐神社近くにあった東光坊という僧院に住まい、夜毎剣術修行のため奥の院の僧正ガ谷まで通ったという。その途中にあるこの湧き水で喉を潤したそうです。現在でも湧き続け、柄杓が置かれている。


少し距離があるが山道を登って行くと「義経公背比べ石(せくらべいし)」にたどり着く。ここは奥の院参道の最頂部で、この先は下り坂となります。下って行けば僧正ガ谷、奥の院魔王殿を経て貴船へ着きます。

牛若丸16歳の時、父義朝の仇を討つため鞍馬寺を出て、関東から奥州平泉に下ります。その際、名残を惜しんでこの石と背比べをしたと伝承されています。柵の中に置かれている石は1m半ほどでしょうか。背比べしたのですから、同じくらいの高さだったのでしょうね。

鞍馬山の写真には必ずでてくる有名な「木の根道」は「背比べ石」のすぐ真ん前です。道というから、かなり距離があるのかと思ったが、50m位でしょうか。

風雨の浸食によってむき出しになったのかと思ったが、そうではなかった。ここの地質が硬いため、根が地中まで這い込めないためのようです。杉の根が浮き出て、地表を這うようにして横に伸び、奇観を呈している。
ここで牛若丸が兵法修行をしたと伝えられ、五条大橋で弁慶と争ったあの身軽さは、その成果なのでしょう。こうした場所で子供を遊ばせたら、牛若丸とまでいかなくとも丈夫でたくましいく成長すると思うが。現代の親は絶対にそうはさせません。眼の色変えて飛んできます。案内板に「できるだけ踏まないよう」と書かれているが、踏んで歩くほうが大変です。

「下に這う鞍馬の山の木の根見よ 耐えたるものはかくのごときぞ」與謝野寛(鉄幹)


木の根道を過ぎ、緩やかな斜面を降りていけばすぐ大杉権現社です。柵で囲われ、惨めな姿の大杉(?)が見える。これが祀られているご神木なのでしょうか。後で調べると、昭和25年の台風で折れてしまったそうです。この辺りは護法魔王尊のエネルギーの高い場所だそうですが、自然のエネルギーのほうが強かった。

この大杉権現社から参道に出るのに一苦労。明確な方向案内が無く、斜面のどの方向に下りていけばよいのか迷った。カンで降りていったらアタリでしたが・・・。

やっと奥の院参道の階段に出た。かなりの急階段が続いているが、降りなので楽です。やがて白幔幕の張られたお堂が見えてきた。僧正ガ谷不動堂らしい。

僧正ガ谷不動堂は昭和15年(1940)の建立で、宝形造、本瓦葺、正面に向拝が付いている。堂内には、伝教大師・最澄が天台宗開宗の悲願のために刻んだと伝わる不動明王が安置されている。

不動堂の周辺は鬱蒼と茂る杉の大樹に囲まれ、昼なお薄暗い。この辺り一帯は「僧正ガ谷」と呼ばれ、牛若丸と鞍馬天狗の出会いを題材にした謡曲「鞍馬天狗」の舞台。九十九折の道にある僧院・東光坊に預けられ住んでいた牛若丸は、昼は学問、夜はここ僧正ガ谷まで通い武芸に励んでいたという。ここで天狗と出会い、剣術や妖術を習ったのでしょう。鞍馬天狗といえば、なぜか嵐寛寿郎を思い出してしまいますが・・・。

不動堂の真ん前に義経堂がある。
源義経は平家を滅亡させたのち、兄の頼朝に憎まれ、悲劇的な最後を遂げた。鞍馬山(鞍馬寺)では、義経の魂は幼少時代を過ごした懐かしのふるさと鞍馬山へ戻ってきたと信じ、護法魔王尊の脇侍「遮那王尊(しゃなおうそん)」として祀られている。義経は神になったのです。毎年九月十五日に「鞍馬山義経祭」が行われている。

 奥の院魔王殿~~貴船へ  


僧正ガ谷からさらに10分ほど降りていくと、鞍馬寺の最奥部の奥の院魔王殿(おくのいん まおうでん)にたどり着く。11時過ぎです。この魔王殿には、650万年前に人類救済の使命を持って、金星からやってきたとされる護法魔王尊が祀られている。

建物は、昭和20年(1945)に焼失し、昭和25年(1950)に再建されたもの。見えているのは拝殿で、奥に本殿があります。幔幕の円い紋は、屏風坂の地蔵堂、大杉権現社や僧正ガ谷不動堂で見られたのと同じ紋。これは「羽団扇」という鞍馬寺の寺紋で、義経に兵法を伝授したといわれる天狗をイメージしたものだそうです。
鞍馬寺はここまで。”お疲れさま!”ということで、魔王殿前には幾つかベンチが用意されている。皆さん、食事したり地図みたり、寛いでいらっしゃる。
ここから引き返すには大変です。叡山電鉄駅のある仁王門までは2キロあり、それも坂道を登らなければならない。それより、このまま坂道を600mほど降りれば鞍馬寺の西門でありまた貴船の入口に着く。バス停も近くなのでそのまま帰ってもよし、あるいは貴船神社へ寄ってみるのもよし。私は最初から貴船へ行く予定でした。

これから降ります。西門まで何もありません。紅葉も無く遠望もきかず、ただひたすら急な坂道を下るだけ。参道のように整備もされていない。山の登山道と同じ。
この坂道を登ってくる人もかなりいる。先に貴船を訪れ、それから鞍馬寺へ向かうのでしょう。すれ違う人は皆さんキツそうです。下りで良かった。
所々、こうした木の根の芸術に出会う。これも硬い地盤のせいでしょうか?。浸食によるもののように見えますが。



ようやく見えてきました紅い橋が。貴船に着いたようです。奥の院魔王殿から20分位でしょうか。










ここは貴船側から鞍馬山への参拝口にあたる鞍馬寺・西門です。西門といっても、鳥居のような簡単な木組だけの門です。傍に登山費(愛山費?)を徴収する受付所がある。
受付の方の話によると、クマが今年は6回でたそうです。イノシシはどうですか?、と訊ねたら、普通に歩いていますよ、という返事だった。猪熊山にならんことを・・・。



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