◆〜長篠の戦いから450年、武田の武将たちを知る〜◆
はじめまして。今年度、甲府市市民レポーターになりました若(わか)と申します。
甲府市の魅力について発信しながら、わたし自身も楽しく学んでいきたいと思います。
よろしくお願いします!
今回は、現在、甲府市武田氏館跡歴史館(信玄ミュージアム)でおこなわれている企画展「長篠の戦いと武田二十四将」に行ってきました。
今年は長篠の戦いから450年という節目の年。
常設展示とあわせて、長篠の戦いや武田二十四将について思いを馳せることができる展示でした。

今回の企画展で展示されているのはこちらの3点の二十四将図と『甲陽軍鑑』です。

長篠の戦いというと、武田氏滅亡へのきっかけとなった負け戦、というイメージが強い方が多いかと思います。実際、織田・徳川連合軍に武田勝頼率いる武田軍は大敗しました。
二十四将の中でも8名の武将がこの戦いで命を落としたと言われています。
今回、取材させていただくにあたり「なぜ、長篠の戦いから450年という節目の年に、二十四将というテーマで企画展示をおこなったのか」という点を伺いました。
合戦図ではなく、二十四将図を展示した意図は?着目してほしいポイントは?それに対しての回答のひとつに「人物を知ってほしい」というものがありました。
前述したように、長篠の戦いというとどうしても武田氏にとってはマイナスイメージになりがちですが、ただ「大敗した戦」というだけでなく「そこで戦った武将たち」を知るきっかけになれば、とのこと。
そもそも、武田二十四将図というのは江戸時代に『甲陽軍鑑』がベストセラーとなり、そこから芝居や錦絵などエンターテイメント的な部分で広がっていったもののひとつだそうです。
要するに、戦国時代に「武田のこの武将がすごい!」と記録されたものではなく、後世の人間が『甲陽軍鑑』を読んで「武田のすごそうな武将を集めてみた!」というもの。
現代で武将を題材にした小説や漫画、ゲームなどが作られているのとあまり変わらないということです。

こちらが展示されている『甲陽軍鑑』です。ここには各武将の名前や旗印、有していた兵の数などが記されています。現代語訳も展示されていますので、どんな内容か我々でも読むことができます。
天下を取ることが叶わず、戦国の騒乱の中で滅亡の道を辿った武田家。にもかかわらず、こうして後の世で創作の題材にもされるほど人気があったのだな、と感じました。つまり、それだけ武田軍、武田の武将たちは魅力的であったということ。
この展示を機に、現代に生きる我々ももっと二十四将ひとりひとりを深く知っていけば、新たな発見があるかもしれません。
ちなみにわたしは、二十四将の中では馬場信春が好きです。
信玄の父・信虎の時代からの武田家臣であり、年配者としてときには信玄を𠮟ることもあったとか。信玄亡き後は息子である勝頼に仕え、長篠の戦いでは撤退を進言するも受け入れられず、最期は殿を務め散っていった将です。多くの戦で武功を挙げた知勇兼備の将ですが、合戦においてはかすり傷ひとつ負わなかったとも言われています。
そういった“つよつよ”エピソードを持つ猛将知将が24人もいるのです。興味が湧いてきませんか?
二十四将図をまとめて3点も見られるこの展示、ぜひ足を運んでみてください。

二十四将について説明してくれるパネル展示もあります。
また、こちらの展示室では、躑躅が崎館周辺の出土品の展示や音声と映像で学ぶことのできるシアターもあり、当時の暮らしや甲府のまちの様子を知ることもできます。




合戦で活躍した武田の武将たちが普段はどんな生活を送っていたのか、と考えながら見ると、より一層楽しめますね。
個人的には、馬の骨の出土の展示が大変興味深かったです。
出土の状況や骨の状態から、非常に大切に扱われていたことがわかるそうで、まさに戦国最強の騎馬隊とうたわれた武田に相応しい出土品であると感じました。もしかしたら、二十四将の誰かの愛馬だったのかもしれません。ロマンがありますね。
なお、常設展示では武田三代や甲府の歴史について学べる展示が無料で見られます。
長篠の合戦に関するパネル展示もあります。

今年は山梨県立博物館でも特別展「武田勝頼 日本に隠れなき弓取り」が開催されていました。
武田信玄だけでなく、近年はその父である信虎、息子である勝頼についても再考される機会が多くなっているように感じています。
長篠の戦いというと、どうしても武田氏滅亡というイメージがありますが、この機会に、改めて長篠の戦いでの勝頼や武田の武将たちの活躍に注目してみるのもいいかもしれません。
さて、ここからは余談ですが……。
信玄ミュージアムといえば、わたしは実はトイレ内の掲示が好きなんです。

今回は職員の方にお願いして、特別にトイレ内を撮影させていただきました。
【女性用】

武田家に縁のある女性の名前がそれぞれの個室に貼られています。どこに入ったらいいか、迷ってしまいますね。
【男性用】


よくある「一歩前へ」の掲示にもユーモアがあって思わず笑ってしまいます。英語版での案内があるのもいいですね。
実はコインロッカーも面白いです。

「鬼」に関する二十四将たちが選抜されています。
他にも、信玄ミュージアムには見どころやフォトスポットが数多くあります。武田神社の目の前にある施設ですので、武田神社へお参りの際に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

職員のみなさま、この度はお忙しいところご対応いただきありがとうございました!
※写真は全て許可を得て撮影しております。本来は撮影禁止となっている展示もございます。
【甲府市武田氏館跡歴史館(信玄ミュージアム)】
https://shingen-museum.com/
〒400-0015 山梨県甲府市大手3丁目1-14
055-269-5030
開館時間:9:00~17:00 休館日:火曜日(その他臨時開館・休館あり)
観覧料:特別展示室300円
企画展「長篠の戦いと武田二十四将」2025年3月20日(木)~6月2日(月)