時刻は早朝4時10分。
空が白み始めた暁のもと、
作戦は開始される。
適当に走っているハンヴィーを捕まえ、戦友たちと乗り合って作戦地域へ。
早朝とはいえまだまだ暗く、敵は闇にまぎれている。
このドライバーのように、暗視ゴーグルは欠かせないだろう。
武装ゲリラ、もしくはロシア軍とおぼしき敵を撃ち、
手近な拠点からいくつか占領していく。
そのような任務に1時間ほど従事していただろうか。
次第にだんだんと空は明るさを増していき、
兵士たちの頭からは暗視ゴーグルが取り外され、
5時半も回ると完全に大地は陽の光に照らされた。
時間の概念があるのがこのゲームの特徴の一つ。
リアルタイムという気長な進行ではあるが、
時間の歩みとともに戦況も違う顔を見せることになる。
夜間や未明ならば闇に紛れての隠密作戦といった性格があるが、
朝日が顔を出すと、視界が開けると共に正面戦闘の傾向が強くなり、
遠距離からの狙撃、ミサイル、砲撃と、実に騒がしくなってくる。
時刻が6時を回った頃、クラン員のpesくんと合流。
Arma2ではプレイヤーはそれぞれ自分の顔などを設定できる為、彼は初老の出で立ちで、
まるでザ・ロックに出てくるような古参兵といった雰囲気を醸し出している。
pesくんの装備は対物狙撃銃と対戦車地雷。
俺の装備はSCARライフルと対戦車ミサイル。
嵩張るこれらの持ち物は、今回の作戦に深く関係している。
今回の作戦は、敵の勢力下に潜入し、ゲリラ戦を展開するというもの。
地雷、対戦車ミサイル、狙撃銃などで待ち伏せと奇襲でのアウトレンジ攻撃を行い、
後方地域の敵軍の増援部隊、装甲部隊などを未然に撃破することを目的とする。
援軍阻止、漸減作戦である。
Arma2の戦域は果てしなく広大な為、待ち伏せるにしても上手く地点を選ばなければ何十分も待ちぼうけになってしまう。
そこで今回は、ココ、重要拠点
Bastamと
Falarを南北で結ぶ幹線道路を目標地点とした。
Falar以南にはさらに戦略上重要な拠点群があり、Falarはそこに至るまでの通り道である。
これまでの戦況から、ロシア軍の本拠地はBastamより北方にあると仮定し、
重要拠点群を取る為にこのFalarへ至る道路は必ず敵の交通があると予想した。
ここを封鎖すれば、敵の増援が遅れ、Falar以南の友軍部隊が優勢となり、戦線を押し上げてくれるはずである。
これが目標の道路である。
地雷敷設に走るpesくん。
言うまでもなくここは敵の勢力下で、東西南北どちらを向いても敵の拠点しかない。
つまり隠密性が最重要となる作戦である。
この地雷を敷設している間、2機ほどロシア軍ヘリが上空を通過するも、
俺たちには気づかずに通りすぎていった。
まさかこんなところにゲリラ部隊が入り込んでいるとは思っていないであろう。
敷設した後、丘に登り岩の後ろで待ち伏せる。
ここは忍耐との勝負である。
しりとりでもしながら待っていたところ、
しばらくすると・・・
「車輌の走行音!」
眼下を見ると、北から南に、3輌編成の車列が走っている。
予想的中!
先頭はロシア軍のBMP歩兵戦闘車、後ろにAPC
(装甲兵員輸送車)、そして救護車。
俺は持ってきた対戦車ミサイルのスコープを覗きながら、
固唾を飲んで車列の動向を見守っていると・・・
踏んだ!
まず先頭のBMPが地雷を踏み、続くAPCも地雷で撃破。
吹っ飛んだ車内から乗員の死体が四散する。
3輌目の救護車はそれを見て緊急停止するも、俺が持ってきた対戦車ミサイルで撃破する。
コレは1km先からロックオンし誘導する、長距離戦用のスグレモノ。
赤十字を撃つのは気が引けるが、ここは戦場なのだ。
大部分の敵は地雷とミサイルで死亡したと思われるが、
少数、かろうじて脱出した敵の乗員が走ってきたので、
ライフルに持ち替え交戦を開始する。
pesくんは12.7mm狙撃銃、俺は7.62mmライフル。
標準の5.56mm弾の銃ではなく、どちらも大口径ライフルを持ってきている。
大口径弾のほうが弾道直進性に優れ、長距離での命中精度は高い。
要するに徹底的にアウトレンジ戦なのだ。
かろうじて生存した敵兵も満足に反撃できぬまま、
丘の上から狙撃されるだけの運命だった。
「1人ダウン、2人目ダウン、3人目・・・4人目、ダウン。」
「クリア!」
「オーケー、殲滅完了だ。」
たった2人の待ち伏せと奇襲により、1個小隊
(20人超)と2輌の装甲車、1輌の車輌を撃破した。
作戦成功!
2人で今回の戦果についてウキウキと語りながら、
ハンヴィーに乗り自軍拠点への帰路へついた。
そして弾薬の補給をし、再び次の作戦へと向かうのだ。