
















yの上司は検査部門と品質管理部門も兼ねていたので超忙しい方だった!
依って、入りたてのyを中心にかなりの任務を播かせ大目に見てくれた。 言うなれば任せてくれる太っ腹なところがあった!!!
入社2~3年もすると親方伝承主義の組み立て方式は組み立て標準書、技術標準書に基づき総て展開される近代的な生産方式へと変貌をし始める・・・
組み立てに関する技術標準は1年足らずで集大成されこのノウハウ集で運用されるようになる・・・
そして、大発展を遂げる新製品販売ラッシュ時代へと様変わりする・・・
最も遣り甲斐を感じたのは新製品が出る度我々組み立て技術要員は2~3人でベルトコンベアーで流す生産方式に作業分解し組み立て作業標準書を造った!!!
出て来る新製品の総ては我々2~3人の出来で如何でベルトコンベアーんがスムースに流れるか?が掛かり、その出来具合が現場主任のお目玉にも関わっていたのでかなりのプレッシャーがあった。
ベルトコンベアーは、通常、24~5人で構成されるので複雑時計でもこの人数に合わせた作業分解をしなけらばならない!
ベル機構が付いた「べルマチック」、複雑怪奇な「クロノグラフ」等の組み立て標準書作成にはかなりの脳味噌を使った。。。
超高精度時計:「グランドセイコー」は、生産される時計総てが日差1~2秒以内に抑え込まれていた!!!
当時の機械式時計では超雲の上の存在でスイス時計、ロンジン、オメガ、ローレックス、パテック等でも成し得ていなかった!!!
それを量産方式でジャカジャカ造り上げるのだから一寸脅威だったに違いない!!!
それには訳があった!!!
部品加工はスイス式の自動盤:トルノスやこのコピー品島津のT-7自動盤、歯割自動機、そしてシェービングプレス等の機械が惜しみも無く導入されるようになり部品精度は飛躍的に上がって行く・・・
そして、何よりSEIKOグループの強かったのは、金属材料加工部門に東北大学の協力も得て精材研研究所を仙台市に設け此処で特殊鋼加工のゼンマイやヒゲゼンマイを造っていた事だった。
エリンバー、コエリンバー等Ni、Cr、W等の特殊金属を使った超強強度、温度係数の優れた材料を量産体制で造れる工場を持ち合わせていた事だった。
腕時計の難しい所は、腕に付けあらゆる姿勢で持ち歩くので如何なる姿勢であろうが等時性を維持することが肝心でこれを日差1~2秒に抑え込むという事は当時の技術では至難の技だった!
依って、機械時計ではなく水晶時計や電波時計の研究も並行して進められていた・・・ 後後この時代が来るのは時間の問題だった。。。。。。




時計の専門家の間では、等時性という言葉は常識中の常識!!! 等時性なくして時計を語る事は出来ない!!!



この当時性を確保するのに腕時計の調整機構、脱進器機構の研究なくして語れない!!! あんなチッポケなメカニズムだがこの心臓部の研究に理論時計学という学問がある!!!
組立技術要員のyは、日夜この理論時計学を勉強した!!! 座右に置かれていたのがグロスマンの「理論時計学」だった。 微分積分学をフンダンに使った一端の研究分野で数学の好きなyは好んでこの勉強に浸った・・・
理論時計学の神髄は、調整機構のテンプのアンバランスの除去、これをテンプの重り取りという!!!
この技は誰にでも出来るような代物ではなく、10年、20年の熟練を要した!!! 何せ、時間の遅れ進みを測るタイムグラファーの+、-を見ながらテンプのどの位置に如何程のアンバランスがあるか読み取り、これを超小さな錐で削り取るのだから至難の技だった・・・
また、テンプの回転運動を戻す為にヒゲゼンマイという小さな小さな渦巻きバネが使われている・・・
これにも一端の理論があり、ヒゲゼンマイの捲き出し位置と最終固定する播き終わり位置との間に姿勢差を超左右する巻き込み角という理論がありこれが時間:つまり等時性に大きく関わっていたのでヒゲゼンマイの造り込みにはかなりの技術力を必要とした・・・ そして、嫌な事にこの部品は、温度で伸び、縮みするという温度係数成る要因を秘めていたのでかなり厄介な部品の一つだった!!!
時計の時間制度はこうした幾つもの要因の塊で左右されるので言うなればかなり厄介なメカという事になる!!!




我社ではこうした理論時計学の一端がかなり解明されていて、高級時計を中心に普及品時計にまで波及落とし込んでいたので普及品と雖も品質の高い時計を世の中に送り出していた。。。
高級時計ローレックス、オメガ、ロンジン等に伍して世界中で戦えた由縁と言えよう!
何より痛快だったのは、我が時計調整師数名で造るコンクール用の時計がニューシャテル天文台のコンクールで首位を独占、スイス時計会社の鼻を挫いてしまった快挙事件があった。
これは、世界中から脅威と受け止めれられ、翌年からコンクールが中止されるという大事件へと・・・・
そして、この事件後、我社では、腕時計のクォーツ量産に成功するという快挙を成し遂げ世界中を驚かす!!!




( つづく・・・ )
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