2011年10月26日(水)「しんぶん赤旗」
国交省OB・天下り“玉突き”
別に3ルートあった
塩川衆院議員調査で判明
国土交通省の官僚ОBの「天下り」に現役官僚が関与した“玉突き”人事が国会で問題になりましたが、新たに3本の“玉突き”ルートが、日本共産党の塩川鉄也衆院議員の調査で判明しました。天下りの「あっせん禁止」を掲げる民主党政権の姿勢も問われています。
この問題は、7月29日の衆院内閣委員会で、塩川議員が最初に取り上げたもの。国交省九州運輸局次長が同省所管の「日本小型船舶検査機構」の業務担当理事に現役出向したことを契機に、(1)同省ОBの同機構業務担当理事が「海技振興センター」の常務理事に(2)同センター常務理事が「日本冷蔵倉庫協会」理事長に―と、“玉突き”人事が行われ、宿利正史審議官(現事務次官)が関与した疑惑を追及しました。
今回、明らかになったのは、「軽自動車検査協会」の2本のルートと、「日本物流団体連合会」のルート。(図参照)
国交省北陸信越運輸局長が、ことし7月15日、軽自動車検査協会の理事に現役出向すると、理事だった同省ОB(元海上保安庁参事官)は、「港湾近代化促進協議会」の専務理事に就任しました。
これに先立ち、同専務理事だった元関東運輸局長は、全日本トラック協会の理事長に就任。同理事長だった元海上保安庁次長は日本自動車ターミナル株式会社の専務に。このポストにいた元海事局長はJR東日本の常勤監査役となり、監査役だった元海保次長は子会社のJR東日本都市開発の会長になりました。
軽自動車検査協会をめぐっては、ことし7月1日に国交省中部運輸局次長が同じく理事に就任していますが、同理事に現役出向していた同省自動車交通局技術安全部長が、自動車工業会常務理事に転出しました。2006年7月から自動車工業会の常務理事に天下りしていた元自動車交通局技術安全部長は、ことし4月、軽自動車検査協会の理事長に就任、後進に“席”をあけていました。
一方、日本物流団体連合会の理事長に、ことし6月に就任したのは、09年7月に大臣官房付で国交省を退職後、三井住友海上保険顧問に就任した元九州運輸局長。同連合会の理事長だった元政策統括官は、西武鉄道の取締役になり、同取締役だった元運輸政策局観光部長は、つくばエクスプレスの「首都圏新都市鉄道」の社長に納まりました。
この“玉突き”ルートは、民主党の政権交代期で天下りあっせんができなかったОBの“救済”が目的でした。
これら一連の“玉突き”人事は、いずれも宿利事務次官が審議官当時におこなわれたもので、徹底的な解明が求められています。