2011年10月2日(日)「しんぶん赤旗」
東電賠償請求
日弁連がサポート
膨大な提出書類 補償額に不安 領収書ない…
東京電力福島第1原発事故にかかわる損害賠償請求について、膨大な量の書類を提出する手続きが煩雑なだけでなく、「十分な賠償となっていないのではないか」と被害者から怒りの声が広がっています。日本弁護士連合会(日弁連・宇都宮健児会長)は、被害者が迅速、公正、適正な補償を受けられるよう相談会など、活動を始めています。 (岩井亜紀)
年金暮らしでは
福島県南相馬市の男性(67)は「書類に書いても、俺らには賠償金はこれ以上出ないみたいだ」と話します。
男性が示したのは、「補償金ご請求のご案内」と書かれた説明書。そのなかに、「仮払補償金及び追加仮払補償金を受けられている方につきましては、本補償金のご請求額と精算させていただきます」という文言がありました。
同原発から30キロ圏内に住むこの男性は、仮払金100万円と追加仮払金30万円を受け取っています。
「避難していたときに倹約してものを買わないようにしていた。年金暮らしだから『就労不能』は関係ない。請求できるのは、『精神的損害』だけだ」といいます。
避難時にかかった費用は、領収書を添付して請求します。
同原発の2回目の爆発後、バスで群馬県内に集団避難した男性(68)は、「どさくさにまぎれて夜中にどこへ行くのかもわからず連れて行かれたんだ。逃げるときは夢中だったから、領収書をもらうことまで気がまわらない」と怒ります。
4点を呼びかけ
こうした事態を受け、日弁連は会長声明を出し、損害賠償の請求書式と請求手続きに問題があると指摘しています。
声明は被害者に対し、東電に請求書を出す際には、慎重な行動を取るように次の4点を呼びかけています。
(1)請求漏れのないように。不十分な理解のまま書いて提出することは絶対に避ける
(2)煩雑な請求書をつくって請求する他に、より簡単な「原子力損害賠償紛争解決センター」に申し立てることもできる
(3)賠償額に不満や疑念があるときは、安易に合意書に署名しない
(4)不明な点は弁護士へ相談を
福島県弁護士会には「原子力発電所事故被害者救済支援センター」があります。東京や埼玉、群馬、札幌で被害救済のために弁護団が結成されています。各地で弁護士による無料相談会も開催するとしています。
問い合わせ=日弁連の東日本大震災・原子力発電所事故対策本部事務局 電話03(3580)9956 ファクス03(3580)9957
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