太宰府木うそ保存会

木うその技術伝承と原木育成を目的とした会です。木うその歴史や会の活動内容などを紹介します。

木うその原木 ~ホウノキのお話~

2010年02月06日 | 木のお話
木うその原木は何の木かご存じですか?

木うそはホウノキと呼ばれる木で出来ています。太宰府ではホウノキは「方を
除くる」と言われ、災い除けの木とされ、昔から方角の悪い家の隅に植えたり、
新築の家の四隅に木を置いたりしていました。
この木を使って作る木鷽は、災除の効力が宿っていると信じられ、火除や悪霊
退散のお守りとして神棚に祀られる一面を持っています。

しかし、現在、木うその原木は本当のホウノキ(朴の木)ではないのです。
コシアブラという木を使って、作られています。
ホウノキ(朴の木)はモクレン科、コシアブラはウコギ科で全く種類の異なる
木です。

なぜ、ホウノキ(朴の木)じゃなくて、コシアブラなのか。

どちらの木も真っ直ぐに伸びやすく、木うその羽を巻き上げることができる柔軟な木です。
加工しやすい特徴を持つ木は、ホウノキあるいはウソノキとして長年使用されていた
いました。そのことから、太宰府周辺では昔からコシアブラのこともホウノキと呼んで、
木の区別がありませんでした。


左がホウノキ(朴の木) 右がコシアブラ
このように森の中では共生していることもあります。


現在はコシアブラを使って木うそを作る理由には、木肌の色に関係があります。

ホウノキ(朴の木)は木肌に黒の縞模様が入り、木鷽の羽に色が出てしまいます。
コシアブラは木肌が真っ白(たまに黒い筋の出るものもあります)で、彩色や仕上げが
綺麗に出来あがります。
 
二つの木の断面の色を比べてみると、違いがよく分かります。



左がコシアブラ  右がホウノキ(朴の木)

「木うそは神棚に祀るものだから、清浄な真っ白な木がよかろう」(某太宰府天満宮神職)

こういう木うそに対する作り手の心が、ホウノキや木うその信仰に結びついているのかも
しれません。