この本も病院の売店で買い求めました。前の本の感想(村上春樹「猫を棄てる」)にも書きましたが、わずか10冊程度の本の中から選んだ割には、素敵な出会いが出来、その出会いに私は感謝したくなりました。
退院までには読み切れませんでしたが、退院後に整形外科に行き(2月3日)、その待合室で読み切りました。その時ふとハンカチを目に当てると、そのハンカチが微かに濡れました。
泣き虫なんだから~、私。
でもジワッと来ますよ、これ。
帯には「もう会えない人からの『想い』を猫が届けます。」とあり、これはあの世とこの世の堺にあり、「会いたい人に会わせてくれる」と噂のカフェ・ポンで、天寿を全うした猫のふー太が、「仕事を5回達成すると、会いたい人に会える」と言う報酬につられて、店主・虹子の元で働く物語です。
5つのエピソード+エピローグ、皆素敵です。ただ涙涙のお話だけではなく、時には苦い気持ちにもなったり、時にはざまあみろと言うようなお話もあり、読んでいて楽しかったです。
だけど私が、ポンのポストに「ももちゃん」と名前を書いて、または「スノウさん」と名前を書いて入れたとしたら、いったいどんな形で会いに来てくれるのだろう・・・・
ほんのちょっぴり、そんな気持ちにもなって切なかったです。
この本の装丁(長崎綾)は綺麗だし、装画(日下明)の猫さんもとっても可愛らしい。
標野凪さんの本は初めてです。初めての方の本を手に取るのは、やはりタイトルも大事ですが、表紙も大事だと思います。
この本を評価する時、やはり作者の方にばかり目が行きますが、実は1冊の本と読者が出会うには、多くの人の手がそれを支えているのだとしみじみと思いました。
ただその後は、作者の力です。今日、また本屋に行きました。2月2日発売の新刊が出ていました。
今月はちょっとお預け。
でもきっとまたこの方の本を読むと思います。