心のしおり～ 宅急便

　手慰めに続けているＪの畑に、今年も、歌人の俵万智さんの言うところの“勝ってに赤い畑のトマト”の収穫期が始まっています。
高校教師であった万智さんは、勿論トマトになぞらえて、思春期の子供の成長を歌っているわけですが。



もっと赤くなるように、今朝、Ｊが下葉を落としました。
緑の中に見えた赤色は鮮烈で、なるほど、若い実の、内蔵するエネルギーを感じる事が出来ます。



Ｙちゃんに送るトマトも、用意が出来ました。
舅（しゅうと）がこれを、上手に平箱に並べて行きます。

喜んでくれる嫁がいて、Ｊはそれだけで嬉しいのです。


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月曜便り40 「こんなに楽しい」

　時々とても行って見たい所に、動物園があります。
大概言うことを聞いてくれる夫ですが、叶わないのが動物園です。

Ｊが大好きなのはウォーキングなので、あなたはその辺を歩いていればいいので、「ワタシをＺＯＯへ連れてって！」と言うとなんとＯＫが出ました。

嬉しいなぁ。

　

姫路城のお堀の回りに、その小さな動物園があります。
姫路は縁（えん）のある土地柄で、何度も何度も来るチャンスに恵まれていましたが、極端な動物嫌いの夫は、見学をおくびにも出しません。
今回は発案勝ちで、難無く思いが叶いました。
夫と別れた私は、まだ人出もまばらな園内を興味深深で歩き始めました。

まず正面に、自然動物保護の募金箱がお出迎えです。
ベストタイミングで、東京のパンダを思い、わたくしも、徹子さんに習って「でかしたね！」と頭を撫でました。

その様子を小首をかしげて、ダチョウが見ています。

　

小さな動物園と言えども、充分な動物に会う事が出来ます。
まず、パンフレットのものをご紹介します。

　
　

百獣の王とも思えない雄ライオンの姿に、クレームが口を突きました。

マア。ナントモ。

これに負けないのがカバでした。



しっかり朝ごはんを食べている草食系の動物です。

　

クマやタンチョウツルもとても元気で、早い来園者を喜ばせてくれます。

　

そして可愛い！と声を上げたのが、レッサーパンダでした。
犬も猫も飼った事のない私が、動物の可愛さを瞬時に感じ取りました。



あれもこれもＨに見せたい。
見せたいものばかり。

一時間後にＪと落ち合って、簡単に帰って来ましたが、またいつでも出掛けよう。
昔日の思い出が引き寄せるのに違いない。
頭の中の、遠いあの日の一枚の映像。



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祥月の母

　　花金の夜更けから、週末の明け方にかけて、兵庫県南部も大変な雨で、夜通し遠雷が唸（うな）りを上げ、雨戸を雨が、激しく打ちつけていました。
午前五時半には河原から警報音が鳴り響きます。
川の増水を知らせるものだと直感しました。
近くの貯水湖からの放水かも知れません。

在所の志染（しじみ）川が、主流の美の川となって、お隣の一級河川、加古川へと流れる本元に美しいダムがあります。
水位が上がると放水される事があり、何事も無いことを祈りながら、日が高くなるのを待ちました。



写真よりも激しい流れで、水の恐ろしさをまじまじと感じます。

子供の頃はこの川で泳ぎ、七夕のササ飾りもこの川に流しました。

勿論、今はそういうことは壊滅し、盆の送り火も、河原に清掃車が待ち、供物はそこに入れる事になっています。
ただ、新仏のお飾りは読経の中、河原で一括焼却されています。

山へ上がった私達家族を、母は心配しましたが、いつもこの橋を通って実家へ帰ります。
車でたった五分の距離ですが（笑）

一応、川が私と母を離しました。


七夕伝説にロマンを感じる夕べには、雨も上がりました。
我が家は、ササには苦労をしないのをいい事に、ささやかなお飾りをしています。



ひとつだけ願いを書けるのですが、いざとなれば書けない事に驚きました。

「Ｊさんんはなぁに？」

「幸せでありたい！」

相変わらず、全体のぼんやり感に難があります。

「もう少し具体的にお願いします」

「・・・健康！お金は欲しいけれど、それは二の次」

一は幸せ、二は健康、三はお金か・・・Ｊさんは。

まぁ、自己中心的で、中々よろしい。

ますます書けなくなって、「お母さん」と呼びかけました。


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熱唱

　販売苗の中に入り混じっていたのか、自宅の登り棚の中に、ひとつの結実を見ています。
さて、これが何なのか今だに分かりません。

ヘチマだ、カボチャだ、と言いながら、現在このような形なっています。



教えて頂きたいですが（笑）、成長を楽しみに致します。


昨日の思いが通じたのか、息子から偶然に電話があり、孫のＨの声を聞かせてくれました。
わたくしは特異（？）の喉で「いぬのおまわりさん」を歌いました。

まいごの　まいごの　こねこちゃん♪～

「笑っているよ」息子が状況説明に入ります。


一度帰るからね、と言ってくれました。

「○ちゃん、嬉しいね」Ｊも喜んでいます。

播州は祭りどころで、地元にも、秋に勇壮な祭りがあります。
「お祭りには帰って来てね。Ｈに見せたい」そう伝えました。

法被も用意して、Ｈが隔世遺伝子を受け継いだ者なのかを確認して見ます。

小さなものが成長して行くのは、ましてや何だか分からない不思議は、とても楽しみです。

「泣くかな」
「どうだろう？」

こんな事でも嬉しい祖父母は、命をつないでくれた、息子夫婦に感謝をしました。


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心のしおり～ あひみての・・・

　六月三日のキュウリの初生りから遅れる事一ヶ月。昨日、トマトを初収穫しました。
これからふんだんに食べる事が出来ます。

「ありがたい？」
まず自慢を言わない夫が、私の返答を待っているようです。

「はい。本当に嬉しい！」満点の回答をして、今年の「トマト記念日」を祝いました。

息子も、嫁のＹちゃんも、このトマトを待っていてくれます。



十五本の苗木に、今年もたくさんの実が付いています。
孫のＨも、去年のような笑顔を見せてくれるだろうか。


近くの自動車道ＳＡに行きますと、可愛い男の子が、まだ危なかしい足元で、広場を走っています。
傍らのお父さんに、どれくらいにおなりですか？と問いますと、一歳六ヶ月と言われました。

やっぱり。

「Ｊさん、ほら、丁度Ｈくらい・・・」


小さい子を見掛けると、どうしても孫の事を思ってしまします。

売店の中では、折しも七夕飾りが美しい。



お客さんが、色々な思いを書き留めて行かれたのでしょう。
この道路を走れば、孫の所へたどり着けるのに、ちょっと乗れない高速道路。

地道からここに来ては、人の往来を見ています。

この微妙な遠さが、思いを引き込むのだと、いわく言いがたい距離感を、じっとガマンのたなばたの前。


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石鹸のかおり

　運動という事に縁遠い私は、スポーツ店に行く事も無く、自身のウォーキングシューズも、夫が買ってくれたものを履く始末です。

休日に、起きるなりＪが「○ちゃん、野球のパンツを買いに行くのだけど、付き合ってくれる？」と言うものですから、最初は断りましたが、一緒にいたいのだろうと思って付いて行きました。

着いた所は、あらゆるスポーツ用品が揃っているようで、想像を超えた広さに驚いてしまいました。

　

マリンスポーツ、キャンプ用品等が、季節柄、目の付く場所に展示されています。

Ｊは常設の野球品コーナーで、スパイクシューズを探し始めました。

　

私は物珍しくて、傍らの商品を見て歩いて、また驚きました。

　

グローブでもこんなにするのですか？

Ｊがいかほどの物を使っているのかは知りませんが、野球に限らず、スポーツをされる方は大変ですね。
シューズ、アンダーウェアー、小物など、結構な支払いをしていました。

スパイクに補助具が付く間、わたくしは広い店内を見て回りましたが、最高の男性に出会ってしまいました！

これで何度驚いたのかしら？



付いて行きたい貴方の後を。
振り向かないで、ロンドンの人。

タトゥーはさておき、
世の中にこんなカッコいい男性がいるのですね(゜o゜)

ハート目になっているのが、自分でも分かりました(-_-;)

Ｊよ。現れないで。


「○ちゃん、待った？」

「ううん、待ってない」


スポーツ売り場がすっかり気に入って、お客さんの顔も明るくて、Ｊも楽しそうで、良かった良かった。



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月曜便り39 「雨降り花さん」

　近くには、立派な県立公園があって、市民の憩いの場所になっています。
一時期はここが、毎朝のウォーキングコースでした。

スイレンが咲く池もあり、久し振りに出掛けて見ました。

案の定最盛期で、雨も幸いして大変綺麗でした。


　


レストランの中には、“なんでも１００円”というパンコーナーがあって、食事をしなくてもパンを買う事が出来ます。

傘やカメラなど、わたくしは持ち物が多かったので、Ｊにトレーを渡し、五つ買って、と言いました。

アンパンばかりを買おうとしたので、「Ｊさん、選んで。選んで！」と言いました。

やっと選べましたが、アンパン以外は興味がないようで、数も四個で終わりました。



右はじが、一番の人気商品の桃パンだそうです。

こちらで好みのパンを買って、広い公園のベンチで、持参のコーヒーでも飲めば、リラックス効果もあり、店側も上手な売り手のように思いました。

諸税が上がって行きますと、遊行費で自衛していかなくてはなりません。
お金を使わなくても充分楽しいといった工夫が、若い人同様、私達の暮らしにも求められます。

死ぬまで、工夫と努力が付いて回るのかと、目の前のアンパンに手が出ず、つい苦いものを感じてしまいました。


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急いで仕度を

　夜半から一層雨脚が強くなり、季節の雨期を実感させる朝を迎えました。

＊七月一日　雨。

すでに三字『雨』が入り、梅雨（つゆ）真っ最中を、文字からも感じてしまいます（笑）


「○ちゃん、バラが綺麗だね」

バラでない花をそう言って、私の前をウロウロする夫がいて、それなりに賑やかしい朝を迎えています。

こんな日は思い切って外に出掛ける事にしました。

スポーツ用品店。

あじさい園。

鮨屋。

パソコンに向かいながら、色々話し合っていますが決まりません。

十二月に向かって、頑張ろう！の半期にしよう、という事だけは意見が一致しました。


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