to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

運動靴と赤い金魚

2009-10-06 22:50:45 | the cinema (ア行)
原題 BACHEHA-YE ASEMAN/CHILDREN OF HEAVEN
製作年度 1997年
製作国 イラン
上映時間 88分
監督 マジッド・マジディ
出演 ミル・ファロク・ハシェミアン/バハレ・セッデキ/アミル・ナージ

モントリオール国際映画祭でグランプリに輝き、イラン映画としては初のアカデミー外国語映画賞候補にもなった感動作。
少年アリは妹ザーラの靴をうっかりなくしてしまう。家が貧しい為親にも言えず、一足しかないアリの運動靴をふたりで交代に履いて学校に通うことになってしまう。ある日、小学生のマラソン大会が行われることになった。3等の賞品は靴。アリは妹のために靴を手に入れようと出場を決意する

以前からみたいと思っていた作品、やっと見つけました!
日本のイマドキの子供たちからすれば、いや、あるいは現在大人であってもおよそ想像できないイランの貧困家庭の、
日常と、ある兄妹のある事件。

兄は真面目で泣き虫。
妹は優しく、可愛く、兄を慕っている。

たった一つしかない靴を兄によって失くされても、親に泣きついていかない妹。
その日家に居た彼女は、大声で大家とやり合う母の声を聞いていて、家の置かれた状況を知ってた。
ガマンする妹に、まだ長い鉛筆を与える、申し訳ない兄。
この日から親に言えない兄と妹の涙ぐましい登校が始まる。
妹の帰りをじりじりして待つアリは、彼女の帰り道で靴を受け取り、学校に急ぐが、
遅刻してしまい、先生に叱責されても本当の理由など言えない
妹も毎日下校路を急ぐ。兄のために走る。

妹のザーラは、ある下級生が自分の靴を履いているのに気づくけど・・言えない
大きい男物の運動靴はとっても恥ずかしいのだけれど―。

妹の前では兄貴ぶっている泣き虫のアリの頭の中は妹ヘの申し訳なさでいっぱい。
なんとか彼女に運動靴を買ってあげたい。
来る日も来る日もたった一つの靴を共有するために走って、そして、最大のチャンスが巡ってくる!

「9歳はもう子供じゃない!」という父の言葉にまず驚き、厳しいだけの親かと思いきや、
妻の身体を案じる優しい夫で、
母も、貧しい中で、隣人の面倒を見たりと、心優しい。

欲しがれば何でも与える今の日本の親から見れば、不甲斐ない親ではあるかもしれない。
でも、親が子に与えられるものは何なのか?も考えさせられる
健気で可愛い兄と妹は、相手への思いやりから口をつぐみ、走る。
それは貧しくても人への思いやりを忘れない両親によるものだろう。

マジディ監督が知人に聞かされた実話をもとに執筆したという、
ちょっぴり笑えて、ぐっと来る。
どこか懐かしく、熱いものに満たされた作品。とっても良かったです~
コメント (10)
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