to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

子宮の記憶 ここにあなたがいる

2009-02-09 23:33:47 | the cinema (サ行)
忘れない痛み、消せない絆
僕を誘拐した“ほんとうの母親”を探しに旅に出る

製作年度 2006年
上映時間 115分
原作 藤田宜永『キッドナップ』(講談社刊)
監督 若松節朗
音楽 S.E.N.S.
メインテーマ S.E.N.S. 『Way Out』
出演 松雪泰子/柄本佑/野村佑香/中村映里子/寺島進/余貴美子

生後まもなく誘拐された過去を持ち、母親の愛を渇望する少年と、その誘拐犯である女性の交流を描いた人間ドラマ。直木賞作家、藤田宜永の同名小説の映画化。
裕福な家庭で何不自由なく暮らす17歳の少年・真人。しかし彼は家族の愛情を感じられず不満を募らせていた。そんな彼には、新生児の時に一時誘拐されていた過去があった。そして、犯人の女性が沖縄に住んでいることを知った真人は、彼女に会いに行こうと思い立つ。誘拐犯の女性・愛子は、入院中の夫を見舞いながら小さな食堂を一人で切り盛りしていた。真人は素性を隠したまま、そこで住み込みのアルバイトを始めるのだが…。

先日のレボリューショナリー・ロードにリンクする、女性の母性を問う作品でもありました
コチラには、全くタイプを異にする2人のが登場する。
結婚したから子供をつくった・・自己愛の強すぎる母と、
一方で、おなかを痛めて出産したのに死産だった女性は、
他人の子を誘拐して束の間の母親という時間を得るが誘拐犯の前科はその後の彼女の人生を変える。

親なら誰もが当たり前のように、口をそろえて言う。
―自分の子供が可愛くない親なんかいない―
果たしてそうだろうか・・・?
それならなぜ、こんなに親殺し、子殺しという悲惨な事件は繰り返されるのだろう・・・?

真人(柄本佑)は愛された記憶がない、実感がない。
彼は知りたかった。愛子(松雪泰子)が誘拐したのが、なぜ自分だったのか?
愛された時間を確かめたかったのかも知れない。。。

母に捨てられた娘―、
妊娠し恋人に捨てられたことを親に言えず命を粗末にする娘―、
幸せな人はひとりも出てこないような作品なのに、
幸薄い、儚げな松雪泰子の透明感ある愛子の中の母性が全てを救ってくれような気がする。

危険を孕んだ17歳のどこか覚めた少年と、
生きる情熱をどこかに忘れた女が、
無くしたものをお互いの中に感じあう、不思議。。。

子供を愛せないのに、親になるということは、
本当に罪作りなことだと改めて思う。

愛されないで育った子は、このように彷徨い、追い求めるものなのだろう。
「母性」に焦点を絞って、現代に燻ぶる病の一端にメスを入れた作品。
久しぶりのS.E.N.S. の音楽も、美しい沖縄の海も、よかったです


銭ゲバ 第4回

2009-02-09 01:22:44 | TV dorama
貧しく不幸な生い立ちのために、金しか信用しない”銭ゲバ”となった青年の姿を通し、幸福とは何かを問うエンターテインメントドラマ
日本テレビ系 毎週土曜21:00-21:54
原作:ジョージ秋山ほか
脚本:岡田惠和
演出:大谷太郎、狩山俊輔
主題歌 かりゆし58「さよなら」
出演:松山ケンイチ/ミムラ/宮川大輔/木南晴夏/石橋杏奈/光石研/りょう/椎名桔平ほか
第4話 僕の家族は母さんだけズラ
三國家に潜り込んだ風太郎(松山ケンイチ)。しかし、その正体を白川(田中圭)に知られてしまった風太郎は白川を殺害。死体を庭に埋め、夜を明かす。
その翌日、結婚をせがむ茜(木南晴夏)に「それは無理だ」と風太郎は自分から三國家を去る。
「僕は・・・自分の世界に戻ります」
そこにはある思惑があった―――。
そんな中、風太郎は行きつけの定食屋『伊豆屋』で、自分と瓜二つという由香の兄・野々村真一が騒ぎを起しているのを知る。
バカな真一を優しい気持ちで見守る家族たち。
「お天道様は見てるからさ、大切なのは、金じゃない、心だよ」―――


誕生日プレゼントを訊かれて「風太郎さんが欲しい」と、自分の親に言うのは富豪の常識なのか(爆)
チャンスを確実なものにするために一世一代の大芝居を打つ風太郎。
君は知らないんだ「貧しさは簡単に人をかえちゃうんだ!」と迫真の演技。
だけど、風太郎のそれは子供の頃に自分が身をもって知った真実。。
僕は、自分の世界に戻ります・・という言葉を残し三國家を出ますが、、、

風太郎側からしかあまり説明部分がないため、
三國家族間でどのようなやり取りがあったのかは解らず、ここら辺は少し語った方が自然だと思う。
妹想いの緑が風太郎を迎えに来るまでの単調さの中に、次第に焦ってくる僅かな変化がここでも巧い、松ケン。
なのに、緑、茜姉妹の感情などもう少しみせてくれないと
大芝居の後、さして抗わず戻った風太郎は、かなり都合のいい展開にみえてしまう。

結婚に向けて順調にみえた風太郎の前に、なぜかいつも小奇麗な父が三國家に入り込み、
その道の嗅覚が働くのか、取りあえず家政婦の発見した死体は何処かへ―

本来、葬儀にも来ない、自分の家族がどうして生きているのかも知らない父に恨みがいくところ、
風太郎の怒りは「お金がないこと」にいき、憎しみが「金持ち連中」に転嫁されている。
心のどこかで、父親への憎悪から目を反らしてしまいたい意識が働いているのか・・?
どうしようもない健蔵だけど、小悪党でしかない父。いるんだろうなぁ、、こんな奴
対照的に描かれる「伊豆屋」の善意の人々。
少し風太郎がアブナイ。
善はボディーブローのように、彼の体内の悪にダメージを与えるのだろうか・・・
物陰から彼らをみて、思いがけない顛末に、歪む顔も切ない・・
今回も少年時代の回想シーンと、今の風太郎へと戻っていくところでジーンとしてしまう。

あの左目の特殊メイクに約1時間半かかり、そこ以外はノーメイクだそうです。
そして今回から全く違うキャラとしても登場。
出番になると、「松山さん、お願いします」を封印。
松山ケンイチ出てこいや!」の掛け声で撮影に臨む松山・風太郎、、、
なんか少しだけ解る気がしてきました。