2.総合福祉部会について
やっとレジュメの1枚目裏に移るのですが、内閣府の「障がい者制度改革推進会議」の下に厚生労働省に「障がい者制度改革推進会議
総合福祉部会」が設置されました。
こっちは
メンバーが55名もいるため進行・取りまとめも難しいようです。ろう者関連では、(財)全日本ろうあ連盟の教育対策部長の西滝憲彦さん(大阪)が委員として出席され
意見を提出さているとのことでした。
【開催状況】
第1回10/04/27 * 部会の運営等について
* 障がい者総合福祉法(仮称)制定までの間において当面必要な対策について
第2回10/05/18 * 障がい者総合福祉法(仮称)制定までの間において当面必要な対策について
第3回10/06/01 * 障がい者総合福祉法(仮称)の実施以前に早急に対応を要する課題の整理(当面の課題)(素案)について
第4回10/06/22 * 障がい者総合福祉法(仮称)制定に向けた論点整理
第5回10/07/27 *「障害者総合福祉法」(仮称)の論点について(法の理念・目的・範囲、障害の範囲、「選択と決定」(支給決定))
第6回10/08/31 * 「障害者総合福祉法」(仮称)の論点について(支援(サービス)体系、地域移行、地域生活の資源整備)
第7回10/09/21 * 「障害者総合福祉法」(仮称)の論点について(利用者負担、報酬や人材確保等、その他)
以上のように「障害者自立支援法」に代わる新しい「障害者総合福祉法」についての議論が進められているようです。久松さんのレジュメでは「来年度(平成23年度)中に総合福祉法案を国会に提出する」とのこと。
ちなみに第18回障がい者制度改革推進会議に提出された「資料1 推進会議と部会等の進め方関連資料」では、以下のようになっています。
【総合福祉部会2010年から2011年活動スケジュール(案)】
これを見ると
(1)2010年6~9月の4 回(6 月22 日、7 月27 日、8 月31 日、9 月21 日)⇒新法の論点についての共通理解を委員間で深める
(2)2010年10~12月の3 回⇒第1期作業チームによる検討案についての情報共有と合意形成
①法の理念・目的
②障害の範囲と選択と決定
③支援体系
(3)2011年1月~3月の3回⇒第2期作業チームによる検討案についての情報共有と合意形成
①地域移行
②地域生活資源整備
③利用者負担
④報酬体系 等
(4)2011年4月~7月の4回⇒新法の骨格整理を行う
(5)2011年8月⇒新法の骨格提言
となっています。
この中に聴覚障害者の求める制度内容を盛り込んで行くため「We Love コミュニケーション」パンフなんですねぇ~。きわめて短期勝負、っていうか、実質10月からパンフ普及開始して、はがきが戻って来て、署名と一緒に集約して、「こんな国民の声があります!」って集約して、推進会議に提出って、ホントに間に合うのか?という不安も感じます。
2011年4月からの『新法の骨格整理』じゃ遅すぎるから、「年内にどこまでやれるか」っていうスピードが求められる気がします。10月~12月の3ヶ月が勝負ですな!
スケジュールの切迫性を訴えて短期間で運動を盛り上げるっていうのはアリじゃないでしょうか。
【参考】
障がい者制度改革推進会議総合福祉部会意見書
提出委員名:西滝憲彦(財団法人全日本ろうあ連盟)
障がい者総合福祉法(仮称)制定までの間において当面必要な対策について
1.利用者負担について
①基本的には、障害者本人のみの所得に応じた負担の仕組みに変えるべきです。障害基礎年金のみが収入の障害者にとっては、年金から負担金を徴収されることは苦しいものがあり、無料にするべきと考えます。
②地域生活支援事業におけるコミュニケーション支援事業においては、利用者に負担を求めないことを法律に明記して下さい。また、利用者負担を導入する地域に対し、早急に取りやめるように働きかけて下さい。
<病院、学校等、聴覚障害者と健聴者とのコミュニケーションを支援(保障)する当該事業は手話を言語とする聴覚障害者と音声言語をもつ健聴者との間の双方のコミュニケーションを円滑にするためのものであり、応益・応能に係わらず利用者負担はなじみません。
また、私たちは手話が音声言語と対等の扱いをされるよう、社会的・法的な認知および手話通訳が権利として保障されることを強く求めています。手話通訳派遣事業は基本的人権として全額公費で保障することが必要です。>
2.都道府県事業にコミュニケーション支援事業を必須事業として組み入れて下さい。
・コミュニケーション支援事業が市町村実施の事業であるため、市外への手話通訳・要約筆記派遣が認められないという問題が生じています。
・県全域から集まる聴覚障害当事者団体の会議・研修・行事等の活動についてもコミュニケーション支援事業が必要です。
・司法・医療・相談支援等の専門性の高い手話通訳・要約筆記等のニーズは市町村では対応できません。市町村や都道府県の区域を超えた手話通訳者、要約筆記者の派遣などが必要になることもあります。
・上記のように、市町村単位の事業では対応が困難であり、負担が必要とされることがあります。
<これに対応するため、各都道府県単位で、全市町村の登録手話通訳者の相互派遣のネットワークの構築と、全都道府県間での、登録手話通訳者の相互派遣のネットワークを構築する必要があります。また、聴覚障害者及び聴覚障害当事者団体の負担がないよう、市町村代行事
業としてではなく、都道府県コミュニケーション支援事業を必須事業として実施して下さい。>
3.市町村・都道府県の手話通訳設置事業、コミュニケーション支援事業、それに係る手話通訳者養成・研修事業等の人材確保のための事業を含めたコミュニケーション関連事業全てを義務事業とし、それにかかる予算を確保して下さい。
・都道府県・市町村の裁量事業であることから、その財政事情によって市町村ごとに事業実施の有無、事業内容(派遣と養成の回数・時間、派遣項目等の制限)に格差が生じています。
・コミュニケーションを保障する当該事業は、福祉サービスを受ける前提となる事業です。この基幹事業が市町村によって実施に格差が生じることのないよう、事業の実施を義務化し、実施するための予算を確保してください。
・地域生活支援事業(市町村)の必須事業である「コミュニケーション支援事業」は、手話通訳設置事業、手話通訳者派遣事業、要約筆記者派遣事業の3事業が一つの括りとなっており、市町村としては3事業の中の1事業を実施していれば、コミュニケーション支援事業は実施したとカウントされます。
しかし、手話通訳者派遣事業のみで要約筆記者派遣事業がなければ、難聴者あるいは中途失聴者への情報・コミュニケーション保障は成立しません。
また、手話通訳設置事業は県庁・市町村等公的機関に手話通訳者を設置する事業です。福祉課や福祉事務所で相談・書類申請等するときに、ろう者が手話通訳者を依頼し同行するのではなく、いつでも県庁・市町村役場等に設置された手話通訳者によりコミュニケーションが保障される必要があります。それが県民・市民サービスの前提です。また、派遣事業と連携して実施する必要性があります。
手話通訳設置事業、手話通訳者派遣事業、要約筆記者派遣事業の3事業は市町村が実施を選択するようなものではありません。3事業それぞれを義務事業とすべきであり、全自治体で実施するように働きかけて下さい。
・手話通訳養成事業(入門課程~基礎課程)は、全市町村で実施すること、手話通訳者養成事業(基本課程~実践課程、及び研修事業)は全都道府県で実施するようにして下さい。
4.障害程度区分の抜本的な見直し
ろう重複障害者及び盲重複障害者については、他の身体障害者とは全く違った支援特性があります。聴覚障害者本人の意思を尊重し、その障害特性、生活実態、コミュニケーション環境の実態などがきちんと反映されて、必要なサービスが受けられるよう抜本的な見直しが必要です。障害当事者及びろう重複障害者施設・盲重複障害者施設の実態調査と意見を十分に踏まえて進めて下さい。
5.相談支援体制の強化
聴覚障害者と同じ言語・コミュニケーション手段を持ち、聴覚障害の特性、生活実態、社会的背景等を理解している者を設置し、専門的に相談支援できる体制を確立することが必要です。相談支援事業は、自立支援法で規定するサービス利用の出発点ですが、相談支援事業を実施する窓口には手話によるコミュニケーション保障する制度がありません。
現在は、国の制度によらない自治体独自の事業による「ろうあ者相談員」や聴覚障害者情報提供施設の職員等が極めて不十分な条件の中で関わっています。
聴覚障害者を手話、筆談等により専門的に相談対応・支援できる者、または手話通訳士(者)を配置し、聴覚障害者への相談支援が十分に適切に行われるようにすることが必要です。
・ろうあ者相談員を国の制度として創設し、相談支援事業に位置づけること。
・聴覚障害者情報提供施設が都道府県レベルの「相談支援センター」を担う位置づけとし、そこに聴覚障害者の相談支援事業を行える専門的知識を有する相談員を設置すること。及び、聴覚障害者情報提供施設の運営費補助金に、相談支援にかかる人件費の加算を行うこと。
・市町村すべてに聴覚障害者に対し専門的に相談対応・支援出来るよう、資格を持つ手話通訳(士)者を配置すること。
6.ろう重複障害者に配慮したグループホーム、ケアホームなど社会資源が絶対的に不足しています。ろう重複障害者のための施策づくりが必要です。
また、現在、ろう重複障害者のための施設が33 箇所設置されていますが、どこの施設も赤字におびえながら運営しております。施設に入所した障害者が自己負担する経費もあり、定員割れに苦しんでいる状態があります。安定した施設経営ができるよう施設運営への補助金などについて抜本的な改正を求めます。
(1) 有期限事業(就労移行・自立訓練事業)終了後の、施設体系の移行の際には障害福祉計画による数量制限について柔軟な取扱をしてください。
就労移行支援事業などの有期限の事業について、期限終了後一般就労できなかった利用者の行き場について考える必要があります。又、新規利用者の予測及び、定員の確保の目途が立たないため、就労移行事業の定員を減らして、就労継続B型や入所支援などの事業を選択するケースが多く出てくると思われます。しかし現在の規定では、都道府県の障害福祉計画によっては事業所指定を認めないことができるとなっています。有期限事業が定員変更して移行する場合はこの規定から外すなどの対策を早急にしてください。
(2) 日中活動のみの通所事業所にも入院時支援加算を算定してください
現在施設入所支援・グループホーム・ケアホームなどに利用者の入院時の支援に対する加算制度がありますが、日中活動のみの事業所は対象となっていません。
通所施設の利用者が必ず家族などの支援が受けられる訳ではなく、障害者のみの単身世帯、障害者同士の夫婦世帯、家族と同居していても両親が高齢な家庭など様々な理由で家族の支援が受けられず、通所事業所が入院時の様々な支援をしているケースが多くあります。
また、聴覚障害のため通訳などの支援が必要な利用者の中にはで家族がいても通所施設職員が病院に同行し通訳などの支援を行っています。また、利用者の入院時については、コミュニケーション支援事業では臨機応変な対応できないことや、利用者本人を良く知った支援者でないと充分な支援が行えないこともあり、日割りで報酬が算定されませんが通所施設職員が支援を行っているケースが多くあります。
早期に日中活動のみの事業所にも通院支援を行った時には入院時支援加算を算定してください。
(3) 入院時の付添い費用や個室利用に対する助成制度を創設してください。
重度重複聴覚障害者が入院した場合、常時、生活支援、コミュニケーション支援が必要とされ、病院から付き添いを条件に入院が許可されることが非常に多くなっています。
また、音に対する認識がないことから同室者とトラブルになるケースが多く、個室利用を余儀なくされることが多い状況です。
また、全国的にろう重複障害者施設数が尐ないことから、遠方からの利用者が多く、家族に付き添いを求めることが困難となることがほとんどです。
このような理由により、付き添いや個室利用の費用負担が預貯金の少ない利用者にとってはさらなる負担を課すこととなります。
したがって、付き添い費用や個室利用についての補助制度の創設をしてください。
10(7?).障害福祉サービス等に係る報酬・基準改定について
(1) 「生活介護」「施設入所支援」等の報酬が定員区分によって単価が変わることのない様、一律となるよう見直しをしてください。
①利用定員が大きくなると報酬単価が安くなる
②障害者(ろう重複障害者)の多様な福祉ニ-ズに答え必要な事業拡大を行ってきました。今後もろう重複障害者に対して専門的な援助実践が可能となるような事業を積極的に拡大したいと考えているが、事業を拡大すれば逆に報酬単価が下がり経営が厳しくなる状況では、新たな事業は推進できません。
(2) 「施設入所支援」についての夜間、土・日曜日の職員配置基準を明確にすると同時に必要な職員が配置できる報酬単価の大幅な引き上げを行ってください。
①施設利用者のGH・CH等への地域移行が進む中で、利用者の重度化と高齢化が顕著になってきました。同時に、利用者同士の相互協力や集団力が低下し職員と利用者間のマンツ-マンの援助場面が増えてきました。
②平日の日中活動場面だけでなく、夜間、土・日曜日の暮らしの場面において、現状の配置基準や報酬では必要な職員が配置できず、安全確保と命を守ることすらできない状況です。余暇活動の実施を含め暮らしの場と言えるものとは程遠いのが実態です。
③利用者の高齢化と同時に必然的に親の高齢化が進み、緊急の際などに家族の協力が期待できないのが現状です。親・家族の協力が得られない重度の利用者が入院した場合、当然病院から24 時間の付添が入院受け入れの条件として出されます。現状の職員配置では、一泊すら職員が付けない状況です。
(3) GH・CHの「小規模加算」「夜間支援体制加算」を、利用者の安全確保のため、平成22年度以後も引き続き実施してください。
①平成20 年度までの経過措置とされている加算を継続してください。
②現在、上記の補助金額はGH(CH)運営費全体の約15%以上を占めています。もし廃止されれば存続の危機に直面します。
③上記の補助金が実施されている現状であっても、人件費が安価であるため世話人の確保、ましてや正規採用・夜間配置が困難です。増設による施設利用者の地域移行を進めたくてもできません。(自立支援法に掲げている地域移行を進めることが不可能)
(4) 「施設入所支援」「GH・CH」の暮らしの場についての国の考え方を明確にし、必要と考えられる職員配置基準を明確にしてください。併せて、家族や後見人のいない利用者について、最終的に誰が責任を持つのか(権利保障・擁護等)を明らかにしてください。
①現状の「成年後見人制度」では、財産の管理・契約時の立会い等の範囲で終始しているのが現状です。
②今後、暮らしの場、特に「施設入所支援」の事業を利用する利用者は重度化し、事業所の役割と責任、専門性はますます重くなるのは必至です。
(5) 平成20 年度までの経過措置とされている報酬の「90%保障」については、22 年度以降も継続されるよう切に要望します。
①現状の定員区分による報酬額の分類や単価の低さのために、現状のままでの移行は20%以上の減収が予測され施設の存続ができません。
(6) 児童デイサービスⅡ型について
①現在、児童デイサービスⅡ型においては障害程度区分を導入しないことにより、一律に報酬単価が低く抑えられています。単価基準となっている定員10 人に職員配置2人では、障害児童の安全確保すらできないことから、I 型なみの単価を要望します。
②聴覚・ろう重複児・者はコミュニケーションができる場を求め、遠方から来所されています。
遠方の利用者のために送迎加算(燃費、車両管理費、運転手の人件費)が必要です。
③児童デイサービスⅡ型を市町村事業としないでこのまま事業形態を続けることを強く要望します。特別支援学校は市をまたいだ校区を持つことが多く、現在の形態が最も使いやすいと考えます。
④児童デイサービスにおいても、聴覚・視覚の加算を検討して下さい。
(7)重度訪問介護の単価について
1,600 円/hは低すぎるため、事業所として健全な運営ができないため、単価の改善をお願いします。
11(8?).「情報・コミュニケーション法」(仮称)を創設して下さい。
聴覚障害者の障害特性とニーズに応じたきめ細かい支援を整備していくためには、「情報・コミュニケーション法」(仮称)が必要です。
基本的な視点は下記の通りです。
①障害者権利条約を踏まえ、手話が音声言語と同等に尊重されること、手話の言語的な研究・普及を進めること。
②ろう者だけでなく、難聴者・中途失聴者、盲ろう者等の重複障害者を含めて、すべての聴覚障害者が、身体障害者手帳を持っているかどうかに限らず、その人が求める言語とコミュニケーションによる支援を保障していくこと。
③コミュニケーション保障のための制度については、
・手話通訳者と要約筆記者の養成カリキュラム改訂、盲ろう向け通訳・介助員の養成カリキュラム策定、それぞれの養成事業に必要な財源の確保
・手話通訳士の国家資格化、要約筆記者の新たな資格認定制度の実施
・専門的な手話通訳者の市町村への設置
・手話通訳者、要約筆記者、盲ろう向け通訳・介助員の都道府県レベルと市町村レベルの役割分担による派遣事業の必須事業化、また、派遣条件、謝礼単価等の全国統一等について、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全国盲ろう者協会のそれぞれが厚生労働省に提言または要望している内容にそって再構築すること。
④相談支援については、直接、聴覚障害者が使用する言語・コミュニケーションにより専門的に対応、支援できる者の養成と資格認定、設置をすること。
⑤入所、通所施設が聴覚障害者の使用する言語・コミュニケーションが保障されることなど、聴覚障害者が真に利用できる社会資源の確保について定めること。
⑥情報については、放送、公共機関、交通機関、ホテル・旅館、教育、職場等、社会のあらゆる分野での手話、文字、光、振動等の聴覚以外の方法による情報を提供しアクセシビリティの保障をすること。
以上