観るも八卦のバトルロイヤル

映画・ドラマを独断と偏見(?)で、
斬って斬って斬りまくる。
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「ハケンの品格」。はまった!

2011年02月04日 | 映画・ドラマ
 数年前に鑑賞。その時は、「大泉洋って誰? 何者?」と書いたのを記憶している。それ以前に偶然テレビ番組で一度だけ見た事があったが、その時は「北海道の人気タレント」ということで、行きつけのスープカレー屋とか喫茶店を紹介しており、人物よりもスープカレーに心引かれたものだった。思うに、「この人は北海道のラジオのDJか何かだろう」と認識していたところ、「ハケンの品格」で大きな役をやっていたので驚いた。
 内容も面白かったがそちらの方が気になっていたのだが、今回改めて、大泉洋って「いい役者」だを実感。はまり役だったかも知れないが、シリアスな中にもひょうきんさを持つキャラがぴったり。で台詞の掛け合いがまた巧い。アドリブかな? 篠原涼子との掛け合いは互いにお見事。
 昨年「黄金の豚」があったが、やはり「ハケンの品格」の篠原涼子の方が魅力的だった。
 この人、今、これだけ人気があるのも納得。
 当時はまだ知らなかった、安田顕も結構出番も多く、大泉同様のシリアスさとひょうきんさのあるキャラだったが、こちらも「巧い」。かぶりそうなキャラを巧く演じ分けている。
 ストーリーは言う事無しの面白さ。強いて言えば、加藤あいが素直すぎるのと(普通だったらもっと根に持つよね)と松方弘樹が、理由も無く、突然、嫌なキャラにシフトチェンジ。そしてまた、何ら根拠無く、序盤のいい人になってたのが、「出来過ぎ」だが、何度観ても面白いってのは、内容があってのこと。
 なんで続編できなかったのだろう? 
 小泉孝太郎、上地雄輔、勝地涼、城田優って辺りも出ているので、続編でも十分にゴールデンでやれるのに。

「雪冤」。切なさと家族愛を描いた傑作

2011年02月04日 | 映画・ドラマ
 「切ない」。登場人物の背景も、物語も、結末も…考えさせられる名作だが、全てが切なくて、やり切れない思いになった。
 無罪を主張するも殺人事件の容疑者として、無罪を主張するも、死刑囚となってしまった息子の冤罪を晴らすために、15年訴えを続ける父。そして息子の刑は時効寸前に執行されるが、その後、事件の真相にたどり着く。
 普通なら、間に合い父子が喜びを分かち合い再スタートするといった展開になるところ(てっきりそう思ってた)、刑の失効後に、息子は冤罪だったと知った父。
 やり切れない。
 そして「どうしてそこまで」と思ったのが家族構成。一人息子の父子家庭なのだ。老人となった父が一人で台所で食事をとるシーン。並べられたおかずがタッパーに入っていたりして、これがまた「切ない」。通常のドラマなら母親がいて然りだ。
 これはありがちだが、弁護士だった父が息子の事件で退職し、新聞配達で生計を立てる。これも「切ない」。
 さらに、最低限度の関係者しか登場しないなど、実にリアルなのである。いい意味でドラマ臭さがないのだ。年老いたら誰もが孤独になるもの。そうそう、友達だー、知り合いだーは居なく、小さな世界で生きている辺りが描かれている。
 息子の刑の執行を知らされた時に、毅然とした受け答えと、その葬儀後の姿。これも、ドラマと分かっていても見ていて「辛い」くらいだ。
 これは主演の八木沼悦史(橋爪功)と出番は少ないが息子・慎一(林泰文)の淡々とした演技によるところも大きいが、実際に犯罪に関わった家族の在り方が痛いくらいに伝わった。
 最後の目撃者の告白の内容はこれは、ちょっとと頭を捻るものがあったが、事件がどうか否かよりも、家族や親の愛を伝えたサスペンスだったと思う。
 原作者の大門剛明も見事だが、橋爪功、林泰文の演技も評価大。素晴らしい。