観るも八卦のバトルロイヤル

映画・ドラマを独断と偏見(?)で、
斬って斬って斬りまくる。
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同じ国でも人が違えばこう違う「深夜特急」

2007年06月10日 | 映画・ドラマ
 沢木耕太郎著「深夜特急」を大沢たかお主演で、紀行的ドラマにまとめた不思議な作品。「熱風アジア編」、「西へ!ユーラシア編」、「飛光よ!ヨーロッパ編」と猿岩石もどきのタイトルと足取りなのだが、大沢たかおが沢木耕太郎に扮していることから、沢木の足取りを追ったノンフィクションを大沢がドラマでもない、リポーターでもない素っぽい微妙な演技で魅せている。
 はっきり言って、大沢たかおがこんなにかっこいいとは思わなかった。上手いんだ、演技。似合うんだ、白いTシャツにジーンズ。白Tがこんなに似合うのは大沢たかおかトム・クルーズしかいない(言い過ぎか)ってな訳で大沢ファンにとっても、バックパッカー予備軍にとっても、海外の景色を楽しみたい吾人にも貴重な逸品。
 これだけカメラがはっきりと入っているのだから、「はい、カット」の後は、ドミトリーを引き揚げ、五つ星ホテルに引き揚げ、あっついシャワーを浴びて清潔なベッドに横たわるってなことは分かっていても、近寄って来るローカルがエキストラだとは分かっていても、荷物の割に着替えが多いぞと分かっていても、「別にいいや」ってな気にさせてくれるから不思議。
 若い人はこれ観ちゃったら旅に出たくなるだろうなーと思いながら、かつての自分の旅を重ね合わせたりもした。ほとんど行った所だし。 
 恋人役かなんかで松嶋菜々子がちょい顔を出してるけど、松嶋って誰とどんな恋人役演じても、お姉さんみたいに見えちゃうのってなんでだろう? こんなことに気を取られる番組ではないけどね。
 いやはや大沢たかおは良かった良かった。けど、もちっとやつれてほしかった。リアリティってな面で。

これはあり得ない設定でギャフン「暗いところで待ち合わせ」

2007年06月10日 | 映画・ドラマ
 交通事故が原因で視力を失ったミチル(田中麗奈)は、二人暮しの父親(岸辺一徳)が死に、親類の反対をよそに一人暮しを始める。
 彼女の家の下は駅のホームだ。ある日、1人の男がそのホームから転落し、入って来た列車にはねられて死亡する事件が起きた。その直後、1人の青年がミチルの家に忍び込む。やがて青年アキヒロ(チェン・ボーリン)は彼女に気づかれないように息をひそめて居間で暮らし始めた。彼は死んだ男の同僚で、駅から逃走して殺人の容疑をかけられている。
 一言で済ませるなら「ありえねー」。
 盲目の子が一軒家で1人暮らしから「ありえない」から普通。っかいくら何でもヘルパー雇うとか、施設でしょ。どうやって包丁使うの? どうやって掃除するの? どうやって服選ぶの? いくら友達がいたってさ。目見えないのに化粧うまい。
 そして、人1人が家の中にいるのに気が付かないなんて「ありえない」から普通。目が見えなくても気配ってもんはあるでしょ。息してるんだからさ。そしてアキヒロだか何だか、トイレどうしてたのさ。ミチルが1日中家にいた日はどうしてたんだ。風呂? これは入んなくても済むけどさ。飯? 冷蔵庫から盗んでたけど。最終的に駅のホームを見張るため、ミチルの家の居間にいた(居間から見える)なんて言ってたけど、だからって家の中まで来ねーだろーが。
 なんとなくアキヒロの存在に気付いたミチル。飯まで作ってたけど、「慌てるだろうが」普通。
 わかんない、赤川ワールドだ。
 井川遥の走ってるシーンはオットセイみたいだし、彼女が佐藤浩市をホームから突き落とした犯人って。そこまでさせる理由が説明不足だし、事故の後、追って来た駅員、アキヒロの前を井川遥が走ってるの見えてたじゃないか。なのに、なぜそれを警察に言わない。
 ラストショットはなんとなく主役の2人が歩いちゃったりしてるけど、特に恋愛感情も生まれなかったうようだし、このシーンの意味も分からない。
 台湾の人気俳優チェン・ボーリンも微妙だし、田中麗奈は主役の顔じゃないし、「なんだかな」。
 

山田洋次がキムタク・ワールドを超えた「武士の一分」

2007年06月10日 | 映画・ドラマ
 山田洋次監督の藤沢周平時代劇映画化三部作の最後を飾るヒューマンドラマ。「蝉しぐれ」「隠し剣 鬼の爪」「たそがれ清兵衛」と藤沢周平作品だけど、ここでの山田洋次監督の藤沢周平時代劇映画化三部作では「蝉しぐれ」が外れる。
 方言から察するに南部藩か?
 下級武士の三村新之丞(木村拓哉)は、妻の加世(檀れい)とともに幸せに暮らしていたが、藩主の毒見役を務め、失明してしまった。妻が上級武士の島田(坂東三津五郎)といい仲であることが判明し、絶望のなか離縁を決意。
 が、失明後家禄を守るためだったことが分かり、更にそのことに島田は関与せず、妻を寝取っただけと分かり、新之丞は島田に「武士の一分」(侍が命をかけて守らなければならない名誉や面目の意味)を賭けた果し合いを挑む。
 という藤沢周平らしいストーリー。
 なぜここにきて主演を木村拓哉にしたのか? がいまいち良く分からないくらいのキムタクの扱いでもある。
 キムタク。はっきり言ってださい。ちょん髷も似合わなければ、着流しも似合わない。しかも前半の台詞もまったく駄目。方言が中途半端。「俺、キムタク。俺ってかっこいいしさ」的俺様ぶりもない。要はキムタク起用の意味が無いのだ。
 だが、かなり不評なキムタク論に意義申す。
 かっこ良くもないキムタク。いつもの「誰を演じても同じ人」ではなかった。新之丞を演じていた。確かに腰が細くて着流しはいただけなかったが、「どうせへっぴり腰だろう」と思っていた立ち合いシーンが堂に入っている。しかも盲目の立ち合いということで、下半身はおどおどしながらも剣さばきはなかなかのもの。
 「そうだ、こいつ剣道強かったもんな」と思い出した。いいんじゃない。これからも時代劇に取組めば。中盤からの方言葉も上手くなったし。私は、キムタクを評価したい。
 妻役の檀れい。宝塚の娘役だったそうで、退団後、初の映画出演とちょい話題になった。そして役柄も実際にも、「絶世の美女」らしいけど、はっきり言って「大したことないじゃん」。演技はそりゃ、うまかったけど、まあ、普通の女優さん。
 かたき役の坂東三津五郎、緒形拳、桃井かおりなども出てるけど、あたしゃ、ちゅうげんの笹野高史の微妙なため口が好きだった。
 三部作は夫婦愛と武士道をテーマに進行。しょぼい武士が真実のためにへっぴりで戦い、最後は愛を貫くって筋は3本に共通。
 どれが一番好きかと問われると、「むむむ」なのだが、似通っていながら舞台が違うってとこで、甲乙付けがたし。
 やはり「壬生義士伝」が最高だ。関係ないけどさ。