かんじゃまのつぶやき(海の見えるチベットより)

日本一細長い四国佐田岬半島での慣れない田舎暮らしの日常や風景、
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お墓調査 その3:猫足を考える

2011-07-22 15:30:00 | 田舎の歴史
墓石には、竿石と上台石の間にある蓮華台やスリンの他に、もう一つ特徴的な造作がある。
それは、蓮華やスリンの下に足のついた台座があるタイプだ。





これは「猫足台」というようである(お膳の足のようなもの)。
なるほど猫の足に似てなくはない。


蓮華台やスリン台がなく、竿石が直接猫足台にのっているのもある。


ゴージャス猫足 

渦巻きがみごとである。

猫足ではなく、唯一別の形の足もあった。


これなど、お膳の足によく似ているような。

「蓮華」あるいは「スリン」とセットになっている「猫足」を見ていると、
「猫足」が下に位置しているのが多い、というかこれが基本だと思えるのだが、
「ん?」と思ったのが これ。


猫足と蓮華が逆ではないだろうか?
地衣類のつき方が違っており、猫足と蓮華の岩石の種類が明らかに異なる。
上下逆にすると、竿石と蓮華が同質の岩石であり、すっきりして見える。

同じような間違いではなかろうかと思われる墓石が他にもいくつか見られた。


これなどは、竿石・猫足・スリン(蓮華を模したもの)、そして台石と同じ岩石でできており、
組み立てた全体の形状が、上から下へと末広がりになっており、すっきりしているようにもみえるが、
きっと、組み立て方を間違えていると思う。

このような間違いは、おそらくお墓移転や敷地の造成などの際起こったものと思われる。
いったん墓石を解体して仮置きし、墓石セットを再度組み上げる時に、蓮華と猫足を上下逆に積んでしまった、ということではなかろうか・・? と推測している。
それにしても、プロの石材屋が組み上げたのならそのような間違いはしないと思うのだが・・・
それとも逆にする意図が何かあったのだろうか?

そして、こんなのもある。


蓮華台が2つ重ねられているのだ。
 これもミステイクであろう。

蓮華台と猫足台は、竿石と同質の岩石でできているのが多いけれど(同時期に作ればそうなるはず)、
既に示したように、竿石・蓮華台が砂岩で、猫足台・台石が花崗岩というパターンがある。


このパターンは、竿石が明治・大正に作られたものに多くみられる。
これはおそらく、もともとは猫足台がなかったのだけれど、後に台石と猫足を追加作成して組み立てたものではなかろうかと思われる(その方が見栄えが良い、あるいは隣近所がそうする(=流行)のでまねた・・などの理由)。

では、猫足はいつごろからできたのだろうか?
と、見ていると、
ごく一部江戸時代末期のものにも見られたが、どうやら明治の後半頃の墓石から猫足が本格的に登場してくるようである。
猫足があるとなんだか品があるように思えるのだが、
猫足は地震に弱いので(台石との接触面積が小さい)近年は敬遠されているそうだ。
確かに地区の墓石を見ていると、猫足台は明治後半から昭和40年代頃までのものに多く見られるが、昭和50年建立の墓石を最後に、それ以降の墓石には猫足台が見られない。

ちなみに、昭和40年~50年頃は、猫足とそうでないタイプが混在している。
猫足は昭和40年代に入り、上記理由からしだいに廃れていったようだ。
現に、石材店のHPを覗いても猫足タイプは見られない。


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