サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

112日目「草の乱(秩父事件資料館)」秩父

2009年09月06日 | 姪っ子メグとお出かけ

姪っ子メグ 今回は、埼玉の温泉めぐり。すっかり、ふやけてしまったわ(笑)
キミオン叔父 『温泉博士』という奇妙な雑誌があってさ、それ、1冊450円で2冊購読してるわけ。で、編集部は福岡県宗像市にあるんだけど、毎月100箇所以上の温泉に「温泉手形」というかたちで、無料クーポン券がついてるわけさ。まあ、1箇所行けば、元はとれる(笑)。だけどさ、たとえば、今月でいえば、東京は2箇所しかない。1箇所は多摩テック内にある温泉施設。ここはもうじき閉鎖されるんだけどさ。で、もう1箇所は奥多摩の一番はずれのほう、これ東京かね、というところなんだ。
そうか、で、まとめて、埼玉攻略ということなのね。今回、最初は「おがわ温泉・花和楽の湯」。ここは、関越自動車道の嵐山小川ICおりて5分だけど、ここはなかなか快適施設だったね。
このあたりは、武蔵野の小京都なんていわれていて、アドマチでも特集してたね。たしかに、和紙で有名だし、造り酒屋もあるしということだけど、ちょっと小京都は苦しいなあ。施設は、休憩所がとても広くて、ゆったりできた。
で、気分よくなって、日帰り予定だったけど、急遽秩父の近くの小鹿野町にある小旅館に宿泊。ここも、小さいけど、お風呂もよかったし、清潔だったね。
この町は、歌舞伎の町らしいね。祭事では、地元の人たちが演じる奉納歌舞伎が盛んで、町のあちこちに歌舞伎絵が飾られていたね。翌日は、クーポンに従って(笑)、まず、道の駅にある「両神温泉薬師の湯」。この小鹿野町は、オートバイによる町おこを宣言してるんだね、だから、二輪専用の屋根付き駐車場とか、ライダーへのレストランや宿泊所の特別割引とか、工夫されていて、とてもいいことだ。
そのあとは、東京への帰りがてらに、東北自動車道の久喜ICの方までぐるっとまわって、そこで鷲宮町かな、湯治場の「百観音温泉」へ。ここは、高純度な天然ガスによる自噴温泉なんだけど、関東唯一の源泉100%掛け流しで泉質自慢ということで、前から興味は持ってたんだけど。
施設はまあオンボロなんだけど、露天とかがすごく広くてさ、なんか駐車場だけで、数百台分の広さがあるように思ったけどな。こりゃ、ご近所の人は、嬉しいだろうなあ、と。



秩父市の北部にあたるのかしら、例の秩父困民党の農民武装決起があったところね。吉田町が中心の一つだけど、決起場所は椋神社。この神社は、10月に「龍勢祭」というのがあるんだけど、これって、手作りのロケットを打ち上げるのね。昼間に行われるんだけど、それを龍に見立ててる。歴史のある祭りだけど、勇壮ね。
秩父事件は明治17年だから、120年以上前の大騒乱。もともと、急速な明治政府の近代化政策で、農民たちの暮らしは不安定になるんだけど、この秩父地区はとくに蚕産業に携わっている農家が多かった。で、松下デフレ内閣の中で、繭や生糸の価格が大暴落。で、高利貸しに借金さざるを得ないけど、破産する農家が相次いだ。
一方で、自由党が政治改革を訴えて、この秩父なんかでも入党者が相次ぐ。で、返済期間の延期とか、ごくまっとうな要望をするんだけど、役人も金貸し連中も知らん振り。そこで、ある意味、奇跡のような農民の武装蜂起につながるわけだ。
この椋神社には数千人が結集したし、全体では1万人近くが参加したという記録もあるのね。で、軍律5か条というのを策定するんだけど、これがなかなか見事。
第一条 私に金円を略奪するものは斬
第二条 女色を犯すものは斬
第三条 酒宴をなしたるものは斬
第四条 私の遺恨をもって放火その他乱暴をなしたる者は斬
第五条 指揮官の命令に違反し私に事をなしたる者は斬
ストイックよね。
それに、秩父困民党は、蜂起の後の戦略はあったんだ。「先ず郡中にて軍用金を整え、諸方の勢いと合して、埼玉県を打ち破り、東京へ上り、官省の吏員を追討し、圧制を変じて良政に改め、自由の世界として、人民を安楽ならしむべし!」ってね。
だけど、結局「諸方の勢いと合する」ことができず、自由党も弾圧もあり頼りにならず、憲兵隊によって鎮圧される。幻の人民革命蜂起だったのね。そのときのリーダー役のひとりが、井上伝蔵。彼の家は、御用商人で、彼も俳句を趣味とする文化人だったんだけど、次第に請願だけじゃダメと自由民権運動に入り込んでいく。秩父事件の後、逃亡し、北海道で偽名を使い生き延びるんだけど、死を前にして家族を呼び寄せ、真実を話すのよね。
ちょうど、120周年記念ということで、『草の乱』という映画が、神山征二郎監督で制作されたんだけど、自主制作だけど、数億円の寄附を地元中心に集めて、エキストラも日本映画史上最高の数千人が、無償で駆けつけてくれたらしい。熱いよな。映画では、この井上伝蔵役は緒方拳の息子が演じていたよ。まあ、この蜂起で有罪判決を受けたものは数千人だからね、その記憶はいまでも受け継がれているといいけどね。
さてと、そろそろ、東京に帰りましょうか。おじさん、秩父のお酒の利き酒と称して、数回チャレンジしてご機嫌だったじゃない。帰りは、助手席で寝てていいからね。


 


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