サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

ホラー/坂東眞砂子(作家)/55歳

2014年01月27日 | 毎日がメメント・モリ

直木賞作家の坂東眞砂子さん死去 「山妣」「曼荼羅道」

朝日新聞デジタル 1月27日(月)15時9分配信

 

 直木賞作家の坂東眞砂子(ばんどう・まさこ)さんが27日、高知市の病院で死去した。55歳だった。

 1958年、高知県佐川町生まれ。奈良女子大卒業後、イタリアに留学。帰国後はフリーライターなどを経て、93年に「死国」でデビュー。「狗神(いぬがみ)」など日本の風俗に根ざしたホラー小説を執筆した。97年に「山妣(やまはは)」で直木賞受賞、2002年に「曼荼羅(まんだら)道」で柴田錬三郎賞を受賞した。仏領タヒチ在住だった06年、飼い猫が生んだ子猫を殺していると日本経済新聞のエッセーに書いたことで物議を醸した。

坂東眞砂子は直木賞作家であるが、もともと海外に留学し、フリーライター時代もあり、、またタヒチに在住し家庭菜園の自給自足生活をしたり、イタリアに渡って生活もし、その後イタリアンカフェをやるなど、ちょっと日本のほかの女流小説家さんとライフ・スタイルが異なっているように感じてきた。

彼女のファンタンジーやエッセイはあまり読んでいないが、デヴューの『死国』以来の、日本の土俗に還元される「ホラー小説」の方は、ほとんど単行本で読んできた。といっても申し訳ないが、本屋で買ったことはなく、いつも1冊100円の中古書店で買うのだった。
生まれが高知県であったが、その高知に根ざす、憑き物や民話伝承の話をもとに、独自の愛憎論や差別論、死生論をまぶしていくのだった。
とても映像的想像力を喚起する作品で、後にコミックになったり映画になったりした作品も何作かあった。

眠る前に読むと、潜在意識が刺激され、魘されるような夢を見ることもあった。

一方、エッセイの類や、海外生活のノートなどは雰囲気がまるで異なっている。
そのなかで、2006年の「子猫殺し」エッセイについては大きな話題を呼び、僕はその顛末の本だけは定価で買い込んだ。

坂東眞砂子は、「きれいごと」の論説や生き方を嫌悪している。
本音とは何か。食欲や性欲や・・・いったい個人が望む生活とはなにかを追求し、そこで半ば毒舌の「正論」を吐くこともある。
ある意味で「市民社会」的な常識って、いったいなになのよ、と言ってのける資質があった。
普通は、表現者はそういうことは作品の人物に仮託させたりして世に問うたりするのだが、坂東眞砂子の小説世界は、土俗的なホラーを基調とするものが多く、そこでは仮託させられない「意見」が沈殿していくことになる。

そのことが、たまたま「子猫殺し」論に表出しただけのことだと僕は思っている・・・合掌!
 


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