サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

276日目「ポコラート全国公募展(3331Arts Chiyoda)」千代田区

2011年12月09日 | 姪っ子メグとお出かけ

姪っ子メグ おじさんの周囲の若い人たちも「草食系」?
キミオン叔父 「草食」の定義もいろいろあるだろうけど、それに「若い人」というくくりをしても意味がないだろうけど、やっぱ俺たちの時代とはずいぶん違うよな。
それって否定的?
全然。別に若い世代に擦り寄ってもしょうがないしさ、物分りのいいオジンを演じても得るものもない。でもなぁ、羨ましいと思うところもあるんだよ。
ふーん、どんなとこ?
まずギャーギャーわめかないこと。やっぱ、オジサンなんかは仮想敵をつくいってしまうようなとこあったし、上の世代に対しても論争しかけちゃうみたいなところあったからね。あとで自己嫌悪になるけどさ(笑)。草食系は基本的にニコニコしてるよね。そんなに肩肘はらないし。まあ、なーんも考えない薄ら馬鹿は半分ぐらいはいるとしても、基本的には素直だし、ちょっと慣れれば自然体で人と接している。
あたしは、薄ら馬鹿ばかりが目に付くけど。
それとなにより清潔だよな。こざっぱりしている。そのなかでなかなかセンスのいいこだわりを持っている。オジサンたちは不潔だったもの。もうボロボロの服着て、汗臭いし、不健康だし。たばこに酒に睡眠不足。かわいい子も多いし、イケメンも多い。なんかたった四半世紀ぐらいだけど、江戸と明治ぐらいの差があるかもしれないよ。
ミーティングでもたばこ吸う子はほとんどいないしね。男の子もリップクリーム塗ってるし。
質のいいセンシティブな「草食」系が増えてくれて、もういままでの価値観からどんどん離れていって欲しいとも思う。そういうなかで、時々「ラーメン二郎、命!」みたいな絶滅肉食種がちらほらいて、それはそれでいいことだ。で、おれらは静かに枯れていけばよろしい、と。
うーん、おじさんはなかなか枯れないわねぇ。いつもなんか面白いことねえか、ってキョロキョロしてるし(笑)


ここ3331は千代田区の廃校をアート系の集団に解放している。最近、全国各地でこういう流れが多いよね。それぞれのグループがゆるやかに集まってあるコミュニティを形成している。ここも基本は「草食系」だな。
でも、若い人たちはアトリエとか工房とか持てないものね。三軒茶屋のキャロット工房とか、自由学校とか、地方でも各種のワークショップコミュニティとか、ここ数年とっても増えたと思う。これってやっぱりインターネットのつながりのようなものが背景にあると思うな。
校舎跡だからスペースもゆったりしてるね。地下フロア、1階、2階、3階とあり、屋上はオーガニック菜園だ。各フロアの入居スペースは外から覗けるようにもなってるし、オープンギャラリーも多い。共有スペースもそれなりだし。
3階の一角にあった「はんだづけカフェ」というのがよかったな。電子工作のための道具や場所をシェアできるのね。東京文化発信プロジェクトの本拠もあるから、ワークカフェやゼミ形式の運営を、東京都が支援してるんでしょうね。
1階に全国の似たようなアート系文化情報発信メディアが並べられていたね。時代的なトレンドだし、ある意味シェアをうまく利用する「草食系」のよさが出ているんだろう。
「ポコラート全国公募」はここでは2回目だけど、今回の催しの特徴は障害のある人、ない人、アーティストが混ざって出品していること。全国から1267作品集まって、そこから237作品を選出した。
障害ってどこからどこまでがそうなの?という問いかけがそういう参加形態にしたんだろうけどな。で、作品もタイトルと名前と出身県があるだけ。いっさい、年齢も障害のあるなしも、わからない。ただその作品と向かい合って欲しいと言うことなんだろうけど。オジサンはこのやり方にはしっくりこないな。
この前、「あざみの」の文化ホールでおじさんとアール・ブリュットの展覧会を見に行ったじゃない。あれは、全国のいくつかの施設ごとに作品コーナーがあって、その施設の制作風景の写真とか、なかにはふだん使っている机の周りのゴチャゴチャをそのまま再現していたコーナーもあって、その日常を想像させられたわよね。だからその制作工房のdvdも購入したし、作品から派生したミュージアムショップも楽しかった。だけど今回はただただ並べてあるだけ。あえてそうしたんでしょうけど・・・。
障害はひとくちにはくくれないけど、ある種の反復性のようなものが特徴になっている作品が多いように感じたね。どちらにせよ、創作行為の原初的な秘密のようなものが隠されている。もちろん、原始アートや幼児アートと比較する人もいるし。
あたしはやっぱ、色の使いかたかな。うまい絵を描こうというんじゃなくて本能的なものよね。びっくりするような色使いをしている。そんじょそこらのポップアートやコンテンポラリアートじゃ、太刀打ちできないね。
でも、この表現者たちが年齢もなにもわかんないけど「草食系」かどうかというと、やっぱり違うだろうなということはわかる。で、「草食系」の子たちは、素直にそのよさを受容できる子たちなのかもしれないな。


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