サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

宇宙英雄ベリー・ローダン/依光隆(イラストレーター)/86歳

2012年12月25日 | 毎日がメメント・モリ

依光隆氏(イラストレーター)が死去

読売新聞 12月25日(火)0時2分配信

 依光隆氏 86歳(よりみつ・たかし=イラストレーター)18日、急性肺炎で死去。告別式は近親者で済ませた。喪主は長女、平岡真菜(まな)さん。長大なSF小説として有名なドイツの「宇宙英雄ペリー・ローダン」シリーズ邦訳版で、1971年の第1巻から2009年の367巻まで38年間、表紙などのイラストを手掛けた。

ひとりの作家によって書かれた、世界一長い物語は、栗本薫の『グイン・サーガ』かもしれない。
正史が130冊、別伝が20冊であったか。英語の文字数で3000万文字を超えている。
その『グイン・サーガ」を遥かに超えるシリーズになるのが、依光隆さんの表紙絵でお馴染みの『宇宙英雄ベリー・ローダン』シリーズである。
ちょっと大きな本屋に行けば、SF文庫のコーナーに何冊も置かれているはずだ。
依光さんは、40年近くにわたって 邦訳創刊から実に367巻まで、このシリーズの表紙絵をひとりで担当したのだ。現在は工藤稜サンニバトンタッチしているが。

『グイン・サーガ』では表紙絵は、加藤直之、天野喜孝、末弥純、丹野忍という、それぞれがファンの多い4人の超一流画家が対応している。

依光隆さんの原画は、どこかバタ臭く、お世辞にもほれぼれするような描線ではない。けれど、どこか貸し本屋時代の挿絵や、少年雑誌の口絵などを飾って、少年たちの胸をときめかせた挿画作家の系譜に入っている。
宇宙スペースオペラというのは、大衆的な読み捨ての連載物語であり、B級のバタクササがあり、それがまたファンの心をくすぐるところがある。

僕がスペース・オペラにはまったのは中学生から高校生の頃だ。
「スペース・オペラの父」と言われたE・Eスミスの「スカイラークシリーズ』や『レンズマン・シリーズ』はもとより、エドモンド・ハミルトンの『キャプテン・フューチャーシリーズ』、エドガー・ライス・バロウズの『火星シリーズ』などなど。
後の『スターウォーズ』シリーズも広義で言えばスペース・オペラの系譜ではある。
その表紙絵にわりとエロチックな女性戦士や女王や姫君などが登場すると、ちょっと持ち歩くのが恥ずかしかったりして(笑)。

そのなかで、『宇宙英雄ベリー・ローダン』シリーズは異色だ。
これはドイツ産のスペースオペラであり、1961年にドイツでK・Hシェールによって連載が開始されたのだが、ゲスト作家を含めて現在まで32人の作家によって書き継がれているのだ。
2012年段階で434巻書き継がれており、これが「世界最長のギネス登録シリーズ」かと思いきや、同じドイツでその7年前から連載が開始されたという『ジェリー・コットンシリーズ』がこれより200巻ほど長いらしく、ドイツ人というのは不思議だなぁと思ってしまう。

それにしても、依光隆さんのお仕事もすごい。
僕は東大前の近くにある弥生美術館が大好きで、ほとんどの企画展にはここ10年ほど通っていると思うが、何回見ても好きなのは、物語挿絵の作家群である。

特に僕の少年時代と重なるものでは怪獣博士大伴昌司のヴィジュアルプロデュースのテーマを表紙絵や口絵や図解絵や挿絵にした、石原豪人や南村喬之や水気隆義や柳柊二といった画家たち。
僕の中では、依光隆さんもその系譜につながる絵師である・・・合掌! 


 


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