サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

ふたつの顔/瓜生良介(演出家)/77歳

2012年09月06日 | 毎日がメメント・モリ

演出家の瓜生良介氏が死去

産経新聞 9月6日(木)0時10分配信

 瓜生良介氏(うりゅう・りょうすけ=演出家、演劇集団「発見の会」主宰)5日、肺炎のため死去、77歳。通夜は6日午後6時、葬儀・告別式は7日正午、東京都新宿区神楽坂5の36、善国寺で。喪主は妻、イチ子(いちこ)さん。

瓜生さんは、僕の中では、ふたつの顔を持っている。
ひとつは、演劇集団「発見の会」の主宰者としての顔である。
60年安保後、演劇の世界にも、「革命」論が沸騰していた。
瓜生さんは花田清輝らに刺激されて、64年に「発見の会」を立ち上げた。
完全な「左翼演劇」である。

なにしろ、脚本を寄せたのが、花田清輝、井上光晴、いいだもも、広末保、松本俊夫といった錚々たる顔ぶれだ。
世に言う「アングラ演劇」である。
 一方に、土俗・情念派の唐十郎が状況劇場(赤テント)を立ち上げ、芸術派の寺山修司が天井桟敷を立ち上げ、左翼側からは「発見の会」の系譜にも位置づけられるのが、佐藤信ひきいる黒テントであったかもしれない。

そのあたりは田舎の地方高校生であった僕は、噂にしかしらず、ようやく大学になって、後追いで体験したのだったが。

瓜生良介さんのもう一つの顔は、「快医学」の提唱者・実践者としての顔である。
「快医学」では生きるうえで重要なものとして、息(呼吸)、食(飲食)、動(身体活動)、創(精神活動)があるとする。
この四つは他人に代わってもらうことは出来ない。
そして、ここに環境を加えた五つをどうバランスをとっていくか。
それは「からだがもっとも欲している気持ちのいいことをすればいい」。
簡単に言うとそういうことなのだが、「ウリウ治療室」を開くや否や、著作だけでなく、国内外を精力的にセミナー・講演などで回ったのだ。
ある意味、「左翼」で培ったオルグさながらであったかもしれない。

最後の方は、すこしオカルティックな宇宙論に行くのだが、信奉者は多かった。
そして、僕の従姉妹が(僕より数歳年上だったが)十年ほど前に癌にかかり、もう末期治療になって、あらゆる方策を試してみたのだが、普段は関西にいたので、東京に治療に来るときに、たまにではあったが、僕が付き合うことがあったのだ。
彼女といろんな情報交換をする中で、彼女が訪ねてみたいと言ったのが、瓜生良介さんの治療室であった。
僕は同行しなかったが、瓜生式の一端は、彼女から延々と聞かせてもらったことがある。
残念ながら、従姉妹の寿命はしばらくして尽きたのだったが。

瓜生さんのたぶん「激動」の人生で、ひとつは表現の世界に、もうひとつは治癒の世界に、それは本当はどこかでつながっていたのかもしれないが、影響を受けた人はたくさんおられたのだろう・・・合掌!


 


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