喜久家プロジェクト

日本一細長い半島、四国最西端「佐田岬半島」。 国内外からのボランティアとともに郷づくり「喜久家(きくや)プロジェクト」。

愛媛産には、愛がある

2010-09-06 | ブログ
『照りつける日差しと絶えず耳に入ってくるせみの声。
真昼の昼下がりに両親にたのまれ、
倉庫に飲み水を持って行った時のことです。
 
 そこには、夏にもかかわらずカッパを着ている両親の姿が。
汗は服を滝に打たれたように濡らし、長靴を水たまりにかえ…
その光景をよく覚えています。
 その時でしょうか、私が農家を志すようになったのは…。

 それから数年が経ち、いつものように冬が来ます。
柑橘農家にとって猫の手も借りたい日々の幕開けです。
 朝早く、人間の手を持つ私は梶原家の戦力として段々畑にかりだされます。
冬は、待ちに待った収穫の時季です。
 今年も「愛媛産には愛がある!」
の売り文句に恥じないできばえです。
そして夜は、柑橘の出荷の準備を遅くまでやってのけます。

 みなさんが、こたつのお供としてなれ親しんでいる柑橘。
その柑橘の1つ1つには、
決して語られることのない農家の方々の想い(ドラマ)が
つまっているのです。

 私の成長のそばには柑橘がありました。
働くことの意義や努力は1日では成り立たないこと、
そして苦労を幸福に昇華する、
「おいしい!」のひと言…。

 私はこの柑橘を守り、発展させ、
後の時代に伝えていきたいと思っています。
 私の先祖が今に残してきたように。

 農業は学歴や知識ではできません。
柑橘の1つ1つに思いをこめてこそ、
「愛媛産には愛がある!」
は語られるのです。』

 
 この文章は、平礒の梶原崇裕君が書いたもので、
平成21年度毎日新聞農業記録賞、高校生部門(優良賞中央入賞)
しました。

 今年の夏は、とにかく暑かったです。
そして今も残暑がきびしく。
 そんな時、ふとっ
以前読んだこのすばらしい文章を思い出しました。

 ふるさとには、汗がよく似合います。

                岬人(はなんちゅう)
                 

               
コメント
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