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何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

誕生寺-(1) (久米南)

2019年04月14日 | 寺社巡り-岡山

【岡山・久米郡・久米南町】鎌倉初期の建久四年(1193)、浄土宗の開祖・法然上人の徳を慕った弟子の法力房蓮生(熊谷直実)が、法然上人誕生の地に草庵を建てたのが始まり。
法力房蓮生は、美作の豪族で久米の押領使であった法然の父・漆間時国の旧屋敷を寺院に改め、誕生寺を建立、かつては誕生律寺と呼ばれた。 熊谷直実は源氏の武将で、法然の弟子となって出家して法力房蓮生と名乗った。 宗旨は浄土宗、本尊は円光大師(法然上人)像。 法然上人二十五霊跡第1番。

開祖の誕生の地に建立された誕生寺を訪れるのは、2013年の日蓮宗の開祖・日蓮聖人の千葉・鴨川市の誕生寺以来だ。
参道に架かった鉄道の高架をくぐると、右手に青空に向かって聳えるモニュメントが見える。 近づいて正面に立つと、まるで合掌する手のような姿で、真ん中に「南無阿弥陀佛」と大きく記されているので六字名号塔のようだ。 この地は中国地蔵尊三十霊場第一番霊場で、簡素な釈迦堂に六地蔵尊像が南面で鎮座している。 そこから真っ直ぐ西に延びる参道を300メートルほど進み、小さな門前町を抜けると正面に月影杏葉の紋を入れた幕が張られた山門がある。
山門をくぐると正面に、大きく張り出した裳腰に唐破風向拝を設けた簡素だがどっしりとした本堂が建つ。 境内の南側に五重石塔、阿弥陀如来坐像、旅立ちの勢至丸(法然の幼名)像、そして比叡山に旅立った勢至丸の無事を祈る母・秦氏像が本堂を向いて鎮座している。 本堂前の境内に、垂乳根が下がる古木「公孫樹」があるが、伝承だが約870年前、比叡山に旅立つ法然上人のお手植えの木とのことで、感慨深い。
 
誕生寺山門の手前約300メートルの参道脇に鎮座する六字名号塔と娑婆堂....この地は中国地蔵尊三十霊場第一番霊場

六字名号塔の脚間から眺めた娑婆堂
 
境内に鎮座する敷島地蔵尊像...舟光背型石仏で輪郭を巻いた台座上の蓮華座に鎮座/左手に宝珠、右手に錫杖を持つ地蔵尊像

露盤宝珠を乗せた宝形造銅板葺の娑婆堂

中央に御本尊の地蔵菩薩立像、その左右に6地蔵尊像(檀陀地蔵、宝珠地蔵、宝印地蔵、持地地蔵、除蓋障地蔵、日光地蔵)が鎮座

地蔵尊像後方の上の欄間部に掲げられた彩色された透かし彫り彫刻....円光を背負う地蔵尊像と童子たち....反対側には2体の鬼と童子たち

山門の両側に5本の筋が入った筋塀(築地塀)が延びる門前....筋塀は安政四年(1857)、伏見宮家寄進

切妻造本瓦葺の山門(国重文)....正徳五年(1716)の創建....白地に月影杏葉の紋を入れた幕が張られている
 
山門は薬医門で、本柱(右)と控柱を結ぶ梁の中間の上に束が乗る/大棟と平降棟の端に長い烏衾を乗せた鬼瓦、獅子の留蓋瓦、瓦当(軒丸瓦の円形)に月影杏葉の文様

薬医門の典型的な様式を示した構造といえる....本柱に乗った女木が本柱と控柱を結ぶ出梁(男木)を支える、拝に蕪懸魚

境内の切石敷参道に枝を伸ばし、注連縄が張られた法然上人お手植えの巨木「公孫樹」(銀杏)....樹齢約870年とされる

正面に建つ本堂は鎌倉時代建久四年(1193)に熊谷法力房蓮生による創建、二代目の本堂は安土桃山時代の天正七年(1579)に宇喜多直家により破壊された

入母屋造本瓦葺で裳腰付の本堂(御影堂)(国重文)....本堂(御影堂)には本尊の円光大師(法然上人)像を安置

現在は三代目の本堂で元禄八年(1695)に再々建....正面は中央間に連子入りの両折両開きの桟唐戸、脇間は舞良戸で内側に腰高明り障子

桟唐戸の内側に腰高明り障子戸、透かし彫りの欄間....正面側面に擬宝珠高欄付き切目縁を巡らす

鳥の彫刻を施したし獅子口を乗せた唐破風の向拝の精緻な彫刻群....兎毛通(唐破風懸魚)は2羽の鶴、梁の上に馬に乗る何か、水引虹梁の上に一部を彩色した龍
 
向拝の虹梁に脚間に彫刻を施した大きな蟇股が乗る/本堂に掲げられた「誕生律寺」の扁額....誕生寺はかつて誕生律寺と呼ばれた

軒廻りは母屋・裳腰いずれも二軒繁垂木、組物は平三斗と出三斗で、中備は母屋が蓑束で裳腰は脚間に鳥や花の彫刻を施した彩色された本蟇股

昭和四十九年(1974)造立の「旅立ちの法然さま」の像....後方の右に大仏、左に五重層塔が鎮座
 
相輪を乗せた五重層塔....火袋のような軸部、親柱に擬宝珠を乗せた禅宗様風の高欄付の基礎/延享二年(1745)造立の守護大仏....安土桃山時代天正六年(1578)のような法難が起こらないよう造立され、平成二十六年(2014)に勢至堂境内から現在地に遷座

御影堂(本堂)を見守る「旅立ちの法然さま」の像
 
平成二十二年(2010)造立の勢至丸の母・秦氏像...久安三年(1147)に比叡山に旅立った勢至丸の無事を祈る姿
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