
【神奈川・鎌倉市】鎌倉時代の建長三年(1251)、鎌倉幕府六代執権の北条長時が真阿(真聖国師)を開山として迎えて創建した。
元弘三年(1333)に後醍醐天皇(第96代)の勅願所となる一方、浄土(諸行本願義)・真言・天台・禅の四宗兼学の学問道場としての基礎を築いた。 後醍醐天皇の朝廷軍に勝利し、建武三年(1336)に京都に武家政権の室町幕府を築いた足利尊氏と弟直義の帰依が厚く、尊氏が寺領を直義が仏舎利をそれぞれ寄進した。 真言宗泉涌寺派で、本尊の阿弥陀三尊像は鎌倉後期正安元年(1299)の作。 鎌倉三十三観音霊場第25番札所、鎌倉地蔵尊霊場 第16番・第17番札所等。
住宅街の道角に寺号標石が立ち、その先の参道の奥に紅葉が引き立てているような山門がある。 参道手前の築地塀は5本の筋が入った筋塀だ。
山門をくぐると深緑を背にして静寂な境内が広がり、正面には本堂と間違えそうな大きな客殿、右手の手入れされた庭の中に鐘楼と不動堂、そして左手奥に庫裡がある。
真っ赤な紅葉に飾られた客殿右脇の参道を進み、客殿裏手の階を上って一段高くなった阿弥陀堂と収蔵庫がある境内に....しかし、2本の槇の巨木が聳える境内は通行止めだ。 中世寺院の景観がよく保存されている境内には、大きく広げた槇の枝に隠れるように本堂の阿弥陀堂がひっそりと建っている。 阿弥陀堂は三間四方の禅宗様建築で、正面は連子付き桟唐戸で脇間に花頭窓がある。
客殿右手の庭園内に切目縁を巡らせた宝形造りの不動堂と鐘楼があるが、訪問時、ちょうど二人の庭師の方が鐘楼前の見事な枝振りの松の手入れをされていた。


門前参道の角に立つ寺号標石/築地塀は5本の筋が入った筋塀..山門はもと英勝寺の惣門を移築したもの

切妻造本瓦葺の山門(四脚門だったか)..英勝寺創建の寛永年間の作と推定されている

山門から眺めた境内..正面に客殿、左手に庫裡、右手に不動堂と鐘楼が建つ..敷石参道奥の一段高い境内に阿弥陀堂と収蔵庫がある

周囲に切目縁を巡らした本堂のような大きな唐様建築の客殿

入母屋造桟瓦葺の客殿


向拝の軒先からが鎖樋が下がるが天水桶はない


客殿前の覆屋に鎮座する楊貴妃観音像/客殿左手に建つ庫裡は切妻造桟瓦葺で妻入り

不動堂の庭に立つ十三重層塔..左の石段の上の境内に阿弥陀堂と収蔵庫が建つ

不動堂がある庭の美しい紅葉

光を透かした鮮やかな紅葉越しに眺めた客殿

石の基壇の上に建つ寄棟造銅板葺の本堂の阿弥陀堂..寛文八年(1669)建立の唐様建築で、源頼朝創建の永福寺からの移設とされる


阿弥陀堂前に聳える創建時に植えられたものとされる槇の巨木(推定樹齢約750年)/中世の古材を用いた唐様建築で三間四方の阿弥陀堂..正面に上部に連子がある桟唐戸、脇間に花頭窓を配す

阿弥陀堂の左手の収蔵庫に本尊阿弥陀三尊像を安置..堂内の須弥壇は応仁二年(1468)作

阿弥陀堂境内から眺めた客殿

庭園内から眺めた不動堂と奥に客殿..不動堂には不動明王坐像が鎮座

露盤宝珠を乗せた宝形造銅板葺の不動堂..延享二年 (1745)建立(推)で、天明三年(1783)再建

客殿境内の右手の庭園内に建つ不動堂..正面は桟唐戸と脇間は引き戸式の舞良戸

昭和六十一年(1986)建立の切妻造本瓦葺の鐘楼


鐘楼と梵鐘はいずれも近年のもの
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