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何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

円覚寺-(1) (鎌倉)

2017年06月04日 | 寺社巡り-神奈川

【神奈川・鎌倉市】鎌倉時代の弘安五年(1282)、鎌倉幕府八代執権北条時宗が文永・弘安の役で戦死した兵士たちの菩提を弔うため、宋の禅僧・無学祖元(仏光国師)を招いて建立した。 寺名は起工の際に地中から「円覚経」を収めた石櫃が出土したことに由来。
創建時の伽藍は仏殿・僧堂・庫裡があるだけだったが、鎌倉幕府の祈願所に定められてからは寺領や建物の寄進を受け、次第に大きな寺に発展した。 元弘三年(1333)に鎌倉幕府が滅びた二年後、夢窓国師が円覚寺十五世住持となってからは後醍醐天皇(第96代)の庇護により繁栄を続け、盛時には七堂伽藍が整えられ、塔頭も42院を数えた。 臨済宗円覚寺派の大本山で、本尊は宝冠釈迦如来坐像。

2009年7月末から古都・鎌倉の寺社の投稿を始めたが、ブログを始めて間も無かったので写真が少なく文も簡素になっている。 そこで、訪問時の記憶をなんとか思い出しながら写真を増やして再投稿することにした。(旧投稿は削除) ブログ用の写真を確保するため2008年の紅葉の季節から鎌倉の寺社巡りを始めたが、最初に訪問したのが山ノ内に鎮座する円覚寺だった。

JR北鎌倉駅の正面口をでて左に進むと瓢箪の形をした白鷺池があり、池に架かるごつい石造りの擬宝珠高欄付き石橋を渡った先に総門があり、あたりは老杉に覆われている。 寺号標石から上る紅葉に彩られた石段の段上に、大寺院に似合わない小さな総門が立つ。
総門をくぐって参道を進むと、広い石段の上に建つ重層八脚の壮大な山門が迫って来る。 まだ朝の陽光が当たっていない山門だが、堂々たる存在感があって古刹の風情を醸し出している。
山門の後方に鉄筋コンクリート造りの仏殿が建つが、唐様禅宗様式の御堂で荘厳な趣がある。 堂内の須弥壇の蓮華座に法界定印を結んだ釈迦如来像が鎮座しているが、大きな宝冠を被った珍しい姿だ。
仏殿の左手に2つの坐禅道場があり、ひとつは茅葺き屋根と4つの花頭窓がある白壁とのコントラストが美しい選仏場、その右隣の紅葉した木立の中に居士林の門がある。 門は棟に瓦を乗せた分厚い茅葺で、石段下から眺めると風情のある佇まいだ。
参道を奥に進むと、右側に5本の筋が入った袖塀がある唐破風の勅使門が見えてくる。 正面から勅使門の見事な装飾彫刻を拝観した後、右手の小さな棟門から方丈の前庭に入る。 庭の左側は百観音霊場になっていて、さまざまな姿の観音菩薩石仏がL字状に整然と並んで鎮座している。 また、庭には大きく枝を広げた柏槇の老木が聳える。
  
門前の鮮やかな紅葉と大きな「臨済宗大本山 円覚寺」の寺号標石....石の階を上がった先に総門/白鷺池の畔に佇む多層石塔..風化が激しくて原型をとどめず層数は不明
 
「瑞鹿山」の額がある総門....左右に5本の筋が入った築地塀(筋塀)が続く/切妻造桟瓦葺の総門の四脚門....柱の下に石の礎盤

石段下から見上げた荘厳な山門

入母屋造銅板葺の山門(重層八脚門)....天明三年(1783)、誠拙周樗により再建された
 
擬宝珠高欄付廻縁がある上層に掲げられた「円覚興聖禅寺」の額は伏見上皇勅筆....桟唐戸や花頭窓や詰組など禅宗様

楼上に十一面観音菩薩坐像を中心に十六羅漢像や十二神将などを安置

入母屋造銅板葺の仏殿..関東大震災で倒壊した後の昭和三十九年(1964)に再建....元亀四年(1573)作の「仏殿指図」を基に建立

身舎に裳腰を設けた鉄筋コンクリート造りの仏殿で、唐様禅宗様式の荘厳な趣きがある
 
禅宗様高欄付須弥壇の大きな丹色蓮華座に鎮座する本尊の宝冠釈迦如来坐像....脇侍は江戸時代作の梵天像と帝釈天像....天井に見事な巨大白龍図
 
仏殿の「大光妙寶殿」の扁額は後光巌天皇(北朝第4代)の勅筆....堂前に苔生した笠の石燈籠が佇む

小棟造りの寄棟造茅葺の選仏場..元禄十二年(1699)建立

選仏場は坐禅道場として三百年以上の歴史を有す
 
選仏場前に佇む中台が大きい石燈籠/堂内に安置されている南北朝時代作の薬師如来立像と観音菩薩坐像

鮮やかな紅葉と選仏場の白壁のコントラストは美しく趣がある

選仏場の右隣の紅葉に覆われた石段の上に建つ居士林

切妻造茅葺で棟に瓦を載せた居士林の門....東京・牛込にあった柳生流剣道場の遺構で昭和三年(1928)に移築
 
居市林は在家信者の為の坐禅道場....門は四脚門で、門前に壊れた石燈籠の各部を積み上げたような石塔がある

広い石段の上に方丈の境内がある....正面は勅使門で奥に方丈、右は屋根に煙出しがあるので庫裡と思う

勅使門..妻入りで正面と背面に唐破風がある向唐門

梁上の龍や木鼻などの彫刻がじつに素晴らしい
 
方丈前庭にある百観音霊場..厳かな空間が広がる

百観音霊場から眺めた方丈(左)....右奥の唐破風屋根は玄関か....方丈前庭に聳える柏槇の老木

入母屋造桟瓦葺の方丈

「方丈」の額が掲げられた堂内....正面奥に黒い須弥壇がある

方丈後方の池泉庭園
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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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初めまして (鷲谷 壮介)
2021-03-22 20:22:05
初めまして、鷲谷と申します。

この度円覚寺についての記事を書かせていただいたのですが、その際にこちらの記事を参考にさせていただきました。

自分で撮った写真が少なく記憶もあいまいだったため、詳しい写真と解説がとても参考になりました。

それと、誠に勝手ながら自ブログにてこちらの記事のリンクを貼らせていただいたので、ぜひ遊びにいらしてください!
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