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何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

日吉大社-(2) (大津)

2018年10月05日 | 寺社巡り-滋賀

【滋賀・大津市】比叡山延暦寺を護る神社として位置づけられた日吉大社は、大きく分けて「西本宮」、「東本宮」、「宇佐宮・白山宮」そして「奥宮」の4つの神域からなる。
「西本宮」の祭神である大己貴神は、別名を大国主神・大物主神と呼ばれ、島根県の出雲大社や、奈良県の大神神社などで祀られている国造りの神様。 明治以前、「西本宮」は大宮・大比叡とも称され、社殿の規模が最も大きく格式が高い。
織田信長の比叡山焼き討ちで日吉大社も灰燼に帰したが、現在の建造物の殆どは安土桃山時代以降に再建されたもので、天正十四年(1586)建立の西本宮本殿は国宝に指定されている。

山王鳥居をくぐり、広い参道を進んで、一番奥に鎮座する檜皮葺で丹塗の西本宮楼門に着く。
安土桃山時代建立の壮麗な楼門の上層の回縁から「奉祝 西本宮御鎮座1350年」の垂れ幕が下がり、歴史ある古社であることを主張している。 初層と上層の中央間の頭貫の上に配された脚間に装飾が施された極彩色の本蟇股がある。 上層の蟇股には松の木の上で遊ぶ3匹の神猿、そして、四隅軒下の隅行尾垂木の上で楼門を護っている「棟持猿」と呼ばれる山王神使の神猿像が印象に残る。
玉垣で囲まれた古社の境内は、さぞかし神聖な空間が広がっているのだろう....と厳粛な面持ちで楼門をくぐったが、少し裏切られた。 直ぐ正面に建つ趣のある拝殿の前や回縁にゴチャゴチャと掲示物や物が置かれているのと、左手にある社務所の前が賑やかで、神々しい雰囲気を損ねていたからだ。
拝殿の後方に回ると空気が一変し、正面の縁に一対の狛犬が鎮座する荘厳な本殿....まさに神が降臨するような雰囲気が漂う。 織田信長に焼かれた後に建てられた本殿は「日吉造」という独自の形式で、正面からは入母屋造に見えるが、正面と両側面のみに庇を設けた変則的な造りだ。 この形式は日吉大社でしか見る事ができず、存在するのは西本宮本殿、東本宮本殿そして摂社宇佐宮本殿のわずか三棟のみ。 初めて見る「日吉造」の建物に感慨深いものを感じながら楼門を出て、東隣に鎮座する摂社の宇佐宮に向かう。

西本宮前の広い参道
  
楼門前の朱塗りの玉垣に囲まれた「大威徳石」....説明に「仏法守護の五大明王である大威徳明王が宿る霊石と伝う」とある/切妻造の石造り手水舎/龍の水口から清水が手水鉢に注がれている

入母屋造檜皮葺で丹塗の西本宮楼門(重文)....天正十四年(1586)頃の建立

軒廻りは二軒繁垂木、上層の組物は三手先(三手目は尾垂木)、中備は中央が極彩色の蟇股で両側に蓑束
 
組高欄付き切目縁を支える腰組は三手先、中備は花の彫刻がある極彩色の蟇股、両側に蓑束を配す/上層に軒天井と蛇腹軒支輪...上層の中備の蟇股の彫刻は松の木の上で遊ぶ3匹の神猿
 
四隅軒下の隅行尾垂木の上に山王神使の神猿像が鎮座

入母屋造檜皮葺で三間四方の西本宮拝殿(重文)....天正十四年(1586)の建立

軒廻りは二軒疎垂木で柱上に舟肘木、組高欄付き切目縁を廻らす....背後の山は牛尾山

大棟端に獅子口、拝に猪目懸魚、妻飾は狐格子

拝殿を通して眺めた西本宮本殿....大神神社から勧請した大己貴神を祀る

日吉造檜皮葺の西本宮本殿(国宝)....天正十四年(1586)の建立....桁行五間、間三間で正面と両側面に一間の庇を設けた「日吉造」という独自の形式

軒廻りは二軒繁垂木で柱(丸柱)上に舟肘木、向拝柱(角柱)上にも舟肘木、周囲に丹塗の組高欄付切目縁....正面の縁に魔除けの狛犬と獅子が鎮座
 
正面の組高欄付縁に鎮座する一対の狛犬....左の吽形像は雌の狛犬(口を閉じ、角がある)/右の阿形像は雄の獅子(口を開け、角がない)
  
本殿正面に2つの御幣が供えられている/縋向拝の階段下に浜床が設けられている/床下に「下殿」と呼ばれる部屋があり、かつては仏事が営まれた
 
本殿の側面に板唐戸と小さな横連子窓がある

大棟端に獅子口、拝に猪目懸魚、妻飾は豕扠首....本殿両側(東西)に格狭間が刳り抜かれた石造竹台が置かれ、笹竹が植えられている
 
切妻造杮葺の建物....大棟端に鬼板、拝に蕪懸魚、妻飾は豕扠首、長押上に板蟇股/本殿左手から眺めた拝殿と楼門、右の樹は桂の神木

西本宮本殿右手に鎮座する流造銅板葺の竈殿社(下七社・末社)....旧大宮竈殿で、祭神奥津彦神・奥津姫神を祀る....右奥は檜皮葺は宇佐宮本殿
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