
【京都・木津川市】昨年11月、訪問した札幌の大型書店で、石仏に関する2冊の書籍をみつけ購入した。 いずれも京都府南部を流れる木津川の流域の山中や寺社境内などに点在する石造物を紹介したもので、興味を引く石仏や磨崖仏などがたくさん載っていて面白く、木津川の石仏めぐりをすることにした。
先月後半の晴れた日の早朝、この書籍を持って新幹線で京都に向かった。 京都を訪れるのは約5年振りだ。 車窓から眺めた朝日に輝く冠雪の富士山に感嘆、また米原通過では、まるで日本海の豪雪地を走っているような雪景色に驚いているうちに京都に着いた。 京都には雪はなく、直ぐにJR奈良線に乗り換えて木津駅に....駅舎に設けられたロッカーにそそくさと荷物を押し込み、青空の下、少し冷たい風を受けながら石仏めぐりをスタートさせた。
石仏めぐりでは、山岳寺院の境内や山道や深い樹林の中にひっそりと鎮座する石仏たちに逢うたびに、特に鎌倉時代に多く出た放浪僧や隠遁僧が、人里離れた山奥に隠れ住んでひとりで、時には石工と共に石仏や磨崖仏を彫るなどして厳しい修行を積んださまが偲ばれた。 たくさんの石仏に逢ったが、中でも南都仏教の影響を強く受けていたとされる当尾には、興味深い石仏や磨崖仏が残されていて楽しかった。 また、石仏を探しているときに地元の方が声を掛けてくれ、石仏の場所や石仏に纏わる話などを教えてくれたことが何度かあり、有難く嬉しかった。 1日10kmを目標にした木津川流域の山道歩きだったが予想以上にきつく、2日目に右足を痛めてしまった。 その後バスを利用するなどして石仏めぐりを続けたが、傷みが激しくなったので断念....後半を奈良の古刹めぐりに切り替えた。
奈良の古刹めぐりでは、日本最初のお寺である飛鳥寺を初めて訪れたが、日本最古の仏像である本尊飛鳥大仏(釈迦如来坐像)を撮影していいとのことで吃驚した。 殆どの寺院は堂宇内に安置された仏像の撮影を禁じているが、飛鳥時代の面影を残す部位は一部のみとはいえ、まさか日本最古の仏像を撮影できるとは....。 飛鳥寺の懐の深さに感謝しながら、仏様をより身近に感じた気がした、合掌。 (最初の写真は「岩船阿弥陀三尊磨崖仏」...鎌倉時代永仁七年(1299)の造立で中尊阿弥陀如来の像高は約82cm)

笠置寺の虚空蔵菩薩線刻磨崖仏...奈良(天平)時代の造立で像高は4.11m

岩船寺墓地の六体地蔵石龕仏...南北朝時代の造立で像高は44cm

大門如来磨崖仏...平安時代後期~鎌倉時代前期の造立で像高は約1.68m

鹿背山不動院の地蔵磨崖仏...鎌倉時代後期の造立で像高は1.80m

笠置寺の弥勒石...天平時代の造立で、高さ約12mの二重円光背跡に日本最大最古の天人彫刻像と伝わる弥勒磨崖仏(笠置寺本尊)が彫られていたが、鎌倉時代元弘元年(1331)の戦火で焼失

千日墓地の受取地蔵像...室町時代の造立で像高は130cm