けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

「長生きリスク」を解決すれば老後は安心できる!

2012-03-10 21:49:42 | 政治
先日のブログ「不公平感を与えずに眠ったお金の目を覚まさせる方法」の中で、大阪維新の会の船中八策の中での面白い提言について触れたが、興味を惹かれるものは他にもある。例えば、船中八策を細かく読むと「リバース・モゲージ」という制度について言及している。このリバース・モゲージとは、言ってみれば土地・家屋などの資産を担保にして生活費を融資する年金制度のようなものである。実際、武蔵野市などの自治体や民間の信託銀行などで導入された実績もある。これは、例えば自宅などの資産を査定し、その資産を手放すことなしにそれを担保に毎月一定額の生活資金の融資を受け、貸付期間の終了時ないしは契約者の死亡時に担保不動産の売却などにより、一括で精算する制度である。通常の住宅ローンでは、借入額が年々減少するのに対し、この制度では借入額が累積して増加するので受託ローンの逆(リバース)となるのである。

この制度は面白い制度であるが、しかし弱点も存在する。それは、資産の査定額と月々の貸付額より定まる貸付契約期間を超えて長生きした場合に担保不動産を売却して精算しなければならない「長生きリスク」と、貸付契約終了時に自宅の資産価値が大幅に下落して担保割れする「貸し倒れリスク」である。その他にも、あくまでも契約的には生活資金の貸付であるから、担保物権は契約者(高齢者)が死亡時には契約者の所有物であり、担保となる住宅の相続人(契約者の子供など)が住宅の売却による精算を事前に承認する必要があるとか、その手の問題をクリアする必要がある。

話は少しそれるが、私の場合には父の介護の関係で、老人ホームについて調べたことがある。民間の老人ホームはかなりのお金が必要で、月々の費用を年金で賄える範囲に抑えようとすると、入居時の一時金を数千万円レベルで入金する必要がある。一方で、入居時の一時金を安く抑えようとすると、月々の生活費が25万円以上必要になったりする。やはり何かの時に心配だからと入居一時金を抑えようとすると、毎月毎月年金ではまかないきれないので、赤字分を貯蓄から補填しなければならない。自分の健康状態や平均寿命との比較から、これだけの財産があればまず大丈夫だろうと割り切るのは良いが、しかし予想に反して長生きしてしまうと老人ホームから追い出される羽目になる。この時のリスクはまさに「長生きリスク」なのである。本来は喜ばしい長寿がリスクとなる現実は非常に嘆かわしい。だから、これを国家の制度で何とかすることができないかと考えた。

そこで私の提案を順を追って説明する。まずは、国や自治体および民間団体が高齢者用の(比較的専有面積の狭い)共同住宅・マンションを建築し、その月当たりの賃貸料を設定する。契約者の年齢と統計的な観点から算出される「平均余命」との差などから、生涯契約金額を算出する。その金額を全額払い込めば、何歳まで生きようとそのマンションに継続的に生活し続けることができる。逆に、平均余命よりも先に死ぬことになっても残金は返ってこない。言ってみれば、早死にした場合に契約額が割高になるリスクを担保に、長生きした場合の保険をかけるのである。また、契約時にお金を振り込んで精算しているので、相続でややこしい話にもならず、(相続人が誰かを問わず)契約者の判断のみで契約を行うことができる。

私の家は40年ほど前に開発された分譲地にあるが、その当時の購入者は既に高齢になり、生活が不便になっている。昔は近所にスーパーがあったそうだが、大型の量販店に押されて今はない。車があれば、駅の近くや少し離れた大型スーパーまで買い物に行けるが、車がないと日々の食材の買い物もバスに乗って買いに行かなければならない。だから、慣れ親しんだ家を捨てて、駅の近くの便の良い小さなマンションに移り住む人が多い。しかし、駅の近くは物件が割高であり、中々、条件の良い場所を探すのは難しい。病気の場合に頼る人もなければ、引越しの際には不安も多い。

一方、上記の提案では、高齢者をまとめて収容するために、色々なことが効率的に行える。例えば、その施設の周りに医療機関を誘致すれば、高齢者は受診が容易になる。食料品は仮に宅配サービスとしても、場所がまとまっているのでサービス提供者にとっては美味しいサービスである。場所だけ提供し、近所の八百屋や肉・魚屋などが曜日を決めて売りに来てもらうことも可能だろう。集合住宅の規模が大きくなればスケールメリットは大きい。無線LANなどを利用した携帯端末を高齢者に提供すれば、例えば医療機関の受診時に、予約と順番待ちを自宅で行い、自分の順番の15分ほど前になったら呼び出すというシステムを導入すれば、受診時の負担はだいぶ軽くなる。食材の注文も、携帯端末を利用すれば簡単に行える。健康状態の確認の声かけサービスも、1日に何回かづつ簡単に行えるので、体調不良を早期に見つけることができる。孤立死などはこれで確実に防げる。

また、長時間の介護サービスは必要ではないが、短時間の介護は必要な人もいるだろうが、施設の規模が大きなスケールメリットを利用すれば、1時間単位の定期的な契約ではなく、極端な話、必要なときに10分単位で介護依頼をすることも出来る。具体的には、その集合住宅の中にはまだまだ働ける人がいるだろうから、その人たちに簡単な講習などを受けてもらい事前登録をしてもらう。そして、何処か(別に集合住宅内である必然性はない)に管理センターを設け、介護を必要とする人からの要望が電話やメール等で上がってきたら、管理センターで処理して対応のできる人の募集をかける。対応できる人がいれば直ぐに割り当て、対応できなければ待ち行列に並べて順番待ちをする。急を要する場合にはその旨を申告してもらい対処すれば柔軟に対応できる。顔見知りに対応してもらえるので安心であるし、本格的な介護士でなければ単価も安く抑えられる。もちろん、介護師免許をもったスペシャリストも必要であるが、人数も少なくて済むし、常に常駐している必要もない。高齢者には、整形外科のリハビリサービスを受けている人も多いが、そのような人のリハビリマシンなどを共用スペースに用意しておけば、予約制で安価で利用できる。医療費を抑制できるから、社会保障費の伸びを抑えるのにも役立つかも知れない。

これだけ便利な施設であれば、別に駅の近くである必要はないから、比較的地価の易い奥まった土地に建設することも可能である。東日本大震災では、海辺の高齢者が避難を躊躇して多く死んだが、津波の心配のない場所に十分な強度で建築すれば、緊急事態においても避難所で死亡する高齢者を防ぐことが出来るかも知れない。

この様に、色々とメリットは大きい。あくまでも賃貸だから、自分でマンションを購入するよりは割安で済むだろう。しかし、少なくとも「長生きリスク」は回避できる。いざ病気になった時のための蓄えも少しは残せるだろうから、いろいろな意味で安心である。もちろん細かい点では工夫は必要である。入居時には契約対象となる居住者を指定し、その契約者が全員亡くなった時点で契約終了である。例えば、夫婦で入居する場合には、夫婦のふたりとも亡くなるまでを契約期間とし、条件付き確率を詳細に計算し、契約金額を定める工夫がいる。もちろん、高齢者の親と契約時に所定の年齢以上の子供が同居する場合にも、子供の年齢も考慮した平均余命で契約額を計算する。契約時に所定の年齢に達しない子供も同居可能であるが、契約者が全員死亡した際に賃貸契約が終了するので、この際には集合住宅を追い出されることになる。確率論と法律的な細かいことを考慮すれば、割の合う制度を設計することは可能であろう。「長生きリスク」は比較的少人数を相手にする民間会社では取りにくいが、国家規模であれば早死する人と長生きする人の差額は十分にペイできる。仮に赤字になれば税金で補填することになるが、契約金額を年々微調整することで、赤字の垂れ流しは回避できる。また、契約後の解約についても考えなければならないが、不公平感がない設計は可能だろう。例えば、ガンなどで早死にする確率が高まったら解約してお金を取り戻そうという人が増えると赤字になりやすい。だから、解約申請は解約日の3年前までに行うとか、その際の返金額は平均余命から計算される額の70%とか、色々な人の意見を聞いて決定する。契約後、1年以内に限定して直前解約を認めたり、その場合の返金額は賃貸期間×賃貸月額+手数料を差し引いた額にするとか、細かいところは幾らでも工夫できる。専門の介護士以外の人の介護サービスについても、事故が起きた場合の制度の整理や保険なども考える必要があるだろうが、これも解決できない話ではない。

ここから先は、専門家にでも考えてもらいたいが、高齢者が少ない元手で安心できる制度を確立できれば、年金の支給額を下げても我慢出来るかも知れない。また、余ったお金を消費に回すことも出来るよになる。如何にして高齢者の「安心感」を如何にして引き出すかが鍵である。年金制度だけではなく、この様な問題も大局的に考えた新しい制度設計を工夫して欲しい。誰でも良いから、政治家のみなさん、考えてくれ!

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