けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

韓国憲法裁判所の判断と日本政府への質問主意書

2012-03-14 23:33:29 | 政治
12日、テレ朝のTVタックルの番組の最後の方で、慰安婦問題についての議論があった。慰安婦問題の様々な議論の幾つかは過去のブログでも取り上げた。個人(民間)レベルでは法的な問題を超越した主張がまかり通ると信じる人がいるのは理解できるが、何故国家レベルで認識の相違が生まれるのかが疑問であったが、その主張の一部を理解することができた。既にご存知の方も多いのかも知れないが、一応、ここに整理しておく。

日本に対して韓国政府が慰安婦問題の補償を日本に要求する根拠は、「日韓請求権並びに経済協力協定」の第3条にあるということだ。この協定の全文は以下のサイトにあるので興味のある方は読んでみると良い。

東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室 データベース
日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)

有名なのは第2条第1項で、以下の記述がある。

「1 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。」

ここに「完全かつ最終的に解決」とあるように、明らかにこれ以降の請求権は存在しないことを確認している。しかし、韓国政府は第3条に目をつけたのである。この第3条第1項には以下の様な記載がある。

「1 この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。」

つまり、この協定には解釈が分かれる部分があるかも知れず、その場合には白黒決着をつけるための手続きを第3条第2項以降で規定している。この「解釈」が曲者で、韓国の言い分はこの第2条に記述される「完全かつ最終的に解決」とは本当は完全でも最終的でもなく、実は様々な例外がいっぱい存在することを明示した条項であるというものである。しかし、私はこの様な主張が一例として韓国国内の裁判で「通じる」レベルのものであるのかを韓国政府に問いたい。この協定の第1条には、請求権に関連して補償金額が明確に定められている。その金額は「米ドル」および「円」表示でなされており「韓国ウォン」ではない。さらに「(その金額に)等しい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務」の供与を規定しており、「韓国ウォンの現金で支払う」という分かり易い規定ではない取り決めになっている。

一般に、ビジネスでの取引において様々な契約を取り交わすが、単純な売買やお金の授受と言うようなケースを除けば、多くの場合、些細な解釈の違いなどが発生する可能性を秘めており、その様な場合には後々の裁判等の紛争の解決のための手引きとなる条項を盛り込むのが普通である。私はあまり経験はないが、企業間の技術契約の締結の際の契約書を読むと、その様なことが書かれていたことを記憶している。だから、この第3条に記載される内容はあくまでも紛争の解決の手引きを示すものであり、この条約の根本である「完全かつ最終的に解決」自体に疑念を抱くことを許容する内容ではなく、根本とは一線を画した「細部」の規定に関する調整のための条項と理解するのが日本国および韓国の国内裁判における一般的な理解だと思う。

例えば、(私は直接見たことはないが)交通事故の示談書などの記載には、「今後の請求権を放棄する」といった「完全かつ最終的に解決」を示す記述と、示談書に記載の内容が実行されない場合などを想定した「その後の紛争の解決のための手引き」が併記されているのではないかと思う。もし違っていたらご指摘をお願いしたい。例えば、交通事故で足の骨を骨折したとする。治療が終わり示談書を交わし、一件落着したと思ったら5年後に腰が痛くなった。足の怪我に関しては請求権を放棄したが、その時から腰にも違和感があり、その腰の治療の請求権は放棄していない。5年後に腰の痛みが本格的になりだしたところで、「今後の請求権」とは書いてあるが、「腰の治療も含む」と明記されておらず、この点の解釈が相互で食い違うのであるから「腰の治療費を払え!」と言ってダダをこねられたらどう思うだろうか?多分、裁判所では示談書に記載の「その後の紛争の解決のための手引き」とは、その後に因縁をふっかければ相談に応じることを保証する記述ではないので、「完全かつ最終的に解決」されている原則を優先した判断となるのは常識だと思う。しかし、これが認められないとなれば、「今後は例外なく如何なる紛争も認めない」という表現を示談書に盛り込まなければならない。しかし、被害者側がこの様な記述を認めるためには、最後の1円までの支払いが完了しなければ怖くてしょうがない。つまり、いつまで経っても示談書が交わせない事態になり、何処まで行っても解決にたどり着けなくなる。こうなると、後から後から体の節々に異常を来せば、際限なく請求し続けるという事態にもなりかねない。裁判所は紛争を解決してナンボであるから、この様な事態にならないようにサポートする役割を持ち、だから示談書を「常識」的に解釈する代わりに早期に示談を進めましょうということになる。

最近の韓国政府の強気の反応は、(本来は政府に対する「お叱り」の判決なので望ましいことではなかったであろうが)昨年8月30日の韓国の憲法裁判所の判決を逆手に取った日本に対する開き直りである。だから、憲法裁判所が事の発端になった訳である。当時の日本政府の補償額は時の韓国の国家予算の10年分以上の額である。しかも、(慰安婦問題などを含むであろう)韓国国民に対する直接的な補償を日本政府が直接行うことを申し出たのに対し、これを韓国政府が拒否し、韓国政府が補償金を全額受取りそれを国民に補償するというやり方を主張したのだという。

誰か詳しい人がいれば教えて欲しい。ないしは政府の公式なルートで、韓国政府に対して問い合わせて欲しい。昨年の憲法裁判所の判決は、『日韓請求権並びに経済協力協定』の第3条が第2条の『完全かつ最終的に解決』の例外を認める内容だと解釈した結果なのか否かを・・・。仮にこの答えが「その様な解釈はしていない」というのであれば、何故、日本に対して請求権を法的に放棄し既に請求権を持たない韓国政府が日本政府に対して請求しない事態を「無作為」とみなしたのか、その理由を問い合わせて欲しい。また、憲法裁判所の判決にあたっては、どれだけ『日韓請求権並びに経済協力協定』の背景を調べ、どの様な認識であの様な判決を下したのかを確認して欲しい。

ひょっとすれば、判決文などにその詳細が書かれているのかも知れない。日本政府は、その内容をどれだけ分析したのか、今度はそれを日本政府にも聞いてみたい。誰でも良いから何処かの国会議員が質問主意書を政府に出してくれないだろうか?

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