けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

やはり情報の差が結果を分けていた

2012-03-12 23:21:21 | 政治
昨日は3.11の追悼番組が朝から晩まで続いていた。色々思うところはあったが、感慨深い思いで見ていたものの一つに「トモダチ作戦」について扱った部分であった。

最初に蛇足から入るが、この「トモダチ作戦」というネーミングは如何にもダサい。だから私はこの名前は好きではなかった。同じく、「絆」という言葉が多用されるのも嫌いだった。如何にも取って付けた様な言葉で真実味が感じられない。しかし、追悼番組の中で津波被害を受けて工場が完全に流された自動車部品の金型工場の社長の話題を見て気持ちが変わった。この社長の周りに集まった同業者が、ちょっとづつ彼のために協力をし合い、工場を再開することができたという。言葉で書くとそれだけの話だが、映像から伝わる絶望の中で掴んだ希望の光はとても印象的だった。その彼を助けた同業者が「絆を大切に」というようなことを語っていた。非常に自然に口から発した言葉だった。「これが絆か・・・」と感じることができた。どこかの政党の人気低迷に嫌気を出した政治集団が同じ名前の政党名を名乗っているが、受け狙いの震災の政治利用については吐き気がする。しかし、この日の映像を見た後では、この「トモダチ作戦」という言葉には(実際にはそれなりの色気はあるのだろうが)純粋な心意気を感じることができた。

さて、少々横道にそれたので本題に戻る。番組の中でアメリカ側の軍の責任者が語っていたが、「トモダチ作戦」の発令は日本側からの正式な依頼がある前に動き出したのだという。しかも、東北地方を中心とする東日本が相当な被害を受けているらしいとの情報を受けて、韓国から高度2万mの成層圏を飛行する偵察機U2を即座に東北に向けて飛ばし、その映像を解析してその壊滅状況が想像を絶するレベルであることを早期に把握していたという。さらには中東に向かいつつあった空母ロナルド・レーガンを急遽呼び戻し、その他にも海軍や海兵隊の軍艦を東北沖に集結させたという。東北地方の港が壊滅状態にあったため、大型船舶が接岸できないことを知った上で、地上の救援で手一杯であった自衛隊が救助に向かえなかった地域に、揚陸艦などを使って大々的に救助を行った。空母を起点にして、ヘリコプターにより陸の孤島となった場所も多く救っている。これらは、適切な情報収集が行われたことで、適切な判断を早期に下すことができた良い例である。

しかし、これらの事実はこの1年の間に日本で起きた事態とは対極的である。日本の場合、圧倒的に情報が不足していた。本来であれば、ありとあらゆる情報を収集する部署があり、その収集した情報を解析する部署もあり、舵取りをすべき中枢にはこれらの精査された情報が適切に提供されなければならなかった。しかし、例えば有名なのはSPEEDIなどの情報も、時の首相官邸にはその存在を知る人がいなかった。SPEEDIなどで放射線の危険性が予想される地域には、数多くの実態調査を行うための完全防備の白装束の人達が入っていて、それらの人が住民に「危ないから逃げろ」と伝えていたが、その状況を時の首相官邸が把握していたという情報も聞いていない。福島の福島原発への海水注入などの重要な情報も、Faxで送ったきりになって情報の山に埋もれてしまった。こんなのはほんの一握りで、情報の収集能力、解析能力がしっかりしていれば、その後のその情報の取り扱いは適切に行われるはずである。

しかし、福島原発の民間事故調の報告にもあったが、例えば原発の全電源喪失を受けて、バッテリーや発電機を手配する際に、秘書官が「警察にやらせますから」と伝えてもそれを無視して菅前総理がそのバッテリーのサイズの詳細を報告することを求めていたのを聞いて、周辺の側近が「総理がこんなことを気にすると思うとぞっとした」という発言もしている。つまり、本来ならば情報収集とその交通整理を担うべき人を信頼せず、だからその仕事をそれらの人に任せず、情報が交通渋滞を起こして重要な情報が上がってこない。首相官邸の地下にあった危機管理センターは情報の保全を目的としたようだが元々携帯電話が利用できず、それが理由かどうか分からないが菅前総理は首相官邸5階の執務室にごく一部の人を集めて、そこですべての処理を行っていた。当然ながら、本来ならば全ての情報が集約されるはずの危機管理センターには責任者が不在になるし、その情報を執務室に上げようとすれば怒鳴られるしで、完全に情報は交通マヒ状態に陥った。情報を制していないのであるから、当然ながら適切な判断は期待できない。誤った判断の元で行動を起こすと、その行動の基の判断が間違っていたことを認めることができないから、その方向性を修正することもできない。完全に負のスパイラル状態に陥ってしまった。

その他にも、素人の私でも水素爆発が起きたときに原発周辺の風向き情報を気にして天気予報を見ていたのを記憶している。時間により風向きは変わったと思うが、爆発後の最初の12日、13日ごろは東向きの風で、放射性物質を含んだ空気は海上に流れており安心したように覚えている。テレビでも、暗黙の了解として、そのようなことを考えて天気予報で風向き情報を流していたのだと思う。しかし、2号炉のサプレッションプールが破損した15日あたりに放射線量が急激に上がり、その時の風向きが北西であった。その方向の被害が今回特に問題視されている。もし、情報収集とその解析が適切に行える体制を引いていれば、その様な被害は完全に防ぐことはできた。

この様な例を引き合いに出すまでもなく、情報が全てを決することは多々ある。今回のこの様なお粗末な事態の責任の多くは官僚にあるのは事実である。どんなに愚かな政権であっても、そのせいで国家が滅びてはいけないから、総理や閣僚とは異なり継続性のある官僚は責任感と強い意思を持ってことにあたる必要がある。しかし、彼らは一方でエリートであるから、それなりの常識を持った人種である。その常識の通じないほど、想定外に愚かな指導者が時の政権を構成してしまうと、これはどうしようもないのかも知れない。しかし、今後も引き続きこの様なリスクと隣り合わせであり続けることは耐えられない。その様なリスクを排除するためには、そのためのシステム作りが必要である。今は東日本大震災の後遺症に対するリハビリ中なのかも知れないが、膿を出し切った後にはちゃんとしたシステム作りをして欲しい。その設計図を描くのは政治家なのだろうが・・・。

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