西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

スクリャービン「白ミサ」

2007-02-21 10:22:14 | 20世紀音楽
「白ミサ」とは、スクリャービンのピアノ・ソナタ第7番のタイトルで、今日は、この曲が初演された日です(1912年、モスクワ)。「白ミサ」に対し、「黒ミサ」も書いています(ピアノ・ソナタ第9番)。スクリャービンは、ロシアの作曲家で、19世紀末期の1900年前後よりその芸術を開花させます。このころ、彼は神秘主義哲学に凝り、その後の彼の作品はその主張を理解しないと、わからないものかも知れません。「白ミサ」「黒ミサ」というタイトルもその表れです。私は、彼の唯一のピアノ協奏曲(独奏者ネイガウス)を良く聴いていたことがあり、優れた作品だと思っています。若いころショパンを崇拝していただけあって、ピアノ曲にその作品は集中していますが、彼の神秘性を良く表すのは交響曲だと思います(管弦楽曲というほうが良いかもしれませんが)、5つあり、その最後の作品は「プロメテウスー火の詩」と名付けられています。通常の管弦楽の他に、ピアノ、合唱(ボカリーズで歌われる)がついていますが、特徴的なのは色彩鍵盤が付くことです。これはスクリーンに色彩を浮かび上がらせるというものです。このようなことを考えた作曲家は、スクリャービン以外にはいないでしょう。ですから、CDでは、残念ながら鑑賞できません。実は、すこし前にテレビで、この曲のこのような意図を十全に示すような演奏を放送していました。指揮は、アシュケナージですから、信頼できる名演だったと思います。スクリャービンは、薔薇の棘が原因で亡くなった(確か詩人のリルケもそのようなことを聞いた覚えがありましたが)と思っていたのですが、ネットで見たら、唇への虫刺されと出ていました。
交響曲第5番の後、スクリャービンは自分の総合芸術を完成させるべく、「神秘劇」なるものに挑戦した。これは、演劇・舞踏・音・光・詩を一つにまとめたものであるが、死により、未完で残された。これは、後に残されたスコアを元に管弦楽に編曲され、CDで聴くことができます。