担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

なにかの縁。

2011-10-12 23:51:40 | mathematics
知り合いの知り合いのそのまた知り合いくらいになると,ずいぶんいろんな人とつながっていることになるというような,グラフ理論か何かの話を聞いたことがある。

そういう意味では世間は狭い。

最近,自分が興味を持っている複数の学問分野についてたくさんの文献を集めているが,だいぶ遠いところでそれらの学問がつながっていることを実感している。


そんな折,ちょっと違った新たなつながりに出くわした。

熱力学の理論を応用して数学の不等式を証明するという,ちょっと「トンデモ」な感じの論文をこのあいだ見つけた。

そういう刺激的な論文があると,何人かが釣られてコメント論文を書く。

その中のひとつに,Michael A. B. Deakin 氏の論文
Thermodynamic Proofs and Their History quick view
(The Mathematical Gazette, Vol. 83, No. 496 (1999), pp. 92-94)
がある。

これによると,少なくとも 1860年代に Tait(Hamilton の四元数を広めたり,Maxwell や Kelvin 卿と共に電磁気学や熱力学に貢献した科学者)が同じことを考えていた(たった1ページの短い論文として発表している)し,その後,Pauli の師匠である Sommerfeld も熱力学の教科書でそのようなことを書いているそうだ。

「機械仕掛けの数学」という本も最近出版されているくらいだから,物理語で数学の定理を解説するという行為は,はっきり公にされたことは少ないにしろ,物理学者なら誰しもやっているに違いない。
そうやって数学の定理を物理的に解釈し直すことで,ようやく理解した気分になり,自在に使いこなせるようになるのだろう。

さて,こうして Deakin 氏の論文にたどりついたわけだが,この人の他の論文のリストを眺めていたら,

Hypatia and Her Mathematics

というタイトルが目を引いた。

"Her" という単語が引っかかったのである。
Hypatia というのは女性の名前らしい。

ただ,気にはなったものの,いつか読もうという程度で中身は見なかった。

ネットサーフを中断し,雑誌『数理科学』2011年1月号に掲載されている,ある全く関係のない記事を探していたら,その号から連載が始まった「人物で学ぶ数学 創始者の思考で学ぶ」というリレー連載の第1回が目に留まったので,読んでみた。
(この「創始者の思考で学ぶ」というサブタイトルがたまらない。僕が常日頃気にしているのは,まさにこの「創始者の思考」であって,だからこそ,せめて理論や概念の提唱者の最初の論文を見てみたいと,ネットサーフィン三昧の日々を送っているのである。)

第1回は砂田利一氏が担当で,序文のような内容であったが,「取りつくし法」(という訳は誤訳なんだそうだが)で有名なユードクソス(エウドクソス)と,ヒッパティアという2人の数学者の紹介も述べられていた。

ん?ヒッパティア・・・?どこかで聞いたような・・・。

ああ,ついさっき Deakin 氏の論文のタイトルで見かけた,あの Hypatia か!

砂田氏の文章にも,はっきりと女性数学者と書かれている。
(ヒッパティアは才能に恵まれたすばらしい(おそらく史上初の)女性数学者だったそうだが,キリスト教徒の集団に惨殺され,遺体が引き裂かれるという,壮絶な最期を遂げたとのことである。その文章を読んだとき,残酷さにとても悲しい気持ちになった。)

というわけで,不思議な偶然で,Hypatia の名に再び出会ったのであった。

こうなると,Deakin 氏の論文を読まないわけにはいくまい。
というわけで,せっかくの出会いを生かすべく,読んでみることにしよう。
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まだいた。

2011-10-12 23:43:30 | Weblog
今日の午前2時8分に満月のはずだったが,ちょうどそのときは曇っていたようで,残念ながら見えなかった。

昨日の授業中,ツクツクボウシやアブラゼミの鳴き声が聞こえてきたので,それに反応して口に出してしまった。
どうせセミのことについて話すなら,

「あら,セミの声。」

とか言えばもっと風流だっただろうか。
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