心温まる
「壬生というのはこの辺りですかいな」
「ハイ。そうどす」
「昔、屯所がありましたな。それはどっちへ行けばええんですか」
「まっすぐ行きなはったら、幸福堂というオマンヤハンに突き当たりますそれを左へ行ったら、南東がそこですわ。」
「ああ、そうですか。おおきに!」
「あんさんお寺知ってはりますか。」
「いいえ」
「さよか。それやったら、わてが側まで案内してあげまっさ。所でどこからおいでやしたん」
「大阪ですねん」
「ほんなんやったら京都、しらはれへんのとちがいまっか」
「そうでんねん。地図を持ってきてな、印つけて歩いてまんねん」
「おうおう。それはたいそうな。あてがあんないしますさかい、安心してついて来なはれ」
「オクサン。それはなんぼなんでも気の毒や」
どこまで行っても途切れることなく会話は続く
下心の見えない親切は心を温める