かずの里山ハイク

山や花、日常の出来事などの気まぐれブログ

五龍岳

2008年02月04日 | 追憶の山

北アルプス 後立山 遠見尾根~五龍岳
1975年12月28日~1976年1月3日 使用地図 1/5万大町・立山
担当 CL:MO SL:MI R:YA 装備:KU 気象:AK 参加以上5名

共同装備 ホエーブス4、ナベ2、コッフェル1、包丁2、ローソク5、メタ3、ランタン1、テント6人用一式、スコップ2、ノコギリ1、ツエルト3、ベニヤ(450×300)3、白ガソリン15L、ラジオ1、トランシーバー1組、ザイル2、標識布10、薬品一式、ロールペーパー5、たわし2、細引10m、テルモス2、ポリ袋20、天気図用紙、カメラ2、ペグ、竹15、ベンジン0.5L

個人装備 目出帽、毛手袋3、ダブルヤッケ上下、オーバーシューズ、ロングスパッツ、ニッカホース2、靴下3、セーター1、毛下着上下、オーバー手袋、替え下着1、地図、コンパス、健保、洗面具、アイゼン、アイゼンバンド2、ピッケル、ワカン、ゼルプスト、カラビナ4、シュラフ、エアーマット、ナイフ、ヘッドランプ、食器一組、サブザック、ポリタン2L×1、カイロ、ザック80L、背負子、その他見回品、

経費:一人当り24000円

行動地域の概念図

行動記録
12/28 小郡(8:52)→京都(12:40~22:16)→名古屋(23:45)→
12/29 神城(5:00~7:00)→とおみテレキャビン(7:40~8:30)→地蔵の頭(9:30~10:00)→小・中遠見のコル(12:50~13:20)→大遠見BC(先発隊14:20、後発隊15:00) 天候 快晴

小郡駅ではOHCの見送りを受け、元気に出発(M氏にオールド、つまみ、F嬢には非常食の差し入れを受ける)。
京都駅に着くとMO、KU両氏が迎えに来ており、MO氏の自宅で最終打合せ、荷造りをする。MO氏を除いて初対面であるが気さくな人ばかりですぐに打ち解けることが出来た。かくしてNRC五龍アタックパーティが出来上がる。

名古屋駅からは混雑が予想されたが以外に空いていた。神城駅に着くとチッキで送っていた食料を受取り背負子につける(平均40kgの荷物になる。当時体重が55kgだった自身も身につけた装備・荷物込で重量計に乗ると100kg近くになった。)

腹が空いては戦にならぬと駅前の食堂に駆け込む(ライス・豚汁・野沢菜)。ようやく腹を満たし出発しようとすると、白馬三山がモルゲンロートに染まり、我々の山行を祝ってくれる。

大糸線の線路を横切るとつらい山行が始まる。車道は凍っており多少歩きづらかったが、YB氏が一度スッテンコロリンと転んだ他は難なくとおみテレキャビン山麓駅に着く。少し時間があるので黒姫、妙高山系をバックに写真を撮る。無風快晴で絶好の登山日和だった。テレキャビンで高度700mを一時に稼ぐ、便利になったものだ。おかげで遠見小屋に荷物をデポする予定だったが、天候も良く行けるとこまで頑張ることになる。

実際はここから山行の始まりというべきか、果たして取付きよりMI、KU両氏が総重量が重い訳か雪に足を取られて中々進まない。他のパーティにどんどん追い抜かれる。KU氏が多少バテ気味になったので多少余裕のあると思っていた私が荷物を交替する。少しの重量差だったが今度は私がバテ気味となり、ラストを歩いていた私はだんだん間隔があく。中でも小遠見の登りがこたえたらしい。KU氏と私は休憩を取っても回復が遅くなる。

しかし、リーダーの好判断で小・中遠見のコルに各自10kg程度の荷物を下ろしデポすることになり、MO、MI、YAの3名が先発隊でベースに行くことになる。少しバテ気味のKU氏と私は10分後にゆっくりと歩き始める。八方尾根側に小雪屁が出ているが慎重に歩けば特に危険はない。山麓駅で白岳付近で雪屁の踏み外し事故があったと聞いていたのであせらずに歩くことにする。ベースに着く前に山に別れを告げる登山者の姿を見る。大切な同好の士を失ったような気持に駆られると共に冬山登山について考えさせられた。

ベースに着くと、着々と工事?が進められており、頭の下がる思いがした。私も及ばずながら設営に加わる。一通り設営が終ると、夢にまでみた五龍、鹿島槍の稜線に見とれる。五龍は男性的で後立山の一角にデンと腰を据えており、鹿島槍はカクネ里を懐に抱いて優美な姿を見せる。北壁のヒマラヤを彷彿とさせるヒダもたまらなく魅力的である。どこに人命を奪う魔力が潜んでいるのだろうかと思ったりした。

食事の後しばし談笑の時を過ごしたが、入山一日目の疲れも手伝って全員シュラフの中に入り、OHCのM氏差入れのオールドで乾杯を上げるとすぐに寝入ってしまった。割合スムーズに冬山第一夜を迎えられた。後は五龍のピークに立つことと、岩崎宏美の歌が聞けたら言うことなし?(夕食メニュー:カップライス、カレー)

12/30 大遠見BC(11:30)→小・中遠見のコル(12:00~12:30)→大遠見BC(13:30) 天候:雪 風が段々と強くなる。

今日の予定は荷揚げのみなので、11時頃まで様子を見る。風が少し弱くなってので行動食・非常食を持ち、MI、YA、KU、AKの4名で荷揚げを行う。若干吹雪いているが荷揚げには支障ない。約2時間で荷揚げを終える。残った楽しみは食事のみ、幸いなことにCLのMO氏が絶妙の味付けでカス汁を作る。おいしい!!やまやは料理上手でなければダメらしいが、CLのMO氏には奥さんはいらないという声が出たほど日頃から研究されているという。無精の私には中々真似できない。
夜はセーターを着て、懐にカイロを入れて寝たので寒さは余り感じなかったが、夜半より突風が吹き荒れ、テントのポールがしなり、テントも浮きそうになり、思わずポールを足先で抑えるようにする。突風が規則的に襲ってくるので本能的に足を突っ張ることになるが、昼間の行動時間が短かく、疲れもないのでなかなか寝付かれない。中には図太く豪快な寝息を立てているメンバーもいたが、私は小心者のため長い夜になった。(食事メニュー 朝 雑炊 昼 行動食 夜 こはん カス汁)

12/31 天候悪化のため停滞 天候 地吹雪 15時頃から晴れ
8:00起床するも風が強く、五龍アタックは中止、停滞を余儀なくされる。しかし退屈せずに楽しい一日になった。山、仕事、酒、○の話でもちきりだったが、MI氏がラッパとか・・・・とか面白い話を出して場を明るくしてくれる。石川さゆりと岩崎宏美ファンの他愛ない対立もあったが、宏美のロマンスもラジオから流れ、小生大いに満足(紅白もトップの歌いだしだったし・・・)。

さて、今日やったことといえば、雪洞を整備し、YA氏を除き大キジを打ち、サッパリとする(冬山の天幕生活では大小のキジ打ちが大仕事?になります)。さらに天幕の内外を整備する。15:00頃外に出てみると風も弱くなり、一日ぶりに五龍、鹿島槍が全容を現す。16:00天気図を取ると西日本一帯は快晴であり、晴れも一日半は持ちそうである。明日アタックを決定する。全員明日の好天を願って紅白歌合戦を聞きながら入山三夜目を迎えた。

1/1 大遠見BC(8:30)→五龍小屋(10:15~10:30)→五龍岳山頂(11:30~11:45)→五龍小屋(12:45~13:00)→大遠見BC(14:30)

7:00起床、予報通り快晴になり、アタックを決定する。昨夜の雑煮がカチカチに凍る。冬の残飯は腐らなくて良い。8:30アタック装備(アイゼン、ピッケル、ゼルプストダブルヤッケ、行動食、予備食、非常食、目出帽、オーバーシューズ、ザイル、ツエルト)に身を固めてベースを後にする。西遠見までは高度差も少なくCLのMO氏を先頭に快調に進む。白岳の方に目を転じると南斜面をラッセルしているパーティを見つける。スムーズには進んでいないようである。我々は先行者のトレースを忠実にたどる。西遠見、白岳のコルより白岳まではかなりの斜面を登高することになる。白岳のピークまでは難なく進んだが、ピークを越すと様相は一変した。雪質は湿雪から砂糖を散りばめたようなサラサラの乾雪となり、がれき交じりでアイゼンも効きにくい。更に風も日本海からの季節風をもろに受け、冷たく強い(顔に当たると冷たいというよりも痛いという感じ)。おまけに私はアイゼンの爪を岩角に引っ掛け転倒する。冬の北アルプスの厳しさが一挙に襲ってきた感じだ。

五龍小屋(冬季開放とあるが非常時でしか利用出来ない)の前で風を避けて一休みすると緊張感もとれほっとする(数パーティが風を避けて休んでいた)。行動食を取ると五龍アタックを開始する。相変わらず黒部側からの風は痛く、顔を刺す。ルートは五龍岳直下までは夏のルートとほぼ同じで黒部側からトラバース気味に徐々に高度を稼ぐ。慎重に行動すれば特に危険はないが、気を抜くと強風にあおられることになる。さらに天候不順の時アタックすれば危険極まりないだろう。

最後の詰めは雪壁を登ることになり、かなりの高度感を味わいながら、一歩一歩ピッケルとアイゼンを効かせて慎重に登る(信州側に巻いて夏道と同じルートを取ると岩と雪の壁をアンザイレンして登る必要がある。我々は先ほどのルートでザイルなしで登る。)
また後続のパーティが間を入れず登ってくるので絶対にミスは許されない。少しスピードが遅く迷惑をかけたようだが、滑落すると自身だけでなく、他人の命をも奪ってしまうことになりかねないので、とにかく確実に登ることにした。
壁を乗り切ると緩斜面となり、20mも進むともう登らなくて良かった。

かくし辰(龍)年の元旦に五龍岳のピークに立てることになり、記念すべき山行になった。変わらず強風の中だったが、空は快晴で目前に黒部をはさんで剱岳が周囲を圧している他に槍・穂高連峰、裏銀座の北アルプス、八ヶ岳、富士山、南アルプス、中央アルプス、更には上信越、三国山脈の妙高、黒姫、浅間山の山なみ、富山湾を隔てて能登半島、日本海までも確認出来る。他のシーズンでもこのように雲一つない快晴は珍しいのではないかと思う。

全員で健闘を祝し記念撮影をする。ここでも写真にかけてはセミプロのYA氏が大ハッスル、仕上がりが今から楽しみである。とにかく最高の展望ではあったが、夏山のようにゆっくりするわけにもいかず、15分後に下山を開始する。安全な場所になるまではファイトマンのKU氏をトップに、YAと続き、CLのMO氏をラストにアンザイレンで下降をする。雪がクラストしていないために思ったよりスムーズに下降することが出来た。しかし、アイゼン歩行、ピッケルワークは不十分だったとはMO氏の談。

五龍小屋に着くと緊張感も少し和らぎほっとする。テルモスの紅茶と行動食を取りいざベースへ。復路は白岳のピークを乗り越さず直下をトラバースする。白岳~西遠見間は鹿島槍側から吹く風で雪屁がかなり唐松側に張り出ているので、唐松側に踏み外さないように注意をしたい。おまけに信州側に降りてもこの間は突風が吹き荒れ、その度に顔を八方尾根側にそむけ、避風?姿勢を取る。しかしベース近くになると風も凪ぎ、安堵感も手伝ってゆっくりと歩く。ベース直前のちょっとした斜面ではシリセードで遊びながら下る。本当に良い一日だった。

1/2 大遠見BC(11:00)→中・小遠見のコル(11:30~12:00)→地蔵の頭(13:00~13:15)→とおみテレキャビン頂上駅(13:30~14:00)→とおみスキー場レストハウス(14:30~14:45)→神城駅(15:15~16:50)→大町(17:30~18:30)→松本(19:40~24:00)→1/3京都(6:10解散)

11:00までに朝食(ミルク入りカタクリ粉)をとり、テントを撤収して下山にかかる。食料は4~5日分余った感じで極端には減らない。CLのMO氏に荷が片寄ったこともあり、アイゼンも付けずに下山されたのでスリップ気味で歩きにくそうだった。地蔵の頭までくるとテレキャビン頂上駅まではわずかであり、もうここはスキーヤーの世界である。久し振りに女性の顔を見ると皆きれいに見えるとは全員一致の弁、いいところを見せようとしてAK、MU、KUは大ケルンにアイゼンの爪を立ててよじ登る。やっぱり岩登りがいいわと上に立ってパチリ、幼いことこの上ない。

レストハウスで昼食としたが何と人の多いこと。都会の雑踏に一挙に引き戻された感じである。山やはこんな雰囲気は似合わない。ラーメンをすすり、そそくさと神城駅に向かう。神城駅に着くと装備を整理し、2日分のきじ打ちに行く。なんと幸せなことか!苦労もせずにキジが打てる。さっぱりした後、駅前の茶店でビールで乾杯、つまみは野沢菜づけ、おでん。ビール1~2本ぐらいはラッパ、ラッパという者ばかりであっという間に飲んでしまう。
ここで郷里に向うYA氏と別れ、松本へと向う。京都行の電車の指定は無く、グリーン車で京都までゆっくり帰ることになる。駅前のみやげ店で思いおもいのみやげを買い、最後の打上会を夕食も兼ねて行う。全員食欲だけは旺盛で一気にたいらげる。酔った勢い?で京都に着く。皆さんお疲れさまでした。また山に。

感想および反省点
天候にも恵まれ、CLの好判断で楽しい山行となりました。今回の山行について皆さんに迷惑ばかりかけて申し訳ありませんでした。今後はランニングに加え、ボッカ訓練も十分にこなして参加しようと思っています。初参加でしたが皆さんの配慮により、何不自由なく過ごせたことに感謝しています。また声をかけてください。