トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

介護保険制度の認定基準見直し

2009-02-18 21:58:49 | 福祉
 今回の記事は、透析患者の視点から書かれたものだが、一般介護保険サービス利用者にも同様の問題が起きてくる。

 おいらの透析クリニックでも、介護を必要とする患者が目立つようになった。透析医療の進歩で、長期生存者が増えたことと、高齢者の透析導入が増加したのが原因なのだろう。おいらが、透析クリニックで透析を始めたころは、元気な患者が多かったように記憶している。しかし、時間が経過するにつれて、合併症などで身体が衰弱する患者の姿を見る機会が多くなった。中には、認知症により他の施設に移らざるを得ない患者もいた。同じフロアで透析をしているのだから、衰弱する患者の姿を見ざるを得ない。いずれ来る自分の将来の姿を重ねる。

 こうした傾向は、全国的なもので、最近は「透析難民」をいう言葉も問題にされ始めた。透析施設に移動することが困難になった患者のことである。福祉タクシーやヘルパーによる送迎サービスを利用するためには、介護保険サービスを利用することが必要となるが、事前に要介護認定を受ける必要がある。このことに関しては、以前に開かれた東腎協三多摩ブロックでの学習交流集会でも問題となった。

 今月に開かれた、クリニックの役員会で、全国腎臓病協議会からの「介護保険制度の認定基準見直し」についてのお知らせが紹介された。患者会を通して、会員及び家族に伝えてほしいとの意向だった。介護保険での要介護認定の新方式は4月に実施が予定されている。

 その内容の概要は以下の通り。

☆新基準では現在より軽く判定される恐れがある
 新しい基準については、昨年11月に「要介護認定調査検討会」(厚労省老健局私的検討会)が発表した「要介護認定モデル事業」の結果から、現行との判定結果に大きな差が見られず、新基準はほぼ現行と同様と報告された。しかし、1月に更に詳細なデータが明らかになったが、その内容から、「要支援2」以上の全介護において2~3割の人が現行の認定より軽く判定されていたことが判明した。

☆要支援になると通院介護の利用制限や実費負担が発生する
 今回の見直しでは、透析患者に多い「要介護1」の認定方法が変わる。例えば、「要介護1」から「要支援2」に変更された場合は、訪問介護における「通院介助」サービスが保険利用できなくなり、実費負担が生じるなど、透析患者の在宅生活に大きな影響が生ずる恐れがある。

☆要介護(要支援)認定を受ける時に気をつけること
 ① 心身の状態を調査員に「丁寧」に伝える
  例えば、「歩行ができる」という状態も「5メートル程度で息切れをしながら…」だったり、「本当は杖歩行でないとふらついて…」など、一つの動作に「時間」がかかる状況を丁寧に伝える。
 ② 調査には「複数」で立ち会う
  丁寧に状況を見てもらうためには、普段の様子をよく知っている家族や介護者に同席してもらい、必要に応じて補足してもらう。
 ③ 通院介護の必要性を「意見書」にはっきり書いてもらう
  いつも診てくれている主治医だから安心しないで、通院介助が必要な状態であればそのことをはっきり「意見書」に書いてもらうこと。
 ④ 介護度は「重く」ではなく「適正」に判定してもらうという認識が必要
  丁寧に状態を伝えるのは、介護度を「重く」するためではなく、透析ゆえの不安定な状態など、患者の実態を「適正」に判定結果へ反映させるためである。

 全腎協からお知らせの後に、更なる厚労省による介護認定基準の大幅後退が行われた。要介護認定は、認定調査員による聞き取り調査と、主治医の意見書に基づいて行われるが、聞き取り調査に関しては、聞き取り調査の方法や判断基準を具体的に項目ごとに示した『認定調査員テキスト』が使用される。今回、このテキストに大幅な変更が加えられた。昨年行われた認定方法の影響調査における約3万件のモデル事業の実施では、この新しいテキストの内容は反映されていなかった。旧テキストの下での調査であった。厚労省の言い分としては、その後に86例の検証を行って、新旧テキストのずれは許容範囲内であったという。しかし、その追検証の具体的な内容は公表されていないので、厚労省の言い分も疑問の多いものである。
 モデル事業の結果からも、判定が軽くなることが判明したが、その後のテキストの改定によれば、更なる大幅な後退が懸念されている。厚労省が勝手に、モデル事業の後に重大な変更を勝手に行ったといわれても仕方あるまい。

 今までのテキストでは、「移動」や「移乗」の機会のない重度の寝たきり状態の人でも「全介助」と判断されていた。しかし、新テキストでは、こうした状態の人は、介助の手間がかからないので、「自立(介助なし)」と判断することになった。「食事摂取」の項目でも、食物を口からとれないので、高カロリー液の点滴を受けている人の場合でも、食事の介助が発生していないとの理屈から、「全介助」から「自立(介助なし)に変更される。※「薬の服用」「はみがき等・洗顔」等にも「自立(介護なし)」への変更あり。

 聞き取り調査の結果によって、コンピューターによる一次判定が出るので、判定が軽くなる恐れが指摘されている。今回の新テキストは、モデル事業の検証も無視したもので、やはり、福祉の観点というよりは、財政の観点=介護サービスの抑制の論理が働いたものと思われる。
 
   


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