トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

TV福祉ネット/犯罪を犯した知的障害者と向き合う

2009-04-17 12:20:33 | 福祉
 NHK教育テレビで、8日、9日の二日にかけて、知的障害者の犯罪についての放送を行った。以前にも、触法障害者についての番組も放送している。
 第一日目は、刑務所における実情と処遇の試行錯誤が紹介されていた。第二日目は、出所後及び裁判中の知的障害者をサポートする地域の試みが紹介されていた。

 刑務所に入所した場合、知能検査が実施されるが、テスト可能の受刑者という条件下での、IQ70以下の知的障害の疑いのある者の割合は20%強となっている。(平成15年法務省調査)。その内、療育手帳も所持していたものの割合は、サンプル調査では、410名中26名で6%しかなかった。(平成16年厚労省研究班調べ)。つまりは、刑務所に入って初めて、自分が知的障害者である疑いがあることが判明するケースが多いのである。犯罪の動機に関しては、36.8%が「生活苦」を挙げている。また、罪名は、窃盗が43.4%、詐欺が6.8%となっている(同調べ)。しかし、窃盗の内容も、万引きや賽銭泥棒等、詐欺の内容も無銭飲食・無賃乗車等、無計画で軽微なものが多い。

 こうしたことは、犯罪に至るまでに、社会において福祉の網の目から漏れて、本人の障害の自覚なしに、社会の不適応の生活を送ってきた触法知的障害者が多いことを示している。つまりは、知的障害故に犯罪を起こすのではなく、社会福祉の適当な支援を彼らが受けられなかったことが、大きな原因となっている。

 刑務所でも、彼らとの意思疎通や処遇面で苦慮している。兵庫県加古川市にある、民間業者との共同事業の「播磨社会復帰保健センター」では、入所者定員1000人のうち、定員120名の知的障害者のための特別なプログラムの「特化ユニット」が行われている。地元の農業団体職員の有償の指導による農作業を通じての、矯正・社会復帰が試みられている。

 兵庫県西宮市にある、相談支援センター「であい」は、行政の依頼を受けて障害者の就労や、療育の相談支援活動を行っているが、出所後の知的障害者及び裁判中の知的障害者への支援活動を行っている。ケース会議には、本人も参加して、自分の置かれている状態を理解することの第一歩としている。本人には、罪の意識がなく、裁判の意味も分からない者も多い。裁判中のケースに対しては、詳細な分析に基づく調査書を作成し、裁判所に提出することで、本人を支援している。

 知的障害者が罪を犯すには、福祉の手が届かなかった他にも、家族内の虐待、友人関係におけるいじめ等様々な問題が存在する。犯罪に至らないような、早くからの気付きによるサポートと、刑務所施設での処遇、出所後の受け入れ態勢などの課題は、今後、早急に解決する必要がある。それが、犯罪の予防、再犯防止につながるのである。生きにくい世の中を、周囲の理解を得ることなく、孤立した生活を送る知的障害者がいることを、もっと社会が認識する必要がある。


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3 コメント

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殺人が起きてからでは… (gmeg)
2009-04-19 03:12:49
ある街で、ある知的しょうがいしゃが人を殺しました。
そこまで追い詰められてしまったのだと思います。
その人がどうなったのか、誰も知らない事が怖いです。
報道はすぐ消えてしまいました。
社会的な支援の制度も、確立しない中その人がどう感じているか、気にする人がいてくれるといいのですが。
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忘れられた人々 (トッペイ)
2009-04-20 00:11:07
 どうも、国民もすぐに大切なことを忘れてしまう傾向にありそうです。その人の人生は、これからもずっと続くのに。
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知的障害者の犯罪について (長岡)
2009-12-17 08:08:06
19歳の娘が知的障害者なのですが、家に居ると万引きを繰り返す為、障害福祉課などにお願いしていろんな施設や病院に入れさせてもらってますが、そこでも盗み、恐喝、暴力などを繰り返す毎日です。施設などは、そういう子は受け入れできないと言うわれてしまいので行き場がありません。悪い事をしているなら少年院や鑑別所などに入って学ばせてもらいたい所ですが知的障害者だからと言う理由で前に進む事なく、たらい回しの状態です。こういう子はどういう所に受け入れさせてもらえるのでしょうか
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