トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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統合失調症を理解する絵本/「そらみみがきこえたひ』

2010-06-07 01:15:03 | 絵本・児童文学
そらみみがきこえたひ (こころの病気がわかる絵本―統合失調症)
宮田 雄吾
情報センター出版局

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 子ども達のために、精神病を優しく説明する絵本のシリーズの中の1冊です。統合失調症を取り上げています。
 子どもでも、中学生頃から、発症する子どもが見られ、18歳を過ぎると急激に増加する病気だそうです。一生のうち、およそ100人に1人がかかるという病気だそうで、誰でもかかりうる病気でもあるのです。
 昔は、精神分裂症と呼ばれていました。早期発見、早期治療で治る病気です。でも、精神科に行くことをためらっていると、回復が少しずつ難しくなる病気です。他の病気と別に考える必要はありません。心の、というよりは、脳の病気は、精神科に行くのが普通の当たり前のことだということが、社会の常識になるといいですね。

 この絵本の前半は、病気になった動物が登場する絵本、後半には、分かりやすい病気の説明文が載っています。

 主人公の子ウサギは、妄想、幻覚といった症状が出てから、母親に相談しますが、気のせいだと言われてしまいます。周りの友達が、自分のことをすっかり知っていて、悪口を言っているという妄想に取りつかれてしまいます。子ウサギに命令する声も聞こえてきて、ついに、SOSを発します。幸い、早めの発見と、薬の服用で、子ウサギはすっかり病気から回復します。

 「そらみみがきこえたひ」という題名も、この病気の特徴を伝えていますね。

 日本は、イギリスなどと比べると、精神医療に対する社会に理解が十分ではありません。国も、ようやく、対策に乗り出した所です。誰でもかかりうる病気で、他の内科疾患同様、精神科で診断を受けることが、本人にとっても抵抗のない行動で合ってほしいものです。子どもの頃から、こうした病気に対する理解を深める上でも、このシリーズの絵本は意味のあるものです。

 精神病の治療を妨げている大きな原因の一つは、病気に対する無理解、無知なんでしょうね。

自分のペースで/絵本『ふたりのナマケモノ』

2010-06-07 01:04:00 | 絵本・児童文学
ふたりの ナマケモノ (講談社の創作絵本)
高畠 純
講談社

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 先日は、とても巨大なナマケモノの化石が出ましたね。そう、ナマケモノの先祖は、大昔に巨大な体で、ゆったりとした時間を過ごしていたようです。

 ナマケモノ達が、他の生き物と違って、ゆっくりと流れる時間を生きていることも、進化の結果、彼らなりに自然界に適応した姿なんですね。

 ただし、他の生き物たちの時間の物差しでナマケモノ達を見たら、その生き方は、ひどくもどかしく感じるかも知れません。

 でも、物差しというのは、あくまでも自分を中心に作られたものですから、生物の多様性を認める上では、決して単純にその優劣がつけられるものではありません。お互いの生き方を尊重する、そんな姿勢の大切さを子どもの時から、理解してもらいたい、そのために意味のある1冊だと思われます。

 お話は、木にぶら下がっている2匹のナマケモノの生活の場面を、いくつか選んで描いたものです。彼らのマイペースぶりが、静かな笑いを誘ってくれます。そして、あまりにもせっかちに生きている私達に、何か大切な事を教えてくれているようです。

 最後のエピソードが一番好きです。他の動物たちが、ナマケモノのようにぶら下がりたい。そして、ゴリラが登場した時は、結末がどうなるのかわくわくしたものです。その結末は、何とものどかで、マイペースで生きていく意味を問いかけてもいるようでした。

さわる絵本/目の見えない子も見える子も一緒に楽しめる2冊の絵本

2010-06-07 00:40:07 | 絵本・児童文学
 目の見えない子どものために、絵本に紙を貼ったり、毛糸をつけて線を表わしたりして、手で触れる工夫をした手作りの本を見る機会があります。
 学校の教科書も、同様に手作りのものを使用しています。

 でも、隆起印刷という方法で、出版の最初から目の見えない子どものために作られた絵本もあります。

 ここで紹介する2冊の絵本もそうです。ただし、この絵本は、目の見える子も一緒に楽しめるのが特徴です。

 最初の絵本は、「これ、なあに?」。登場するのは、ザラザラくん、バラバラくん、シマシマくんなど、手で触ってみると、それぞれが特徴のある触覚を持ったキャラクター達です。お話の内容は、ザラザラくんが、仲間たちと一緒にかくれんぼが好きなザラザラくんを探すというものです。
 目の見える子どもが、字を声を出して読む、そして、見えない子どもと一緒に絵本の世界を、触って楽しめるようになっています。日頃あまり注意することのない触覚を味わってみるのも、気付きの学習となりますね。

これ、なあに? (さわる絵本)
バージニア・アレン イエンセン,ドーカス・ウッドバリー ハラー
偕成社

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 次の絵本は「ちびまるのぼうけん」。○、△などの単純な形の図形が登場するお話です。この絵本では、点字も隆起印刷で書かれていますから、目の見えない子どもも、声に出して読むことができます。
 本の終わりの方には、日本点字の50音表が載っていますから、目の見える子どもも点字の読み取りを試すことができます。でも、濁音や半濁音、促音などが表には載っていないので、ちょっと残念です。
 五感のうち、視覚の代わりに触覚が活躍することを体験できるのは、感覚の豊かさを学ぶ上でとても良い経験になりそうです。もちろん、目の見えない子どもと一緒に楽しめれば最高ですね。
 お互いの世界を、少しでも理解しあえることを期待しています。

 さあ、ちびまるが本の中で、色々な図形と出会う冒険を、共に楽しんでください。

ちびまるのぼうけん (さわる絵本 2)
フィリップ・ヌート
偕成社

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ちびまるのぼうけん (さわる絵本)
フィリップ ヌート
偕成社

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