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戦争、核兵器、差別に渇!「張本勲 もう一つの人生―被爆者として、人として」

2010-06-03 02:32:33 | 読書
張本勲 もう一つの人生―被爆者として、人として
張本 勲
新日本出版社

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 日本の野球界の輝かしい記録を残した張本勲氏の、今まで、知られていなかった人生を記した本である。
 在日韓国人としての生き方、母や兄、家族との関係など、張本氏の語る人生から多くのことを学ぶことができた。暴れん坊の学生時代、彼を支えてくれた家族の重い。野球の道に進んだのが、貧困からの脱出であったということ。
 学生時代の言論大会で、1回目は、原爆をテーマにして、2回目は非差別のテーマで優勝したことは、張本氏の単純にも思えるが、熱情的な正義感をうかがうことができた。
 そして、この本で、自らの被爆体験と語って、平和への思いを「自然に」述べている姿に打たれた。また、子どもの時に、右手を大やけどして、手に障害を残しながら、周囲にそうしたことを告知することもなく、障害を克服して野球の世界で活躍していたことなど、初めて聞く話であった。

 今年70歳になる張本氏が、自らの被爆体験を語るきっかけになったことの一つは、テレビで「戦争など関係ない」とうそぶく若者の姿を見た事であった。広島と長崎に原爆が落とされたことも知らない若者の存在、そして、被爆体験、戦争体験を語ることのできる世代が少なくなっていることが、彼にまっすぐというべき生き方に働き掛けたようだ。

 もちろん、空洞化する日本の野球界への思い、自らも育て上げた韓国野球界のことや、メジャーに飲み込まれるかもしれない日本の野球界を、アジア諸国に球団を育てる夢なども語られている。そして、語られることのなかった90%は苦しかったという彼の野球人生の語りも興味深いものであった。

 憲法9条を持つわが国の果たすべき役割も考えさせられた。

 野球も、平和な国、世界でしかできないスポーツである。

 あの戦争で、沢村投手他、多くの野球人が命を奪われたことも忘れてはならない。



戦火に消えた幻のエース―巨人軍・広瀬習一の生涯
上田 龍
新日本出版社

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