トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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友情が壊れる時、そして/絵本『キツネ』

2010-06-17 01:20:34 | 絵本・児童文学
キツネ
マーガレット ワイルド
BL出版

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 友情も、信じていたい。でも、そこに疑心やねたみや嫉妬心が入り込む時、獏たちは、僕たちはいつまでお互いを信じることができるのだろうか。

 オーストラリアの自然は厳しい。自然発火による山火事が起こるのも珍しくない。私達の住んでいる大陸とは、大分変った形の植物もたくさん生えている。過酷な場所に生えている植物たちも、心得たもので、山火事がきっかけで種子が発芽するものが存在する。逆にいえば、火事が起こって種子が焦げない限り、発芽しないのだ。これは、絵本には関係のないこと。だけれど、山火事のことを知ってほしかった。

 焼けたばかりの森から、カササギをくわえた犬が逃げのびて走ってきた。カササギは羽を火傷していた。やけっぱちになるカササギは、犬に助けられたことがよけいなおせっかいのような態度。もう飛べないからね。すると、犬も行った。僕だって片方の目が見えないんだ。

 その日から、カササギは犬の背中に乗って移動した。カササギは、駆ける犬の背中にいると、まるで跳んでいる気分だった。また、自分も、犬の見えない片目の代わりの目になった気分だった。

 二人のそうした姿を良く見かけることになった。

 そんな二人を、最初から見ていた存在がいた。孤独なキツネであった。二人の間に入り込み、カササギの心に猜疑心を植え付けた。キツネはカササギを背中に乗せて走った。カササギは思った。犬の時より、はるかに速く駆けるキツネの背中の方が、飛んでいるというのにはるかに相応しいことを。彼は、犬を裏切った。キツネは、止まらずに遠くへ、遠くへと駆けていく。そして、カササギをそこに置き去りにした。もう、犬との友情は終わりだと言いたげに。

 過酷な環境であった。このままでは、死んでしまうかもしれない。飛べないしね。

 カササギは、それでも、犬のいるはるか遠い場所に向かって、力を振り絞って歩きだした。

歌の始まりは友情の歌/絵本『イグアノドンとちいさなともだち』

2010-06-17 01:06:58 | 絵本・児童文学
イグアノドンとちいさなともだち
小野 かおる
小学館

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 最初は、ただの恐竜の絵本だと思っていた。
 でも、それは、この世界で初めての歌の物語。
 友情の物語。

 僕たちの歌う歌の始まりはこんな風だったかもね。

 地下深く眠る、巨大恐竜のイグアノドンと、その身体に比べればはるかに小さい翼竜のプテロダクチルス。寄り添うように、化石となって永遠の眠りについている。そんな彼らのことに気付きもしないけれど、地上の人間達は歌を歌い続けている。母親は赤ん坊のために。僕たちも、色々な場面で歌を歌っていたっけ。嬉しい時も、悲しい時も、自分のために、仲間のために。

 はるか昔、イグアノドンは、小さな翼竜プテロダクチルス徒であった。彼から見れば、小鳥のように小さい友達だった。でも、プテロダクチルスは、小鳥のようにはきれいで、可愛い声では鳴かなかった。でも、二人には関係のないこと。それは、この世界での歌の始まりなのだから。「ぶきみに きちきちと
 歯ぎしりをするだけ、しゃがれ声を出し うなり声を あげるだけ、ほかの うたいかたは 知らなかった。」
 でも、仲良しな歌い手と聴き手であった。