トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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幸せの居場所/絵本『はっぴぃさん』

2010-06-10 01:29:27 | 絵本・児童文学
はっぴぃさん
荒井 良二
偕成社

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 大好きな荒井良二さんの絵本です。

 幸せってどこにあるのかな?この絵本では、高い山の岩の所に、何でも願いをかなえてくれる「はっぴぃさん」の噂が出てきます。「はっぴぃさん」は、必ずしもそこで会えるとは限らないということです。

 二人の若者が登場します。とても動作がのろい青年と、とてもせっかちな娘が。二人は、それぞれ、自分の家から「はっぴぃさん」に会うために出かけていきます。二人の願いは、自分たちの性格を変えること。

 娘が通っていった町は、戦争が行われているようです。破壊された家が書かれています。また、山のすそ野では、戦車の姿が見えます。そうした描き込みに作者の思いが見え隠れているようです。

 二人は山道で出会います。せっかちな娘が、頂上へと続く山道を真っ先にいくかと思うのですが、途中で疲れて休んでいます。そんな時は、のろまな青年が彼女を追い越していきます。そんなことをくり返しながら、二人は、頂上にある大きな石の両側にそれぞれ座ります。それから、カタツムリやらうさぎやらが石の上に姿を現します。二人は、それらの動物がもしかしたら「はっぴぃさん」かと思って、声を出して願い事を言おうとします。あれ、二人とも同じ目的でやって来たんだと気付きます。やがて、雨が降りでします。二人は寄り添い言い合います。そして雨が止んで、大きな太陽が現れます。のろまというのは、何でもていねいなんだと娘が言います。あわてんぼうは、いっしょうけんめいなんだと青年が言います。太陽が二人の話を聴いています。それから、二人は大笑いしました。太陽も大笑い。結局、「はっぴぃさん」は現れませんでした。暗くなる前に、二人は山を下ります。
 はっぴぃさん、はっぴぃさん、どうか僕らの願いを聴いて下さい。

 幸せの居場所ってどこなんでしょうね。少し、分かったような気がします。

初めてのお使いと色々な体験/絵本『わたしの足は車いす』

2010-06-10 01:04:03 | 絵本・児童文学
わたしの足は車いす (あかね・新えほんシリーズ)
フランツ=ヨーゼフ ファイニク
あかね書房

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 アンナは、両足がマヒしているので歩くことができません。でも、車椅子がアンナの足の代わりになったくれています。
 学校が休みの日に、お母さんからスーパーへのお使いを頼まれます。彼女の初めてのお使いでした。1人で、町のスーパーに出かけるのは、ちょっとした冒険でした。

 周囲の人々の好奇の目にもさらされる体験をしました。アンナにとっては、自分は特に変わった女の子だとは思っていなかったのに、悲しい思いをしました。同情の目で見るお年寄りの夫婦には、思わずそうではないと叫んでいました。

 町の中は、道路に段差があったりして、車椅子で進むのに大変なところがありました。そこで困っていると、男の子が現れて車いすを押してくれると言います。
 ジギーという男の子でした。最初、スーパーに来る途中の道で、彼が太っていることから、デブっちょと他の子ども達にからかわれているのを目撃していました。

 ジギーも、アンナとは違った意味で、外見から差別されていました。でも、心優しい少年です。外見だけで、人を判断する誤りを誰でも犯しやすいんですね。

 スーパーでの買い物は、ミルクとリンゴ。アンナがそれをとろうとすると、店員が親切心から、「とってくれて」アンナに渡します。アンナは、それがとても不満でした。自分1人でも、十分にできるのに、余計なおせっかいです。

 アンナは、悲しくなって涙が出てきました。誰も、自分のことを理解してくれない。その時、あのジギーが現れて泣かなくてもいいよと言ってくれました。アンナは、自分は普通の女の子と思っていました。でも、ジギーに言わせれば、人と違っていても、それは決して悪いことではないのです。自分らしさを大切にしなくてはね。大人に言わせると「自己肯定感」というのでしょう。もちろん、そんな言葉はこの絵本には出てきませんが。

 アンナの初めてのお使いは、悲しいこともありましたが、ジギーと友達になるという素敵な事もありました。ジギーの言うことを聴いてみると、なんだか勇気が湧いてきます。アンナは、お巡りさんに、あの道路の段差のことを思い切って話した見ました。そしたら、お巡りさん、今度、段差を直すように市役所に言っておくって。アンナも変わりました。

 障害を持ったアンナの気持ちが、この絵本に描かれています。また、ジギーという太っていることを、他の子どもにからかわれても、自分らしさを大切にする少年も紹介されています。二人の間の交流で、アンナも、前向きな考え方ができるようになります。自分で言いたいことを表現することも、これからはできそうな気がします。

 読者の子どもには、是非2人に、絵本の中で会ってほしいですね。

音が見える絵本?/絵本『サルくんとブタさん』

2010-06-10 00:36:26 | 絵本・児童文学
サルくんとブタさん―音が見える絵本
たどころ みなみ
汐文社

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 障害を扱った絵本を探していて、図書館のPC検索でこの絵本のタイトルを見つけ、予約を入れておいた。
 そして、借りてみた時に、TBSテレビの最後の愛の劇場で放送された『ラブレター』の中に登場した絵本であることに気がついた。
 ろう者や手話が登場するドラマは、周期的に放送されるようだ。その前は、「オレンジデイズ」を見ていた。こうしたドラマが放送されると、手話を学びたい人が増えることを期待している。もちろん、そうしたドラマは、聴者が制作したものだし、手話表現も聴者が翻訳しているという制約がある。内容も、不自然なところが見受けられる。しかし、所詮ドラマというのは、特に愛に関するものは、主人公が聴者の場合も、現実離れしたところがあるのは致し方ないのだろう。なお、ろう者が中心となって制作された映画「ゆずり葉」のような作品が今後続くことは、ろう文化の面からも大いに期待される所である。

 さて、この絵本は、ドラマの主人公田所美波が描いたことになっている。ということは、この絵本もドラマから生まれたもので、本当の作者は別に存在する。ドラマを知らなくても、独立した絵本として読むことができる。
 音のない世界を、全身で表わしてくれたサルくんと、そのことで世界が音に満ちていることを知ったブタさんのお話。ブタさんは、世界は美しい音で満たされていると思ってしまう。しかし、星のまたたきは音がしない。また、サルくんによれば、世界は美しい音だけで満たされているのではないという。
 そう言ってから、サルくんは、ブタさんの前から姿を消した。分かれる前、サルくんは、ブタさんに笛を渡していた。サルくんに会いたい時に、吹けばいいように。絵本の最後は、いくら笛を吹いても、サルくんが登場することは無かった。
 後書きで、ドラマの主人公の美波がブタさんに感謝している。このブタさんが、具体的に誰かは、ドラマを見た人にはわかることだが、絵本だけの読者には、そのことを特に知ることは必要ではないだろう。
 ドラマのほうは、人工内耳の手術のことが出てきたりして、色々と考えることが多かったが、実は、全部を通して観ていない。最終回も、見なかった。

LLEP-60b 満ちるとき


ラブレター
藤井 清美,松田 裕子,渡辺 啓
汐文社

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ラブレター DVD-BOX1

TCエンタテインメント

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