リックとリックエリック・バトゥーほるぷ出版このアイテムの詳細を見る |
次の絵本のキーワードは、「和解」かもしれない。世界中で今でも紛争が絶えない現実。内戦が終わったアフリカのルワンダは、今、ツチ族とフツ族の間でかつての憎しみを乗り越えて国の再建をしようとしている。今、サッカーで盛り上がっている南アフリカ共和国も、かつてのアパルトヘイト政策を乗り越えようと、和解委員会を作っている。
でも、アフガニスタン、イラクをはじめ、未だ、戦争や紛争状態の国が少なくない。わが国も、今年日韓併合100年の年に、和解ということの重要性は変わらない。
物語は、大男の国と小人の国をめぐるお話である。広大な土地に二つの種族は、にらみ合って生活していた。お互いを理解しようともしないで、悪口を言い合っていた。
運命のいたずらなのだろうか。大男の国に、とても体の小さなリックが生まれた。リックが、大男の国で暮らすのはとても困難な事であった。
小人の国にも、大きな子どもが生まれた。やはり、リックという名前だった。大きな体のリックが小人の国で暮らすのも困難な事であった。
ある秋の日のこと、生きづらい思いをして一人ぼっちの二人のリックが、それぞれの国から、国境に向かって歩いていた。無意識の自分探しの旅だったのかもしれない。雨が降り出した国境で、二人は出会った。そこで、帽子を好感して、自分の国とは逆の国にそれぞれ目指した。
たどり着いた国は、二人のリックにとっては、ある意味で住みやすい国であった。そこの国の人々も、新しいリックを受け入れてくれた。
でも、二人のリックは、生まれた国のように振る舞うことがあった。それは、新しい国の人々には、とても変わった振る舞いに思えた。でも、決して深いなものではなく、好意すら覚えることができるものであった。
やがて、二人のリックには、恋人ができた。その時、彼女を伴ったそれぞれのリックは、国境目指して歩きだした……。
さて、この後のお話の展開のカギも「和解」という言葉かも知れません。