石川の宇出津の酒蔵の酒だ。宇出津は石川県でも能登半島の七尾の海を挟んで北側、穴水と珠洲の間にある町だ。詳しくは石川県鳳珠郡能登町宇出津ヘ-36となる。
加賀地方の方が、天狗舞や手取川といった全国的に有名な酒蔵があるが、能登地方は宗玄などあるが、あまり知名度のあるものが少ない。この数馬酒造は竹葉が主要銘柄で、同じ石川県の金沢市の酒屋でも見かけることがない。今回は直売所で購入。ゆっくり見たかったが、せっかちな店員さんだったので、純米吟醸をリクエストしてあっという間に買い上げた。
ホームページを見ると社長は若い人で、酒も保守的なものでなく、現代的な印象だ。ちょっと期待して飲んでみる。
色はやや琥珀かかった無色透明に近い。
香りは、これはいい。学生の頃純米大吟醸を初めて飲んだときのような吟醸香。具体的には少し酸味のある、甘い果実臭。リンゴ酸は強くない。
甘い。蜜のような甘みに変わる。しかも濃いめの甘みだ。
後味は少し辛味を感じる。苦味も若干あるが、不快なものではない。ドライとのことだが、甘みのせいかドライという程ではない。とはいえ、ベッタリとした甘みがあとを引くわけではないので、ドライと言えるのかもしれない。
飲めば飲むほどドライ感というのか、本当に、乾燥した穀物、米飯に対するポン菓子のような食感となる。そして余韻が高知の酒のようなドライな後味。
今までにない味だ。いや飲んだことがある中でも少し個性がある。
うまいのではないだろうか。
甘みを感じるといえば、久米の井>竹葉>鬼夜叉。苦味が隠れているといえば久米の井>鬼夜叉>竹葉。それぞれ方向性は似ているのだが、少しずつ味や印象が変わってくる。奥が深い。分析している間に泥酔してしまいそうだ。
20210606追記
やはり他の銘柄の酒と比べ、味が濃いという特徴がある。