10月19日に山科アスニーで「幕末ニッポンに来た外国人たち」と題した講演会が開催された。私は幕末から明治にかけて来日した外国人について、一部の外国人を個別に調査したことはあったが、総括した本を読んだことはなかったので、事前に簡単な調査を実施したが、総数34万件というビッグサイトで、辞書の形で総括した本も4冊ほどあり、数十人の外国人の名前が紹介されていることを知った。講演の講師・川合章子氏の肩書は歴史ライターであり、1時間半の時間一杯わかりやすく解説していただいた。そして、講談社発行の著書「外国人が見た幕末日本」の紹介があったので手にいれて一読した。
山科アスニーの講演風景 著書「外国人が見た幕末ニッポン」の表紙
講演内容は、文化5(1808)年から文久元(1861)年までに来訪した外人をアメリカ・ロシア・オランダに分けて、その間の歴史秘話を交えて面白く紹介していただき、知らなかった話題も多かった。また著書は、ペリー・ハリス・サトウ等幕末開国時に来日した23人の記録で、登場する外人が主人公で話しかけるスタイルの文体を採用しており、外人の詳しいプロフィールとエピソードがセットになっていてわかりやすい。
日本人から見た登場人物の評伝と異なっている点もあるが、23人が共通して認めている日本人の評価は、先進国の貧民靴の生活様式や貧富の差と比較して、庶民や貧しい人達の生活が明るく楽しそうであることと、風景がすばらしいということである。また、馬足に草鞋をつけているのに驚いたり、奇妙な和服姿を珍しがったりしているが、知識を吸収して近代化を進める底力を持っている国であることを認めている。
観光発展を進める京都も、外国人の旅行者や住民の意見をもっと集める必要性を感じた。300ページを越える著書は、専門的用語を避けてわかりやすく表現しているので、歴史書としての重みはないが、読みやすく一気に通読した。一読をお勧めしたい。
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