神戸花鳥園は面白い所だと聞いていたが、訪問する機会がなく、今回やっと見学を果すことができた。JR三ノ宮駅からポートライナー神戸空港行に14分乗り、ポートアイランド南駅を下車すると、すぐ横に花鳥園の入り口がある。周辺にはまだ埋立地が多く、殺風景な場所に「花と鳥の園」があるのに驚いた。
総面積約4ヘクタール、温室面積は約16,000平方メートルの平地の中央に池があり、その周辺を四角に背高い温室が取り囲んでいた。中に入ると、空間を埋め尽くした花・花・花で驚かされ、池の周辺の散策道には珍しい鳥が歩き回っていた。その密度の濃い空想の世界に足を踏み入れ、しばし別世界を楽しむことができた。
このようなテーマパークを造った人物を紹介すると、桃山時代の昔から掛川の地で庄屋を務めた加茂家出身の加茂元照さん(1930年生れ)が、大学を中退して広い敷地を利用して「加茂花菖蒲園」を開園し、珍しい植物や動物の生態の調査蒐集に努め、“花の下で鳥たちと遊ぶ「花鳥園」を順次4箇所に建設したのである。
現在の名称 開園年 場所
加茂花菖蒲園 昭和32年(1957) 静岡県掛川市
富士花鳥園 平成02年(1990) 静岡県富士宮市
松江フオーゲルパーク 平成13年(2001) 島根県松江市
掛川花鳥園 平成15年(2003) 静岡県掛川市
神戸花鳥園 平成18年(2006) 兵庫県神戸市
最初の加茂花菖蒲園は季節開園であるが、資料をみると以下の4ヶ所は個別の特徴はあるが、基本的には同じスタイルのようである。神戸花鳥園の特徴を配布資料から引用紹介すると、
①園内全体が平地で、完全にバリアフリーで、すべてのトイレ(60室)に車椅子が入れる大きさがあり、高齢者や障害者対応に留意している。
②乳幼児用ベビーカー貸し出し、授乳室、救急室などの対応に留意している。
③季節の花が天井から吊り下げられており、下の空間は国際会議のパーティーなど多目的に利用されており、平常はテーブルセットが置かれ、見渡す限りの大きな食堂になる。
④北口(駅側)から入ると、世界のフクシア200種が天井から吊るされ、一年中花が咲く。
⑤中庭池にはカラフルな鳥が樹木の上や水面に浮かび、餌をねだる鳥が足元に集る。
⑥北側の温室は、広いスイレン池になっており、熱帯性スイレン100品種が一年中花を付ける。
⑦珍しいフクロウシヨーや飛行ショーが楽しめる。南側のフクロウコレクションも見所である。
⑧南に大型バス50台、普通車850台の駐車場があり、三宮駅からタクシー13分の距離にある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/56/05e504fbe31aee4e0d31941bbafe489a.jpg)
球根ベコニア(右下)の咲く南ロビー 中庭池の中央樹木で休む鳥
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/b4/76ab47a1adf63c85fb5b2f3e75a711d9.jpg)
広大なスイレン池の風景 フクロウコレクション室にて
このような異国の動物類を集団で飼育することは難しいと思うが、経営者の加茂元照さんは動植物育成蒐集の専門家で、とくにフクロウの研究家としては日本トップで世界にも知られた人で、フクシアについても日本のトップといわれている。園内を見学した時も、多数の作業員が植物の手入れや清掃に従事していた。最新の空調設備だ管理された花鳥園は、自然と人工を組み合わせた休息の場として今後の成功を期待したい。最後に一つ、“フクロウの眼玉は動かないので周囲を見るため首を大きく振る”ということを覚えた。愛嬌のある顔とすばやい動作を忘れることはできない。