京都市指定名勝 鴨脚家庭園見学記

2009-06-02 13:34:25 | 歴史と散策
 平成18年(2006)度に京都市の「名勝」に登録された「鴨脚家庭園」が今回初めて期間限定で一般に公開(申し込み)され、見学する機会をえた。
   「鴨脚」の発音はイチョウである。語源由来辞典によると、イチョウの漢字は「銀杏」と「公孫樹」で、いずれも中国語に由来する。銀杏は実の形がアンズに似て殻が銀白であることに由来し、「公孫樹」は祖父(公)が種子を蒔いても実がなるのは孫の代になることに由来する。「鴨脚」は葉のかたちが鴨の水かきに似ているとか、鴨脚を中国語で「ヤーチャオ」と発音することからイチョウになったとの説もある。
 特定の神社の神職を世襲する家筋は「社家」と呼ばれるが、明治4年の神職世襲制の禁止により、50軒あまりあった社家町が減少し、道路拡張の立ち退きにより現存する社家住宅は下鴨神社では「鴨脚家(イチョウケ)」1軒となった。
                 
              見学時に配布された説明資料
 「鴨脚家」は高野川と賀茂川の合流によってできた扇状地に立地しており、地下水が伏流し易い地形に立地し、湧き水として地表に戻ってくることがあるが、鴨脚家庭園の特徴は、湧き水が泉として利用されていることである。細部は配布された資料の表裏にくわしく説明されているので一部を引用すると、
“庭園の形状は、周囲より約4mくぼんだ低い位置にある泉を中心として方形のすりばち状になっている。泉の湧水量は季節ごとに変化し、最も湧水量の多いのが梅雨時期で、冬期に入ると減少する。”上の写真の左下が泉の平面図で、右上が泉の断面図である。
 鴨脚家の敷地は明治の半ばまで1600平方メートルあったが、下鴨本通の拡幅工事などで現在はその3分の1程度になったという。下鴨神社の境内つづきの場所で鴨川上流の湧水の泉がある鴨脚家が現存することに歴史の重さと深さを感じ、扇状地の先端部分まで散策をして京都の歴史に触れた満足感を持って帰宅した。

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